第13話
「じゃあ、あなたたちも作るの手伝ってね」
立花はそう元気よく言う
「じゃあ、、、って二人は名前なんていうの?」
そうだ、僕たちは立花に今まで名乗ってすらいなかったのだ
「僕は、遠藤仁といいます」
「私は、鳳凰風花です」
その時、少しの間であったが立花は風花のことを凝視した
「そうだ、私は立花葵よろしくね」
そう言い僕らに笑いかける
「じゃあ、仁君はそこの棚にお皿が入っているから一番大きい奴を3つ出してくれるかな」
そう言いながら台所の横にある大きな食器棚を指さす
「私たちは野菜を洗って切るから」
僕は、言われた通り食器棚の扉を開け大きな皿を探す。その時、ペアの色違いのマグカップが目に入った。おそらく、立花さんとその彼氏のものだろう。少し、気まずくなって大きな皿を見つけることに集中しようとする。立花さんに言われた皿を見つけ、それを台所に置く。
二人は、野菜を洗い終えジャガイモやニンジンを切り始めた。風花は初めて包丁を使うようで緊張している様子であったが、立花の教え方がうまいのと風花が常人離れした手先の器用さを有した人間であったため、プロの料理人顔負けの包丁さばきである。さすが、ピアノの天才異次元である。
「じゃあ、切った野菜とこの豚肉を炒めてくれるかな」
僕に新たな課題が与えられ僕はそれをこなすことにする
僕たちはどうやらカレーを作っているらしい
「じゃあ、水とカレー粉をいれてっちと」
立花はそうつぶやくと少し顔を青くする
「いけない、ご飯炊くのを忘れてた」
そうだ、カレーを食べるにはご飯は必要だ
「しょうがない、パックご飯を温めるか。二人ともごめんね」
「いえ。全然大丈夫です」
「ええ、大丈夫よ」
僕たちは、ご飯を食べさせてもらう側なのだからそんなことで文句などいえるはずもない。それに、最近のパックご飯は炊飯器で炊いたものに負けずとてもおいしい
「よし、完成」
カレーを立花がさらに盛り付けたところで今日の晩ご飯であるカレーライスが完成した。
「じゃあ、二人とも運ぶの手伝ってね」
僕たちは、立花の部屋の中央にある机を3人で囲うように座った
「「「いただきます」」」
僕たちが作ったカレーは味は市販カレーだが、いつも母親が作るものとはなんだか言葉で言い表せないが少し違うものを感じた。
僕たちはカレーを完食し、僕が洗い物をかって出た。
その間、立花と風花は風呂の用意をしているようだった。
洗い物が終わり二人のことを座って待っていた。
「風花ちゃんには私の服を貸せるんだけど、仁君に下着とかはさすがに貸せないから悪いけどコンビニで買ってきてくれない?Tシャツとかなら切れると思うから」
「わかりました、服も悪いので両方買ってきます」
「家を出て駅の方に歩いて行けばコンビニがあるから。それと、お金は大丈夫?」
「わかりました、あとお金は大丈夫です。じゃあ、行ってきます」
僕は、そういって家を出た。
コンビニに行く途中ずっと風花にどうやって謝ればいいかを考えていたが名案は浮かばなかった。
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