一大事ですわ!?……『かっこつけすぎた(汗)……』
ラクリウスが軽装で屋敷を出ていく様子をみていたフユナリアは、ニコニコしていた。
(ラクリウス、思っていたよりも早く動いたわね。それも平民に近い格好までして……。ですが、メルナセリアを説得するのは難しいですよ。
今まで貴方がして来たことを帳消しにすることなどできないのですから。恐らく逢うことができたとしても……追い返されるでしょうね)
フユナリアは心配に思いラクリウスを見送る。
「……荷物も持っていったみたいですし、しばらくは戻って来そうもありませんね。仕方ありません……私が雑務をしておきますか」
そう言いフユナリアは、ハァーっと溜息をつくとラクリウスの書斎へ向かった。
――場所はフェルミゴの城下町の商店街に移る――
商店街は行き交う人で賑わっていた。
ラクリウスは速足でここまでくると立ちどまる。そして周囲を見渡した。
(普段ここには来ていないせいか迷子になりそうだ。それにしても……これほどまでに人が多いとメルナセリアをみつけるのも困難だな)
そう思うとラクリウスは再び歩きだす。
(恐らく宿屋に泊まっていると思うのだが……。何処の宿屋に泊まっている?
メルナセリアが好みそうな宿だとは思う。だが金銭のことを考えれば……違うかもしれんな)
そう思考を巡らせながら宿屋が立ち並ぶ南西へと向かった。
――場所は、セセラギ村へと変わる――
随分と賑やかになってきましたわ。本当に何が始まるのかしら?
そう思い私は広場を、ジーっとみつめる。
「メルナ……」
いつの間にかグランが傍に来ていて小声で私の名前を呼んでくれている。
ああ……私の名前を耳元で囁いてくれるなんて……。
「あーえっと……どうしたのですか?」
「小声で話してほしい」
「分かりましたわ」
そう言い私は頷いた。
「これは憶測だが……今から行われる集会は国へ反乱をするための話し合いかもしれない」
「え、エェェエエエー!?」
私は思わず叫んでしまう。
慌ててグランは私の口を塞いだ。
「大きな声を出すなっ!!」
「ごめんなさい……ですが、なぜそう思うのです?」
「それは……今ここで話さない方がいい。ただ、ここで何を聞いても今は行動に移すな」
そう言われ私は頷いた。
「承知しましたわ……気をつけます」
それを聞いたグランは微笑んだあと元の位置に戻る。
戻らなくてもいいと思うのですが? グランは真面目なのですね。
そう思いグランをみつめた。
★♡★♡★
メルナに……ああ言ったが気をつけるのはオレの方だ。
そう思いながら広場の方へ視線を向ける。
堪えられるのか? 本当はメルナに止めてくれって言いたかった。でも……なんでこんな時に、かっこつける必要がある。意味が分からない……ハァー……。
ただの思い過ごしならいいんだ。だが……ここ数日で沢山の武器などを集めている。……嫌でもそう思えるんだよな。
そう考えオレは空を見上げた。
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