裏切りの果て、愛と嘘の行方

阿院修太郎

第1章 新たな出発

登場人物


• 主人公A(女子大学生): 田中 美咲(たなか みさき)

• 主人公B(男子大学生): 佐藤 翔太(さとう しょうた)

• 友人C(女子大学生): 高橋 優奈(たかはし ゆうな)

• 友人D(男子大学生): 鈴木 涼(すずき りょう)






4月の柔らかな陽光が、桜並木を彩るキャンパスを包んでいた。田中美咲は、新しいノートとペンを手に、映画研究会の新歓イベントに向かって歩いていた。映画は昔から彼女の心の中で特別な存在だった。子供の頃から多くの映画を観てきたが、ただの娯楽ではなく、自分自身の感情を映し出す鏡のように感じていた。大学生活のスタートを機に、そんな映画への思いを形にしたいと思い、映画研究会への入部を決意したのだ。


「緊張するな……」


彼女は自分に言い聞かせるように小さく呟いた。新しい環境での出会いに対する期待と不安が入り混じる中、映画研究会の部室の扉を開けると、そこにはすでに数人の新入生が集まっていた。どこか賑やかで、しかしどこか自分とは異なる雰囲気を感じながらも、美咲は静かに席に着いた。


「お、君も新入生か?」


突然の声に驚いて顔を上げると、そこには短髪で明るい表情をした一人の青年が立っていた。彼は笑顔で美咲に話しかけてきた。


「俺、佐藤翔太。映画監督志望なんだ。君は?」


「えっと……田中美咲です。映画が好きで、ここのサークルに入ってみようかと……」


緊張しながらも、なんとか答える美咲に、翔太はにっこりと笑った。


「いいね! 俺たち、絶対に面白い映画を作ろうぜ!」


その瞬間、美咲は彼の言葉に圧倒されると同時に、なぜか胸の奥が暖かくなるのを感じた。自分の内面を表現することに不安を抱いていたが、翔太の前向きな姿勢に触れて、少しだけ自信が湧いてきた。


やがて、映画研究会の先輩たちが集まり、新入生歓迎の説明が始まった。翔太の隣には、彼の友人らしき男子が座っていた。彼は冷静な目つきで、物静かな雰囲気を持っていた。


「彼は鈴木涼。カメラ担当だ。俺の映画には欠かせない相棒なんだ」


涼は軽く頭を下げるだけで、言葉は発さなかった。しかし、その沈黙の中に、何かしらの信念や強さを感じた。


新しい仲間たちとともに、美咲の大学生活は動き出した。サークル活動を通じて、彼女は自分の中に秘めた可能性を見つけることができるのだろうか。そして、翔太との出会いが彼女に与える影響とは……。

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