第11話 第一歩

健一たちは地下都市の計画を本格的に進めるために、まず図面を作成することが必要であることを理解していた。図面を作成するためには紙が必要であり、紙を作るためには木材が必要だ。そこで、健一は仲間たちと共に、木の伐採と植林事業を開始することに決めた。


健一は、森の適切な場所を選び、伐採と植林の計画を立てた。リセルの魔法を使って森の健康状態を確認し、伐採する木々と保護する木々を選別した。


「森を守りながら、必要な資材を得ることが重要だ。伐採した木の分だけ新たな木を植えよう。」健一は仲間たちにそう語りかけた。


ゴブリンたちが中心となって、木の伐採と植林作業を始めた。彼らは手際よく木を切り倒し、同時に新たな苗木を植えていった。木の伐採は慎重に行われ、森の生態系を損なわないように配慮された。


図面を描くためには鉛筆も必要だ。健一はゴーレムとドワーフに協力を求め、鉛筆の材料を集めることにした。鉛筆の芯には黒鉛が必要であり、これを得るために彼らは鉱山を探索した。


「この鉱山には良質な黒鉛が眠っているはずだ。」ドワーフのリーダーが自信を持って言った。


ゴーレムたちは鉱山の奥深くまで入り込み、黒鉛を慎重に掘り出した。その黒鉛を使って、ドワーフたちは鉛筆の芯を作り始めた。また、木材の一部は鉛筆の軸として使われ、村の鍛冶屋がその製作にあたった。


地下都市の建設には、多くの専門知識が必要だ。そこで、健一は村に土木建築を学べる学校を設立することに決めた。リセルとブルムが中心となって、学校のカリキュラムを作成し、ゴーレムとドワーフが教える教師として招かれた。


「ここでは、建築の基本から高度な技術まで学ぶことができる。私たちの未来を築くための知識を身につけよう。」健一は村の若者たちに語りかけた。


学校には教室や実習場が設けられ、村の若者たちが熱心に学ぶ姿が見られた。ゴーレムの精密な建築技術や、ドワーフの堅固な構造設計の知識が、次々と若者たちに伝授されていった。


こうして、ウィローグローブの村は地下都市の建設に向けて大きな一歩を踏み出した。木の伐採と植林事業、鉛筆の材料収集、そして土木建築の学校設立と、次々と計画が進んでいく。


健一は仲間たちと共に、新たな未来に向けて進み続けた。彼らの努力が実を結び、地下都市が完成する日は、もうすぐそこに迫っていた。

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