第14話 通常運転

「翠二も大きくなったよね」


「琴一も人のこと言えないぞ」


「まぁね、もう歳とって行く一方よ。寂しいな〜」


「まだ十分若いだろ」


「甘いな〜。中学高校終わったらもう納税していくだけの機械みたいなもんだよ」


「ほんとに寂しい現実だな」


「翠二や三葉、母さんたちとの日常が楽しいからさ。余計に時間が過ぎるのが早いよ」


「これは素直に『それな』って返すべきなんだろうな。もう全くその通りだよ。家族との時間が楽しくって、今この環境で一生生きていきたいのが一番。でも、そうは行かないからこその寂しい現実があるんだろうな」


「でもさ、たまには明るい夢ばっか抱いて、今だけの輝きを思いっきり謳歌するのが若い子の特権じゃない?だから、私も翠二に飽きられないうちにイチャラブしとこ〜」


「抱きつくなっておい!」


「ふふ〜ん!翠二大好き!」




「お〜い!おにぃ〜!琴一ねぇ〜!」


「追いつけたか。結構距離開いてたと思うが。」


「三葉は昔から足速いよね。うちのスポーツ担当だわ」


「えっへん!二人がイチャイチャしてたのが見えたから足が覚醒したわ」


「覚醒って......。そういえば、なんで呼び出されたんだ?」


「あ〜。なんでもないなんでもない!ちょっと週明けの予定について訊かれてさ」


「なんだそんなことか」


「そ!ほら、帰ろ!」


「そうだね〜!早く家に帰って3人でお風呂入ろうね〜」


「いいねぇ〜!入ろ入ろ!」


「無理!」


「ツンデレだな〜、黙ってついてくれば得するだけなのに〜」


「得じゃない!」


「いつも通りだな」


「今日のおにぃも通常運転だね」




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