第22話 しょ しょうご君が19だったことの驚き

 一つの不等式を示す。

  19 < 29 < 33 ...①

 これは、ある3人の年齢の単位[歳]を無次元化したものである。そこで、①式の意味をわかりやすい書き方で記す。すなわち


  しょうご君の年齢 < 私の年齢 < 内田さんの年齢 ...①'


 この現実は受け入れ難い。私自身の感覚では


  しょうご君の年齢 = 内田さんの年齢 < 私の年齢 ...①''


 である。この感覚が仮に正しいとすると、数学的に深刻な問題を引き起こす。すなわち


  19 = 33 < 29

⇔ 0 = 14 < 4 ...①'''


 という式が成り立つことを意味するからだ。これは数学のルールを根底から破壊する結果であり、私の感覚は現実世界と一致しないことを示す。


 しかし諦めの悪い私はまだ抗おうとする。

 年齢は、その人が生誕した時点における地球の位置が、太陽の周りを1周することによって再び同じ位置に戻る時に1増える。しかし、もし人間が火星に行ったら、地球より火星のほうが太陽のまわりを1周するのに時間がかかる。それは、春の訪れ、夏のそれ、秋のそれ、そして冬のそれが地球とズレを生じることを意味する。1歳増加と1年増加は必ずしも対応しない。例えば海王星が1周するのは約「165年」である。この165を新たに「1ネン」と定義すると、新たな「1サイ」が定義される。地球上ではすべての時計が165分の1となるので、例えば普通の「30歳差」は「67日差」、だいたい2カゲツ差になる。


 ここまで書いたとしても、問題は何も解決しない。私たちは地球の上で暮らしているからだ。例え火星に移住した者がいたとしても、彼の時計は地球基準だろう。

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