第一章

これが一目惚れってヤツでしょうか?

 ここはフェルミゴの城下町の宿屋だ。

 あれから私は途中で食事を済ませたあと、この宿屋にきた。そして宿をとると部屋にくる。

 外は夜なので真っ暗だ。


 ふぅ〜……明日、住む所を探さないとね。んー、よく考えたら仕事を先に探した方がいいのかな? 所持金もそれほどないし……屋敷の相場も知らないから。


 そう思い私はベッドの上に腰かける。


「まあいいかぁ……眠いし寝よう」


 私はベッドに横になると眠った。


 ★♡★♡★


「んー気持ちいい!」


 伸びをすると周囲を見回してみる。

 ここは宿屋の外だ。

 因みに翌日の昼間である。


 さて、どうしようかな? 仕事と屋敷さがし……そうだなぁ、どっちにしてもギルドに行かないとね。


 そう思い私は商業ギルドへ向かい歩き出した。

 歩きながら考えごとをしていると、ガラの悪そうな男たちが私の方に近づいてくる。


「よう、一人かい? 良かったらオレ達といいことしねえか」

「あーえっと……それって楽しいことでしょうか?」

「ああ、凄く楽しいことだ」


 いかにもスケベそうな男の顔に吐き気を模様しそうだ。


「そうねぇ……でも私は忙しいので、ごめんなさい」


 そう言い私は男たちから離れようとした。


「そう言うなって……なぁ、いいことしようぜ」


 男たちの一人はそう言い私の腕を掴んだ。


「な、何をするのですか?」


 そう言い私はその男の手を払おうとする。とその時、その男が宙に舞った。

 私は何が起きたのかとその男がいた場所へ視線を向ける。

 そこには青で短髪の男性が立っていた。左脇にみえる三つ編みが特徴的だ。


「大丈夫か?」


 青髪の男性はそう言うと周囲に居る男たちに睨みを効かせる。


「は、はい……ありがとうございます」


 私はその青髪の男性をみて、ドクンっと胸が鳴った。


 もしかして、これが一目惚れってヤツ?


 そう思い青髪の男性をみつめる。


「それなら良かった」


 そう言い青髪の男性は私を庇うように身構えた。


「おいっ、よくも仲間をやってくれたな!」


 ガラの悪い男たちの一人がそう言うと青髪の男性に殴りかかる。他の男たちも青髪の男性を殴りかかった。

 すると青髪の男性は華麗な身のこなしでガラの悪い男たちを投げ飛ばしたり殴る、蹴るで倒していく。

 それをみて私は更に胸の鼓動が速くなる。


 か、かっこいい~……まるでロマンス小説に出てくる王子様みたい。

 見た目は冒険者のよな服装だけど。でも今の私は平民、それなら釣り合うわよね?

 だけど彼の気持ちは、どうなのかな? それに……そもそも逢ったばかりで彼について何も知らない。……このあと聞こう。


 そう考えながら私は青髪の男性の戦闘をみていた。

 ガラの悪い男たちを全て倒した青髪の男性は息を整えながら私の方へ視線を向ける。


「どうした? 顔が赤いぞ」

「あっ、大丈夫ですわ。それよりも強いのですね」

「そうか? まあ一応、旅をしながら鍛えてるからな」


 そう言い青髪の男性は手のひらへ目線を向けた。


「そうなのですね……あーそうですわ。お礼をしたいのですが……どうしましょうか」

「お礼か……そんなつもりで助けた訳じゃない」


 そう言った直後、青髪の男性のお腹が鳴る。


「クスッ……そうね……食事などでは、どうでしょう?」

「……食事か。それならオレが出す……女性に出してもらうのは違うしな」

「そうなのですね……では、あとで何かしらのお礼をさせてください」


 そう私が言うと青髪の男性は、コクッと頷いた。


「本当は、このまま去ろうと思ったんだが……名乗っておいた方がよさそうだな。オレの名前はグランディオ・リアガットだ」

「私は……メルナセリア・ヒパティカと申します」


 そう私は挨拶をすると軽く頭を下げる。


「そうだなぁ……どうする? オレは行きつけの店に食べに行くが」

「そうなのですね。私も同行してもよろしいかしら?」

「ああ……構わない。一人で食べるよりもいいしな」


 そう言うとグランディオは歩き始めた。

 それを私は追いかける。

 その後、店に着くまでの間……私はグランディオと話をした。

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