1 だから
そこには一人の男がいた。
男は砂漠を歩いていた。
砂塵が舞う、陽は照らす
しかし、一人であるが、孤独ではなかった。
空飛ぶ蜥蜴、駆け回る兎、忍び寄る蠍
知ってはいるが、完全ではない。
知りたいと思うが、究明ではない。
彼には友がいた、仲間がいた、同士がいた。
彼らの行方はわからない。
男は悔やんだ。
助けられなかった昨日を
男は悔やんだ。
話したりなかった昨日を
男は悔やんだ。
永遠だと思っていた昨日を
男は悔やんだ。
共に過ごせない今日を
男は悔やんだ。
共に迎えられない明日を
しかし、男は立っている。
忘れたわけではない、捨てたわけではない、嘘であったわけではない。
知りたかったのだ、求めていたものを
知りたかったのだ、信じられていたものを
知っていたのだ、託されたものを
いつかまた出会うその日、
共に語らい、笑い、称賛され、眠るため
だから、男は
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