まさかの私?

 私に提案されたのがかなり嬉しかったのか、遥はルンルン🎶と音符が見えそうなくらいウキウキしていた。



数分後……

私は先に済ませて外で待っていた、のだけど……


「ちょっと、かわいいお姉さん」

肩を掴まれて振り向く。私は驚いて追加目を見開いた。

背後に立っていたのは、目を引く赤リップと艶やかな黒髪の女性。

高めのヒールにピタッとしたワンピース、そして何より、視線が熱い。

「今1人?」

「……いえ」

「ウソ。もう何分もそこで立ってる。」


唇の端をつり上げ、にやりと笑う彼女。一歩ずつ詰め寄ってくる。逃げ道を塞ぐように身体をすっと前に出した。

「人見知り?」

「そういうわけじゃ……」

「ふーん。かわいい」


指先が、そっと美咲の顎に触れる。

驚いて息を呑んだ。けど、そのまま視線を外せなかった。


「……こっちの目、涙袋が綺麗。絶対笑った顔かわいいでしょ」

「な、なに言ってるんですか……」

「ねえ連絡先教えてくれない? ていうか逃げないでくれる?」


 言葉が強い。でも、声は低くて甘い。

 どこか猫のように、気まぐれで、だけどこちらを離さない熱があった。


 どうしよう……

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