episodes5 怪盗死神(デスクイーン)登場
午後3時。
パーティー会場の煙はすっかり晴れていた。
だが、会場にいた人たちはみんな寝てしまっている。
さっきの煙は催眠ガスだったようだ。
「ん・・・?」
安藤警部は目を覚まして起き上がる。
「いつの間に寝てたんだ・・・?あっ!」
そして、さっきの出来事を思い出した。
「星青玉め!」
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午後7時。
「あともう少し・・・。来い、怪盗星青玉!」
安藤警部は腕時計を見ながら言う。
パーティー会場は警察官と客でいっぱいだ。
イスに座っていた女性は、それを見て笑った。
「あれ? 警部、『ブルー』がありません!」
ステージの上にいた男の警察官が言った。
「なに⁉︎」
安藤警部はステージの上に行くと、そしてショーケースの中を見た。
「本当だ、無い!」
ザワッ
「え?『ブルー』が無いだって?」
「マジかよ!」
客達は騒いでいる。
宝石「ブルー」消失騒ぎは、長続きした。
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夜7時59分。
「3!」
客達はカウントダウンしながら星青玉が来るのを待っている。
「2!1!」
「あと少し・・・」
安藤警部は呟いた。
「ゼロ!」
客達がそう叫んだ瞬間、ステージに煙が。
煙が晴れると、ステージの上には怪盗が立っていた。
ワアアアア
「⁉︎」
客が歓声を上げた時、
ステージの上に、もうひとり立っていたからだ。
黒いタキシードに黒いシルクハット。紫のベネチアンマスク。
そんな姿の、女性が立っていたのだ。
しばらく沈黙が続いた後、その女性は星青玉に拳銃を向けた。
「お前、いったい誰だ⁉︎」
そう聞くと、女性は
「
と答えた。
「で、ですくいーん・・・?」
「あら、知らないの?あなたなら必ず知ってると思ったのに。ひょっとして、しばらく会っていないうちに忘れたとか?」
星青玉は戸惑った。こんな人を知らなかったからだ。
(オレはこんなヤツ知らないぞ・・・?それに、会ったこともない)
死神は少し近づいた。
「いなくなったはずのあなたがまた盗みをはじめたって聞いたから、来てみたんだけど・・・。まあ良いわ。」
そう言って死神は星青玉のスーツの胸ポケットに紙を入れた。
「コレ、必ず守ってね」
そう言って死神は煙玉を投げ、消えた。
「オレも戻るか・・・」
星青玉はポケットから煙玉を出し、宝石ごと消えた。
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元の服に着替えた黒斗は部屋のベッドの上で宝石を見ながら少し焦っていた。
「宝石盗めたのは良いけど、ブルーがない‼︎何・故!今度こそブルーを盗んでやる!」
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