みんなの力

 春の香りと少しぬるったるい風が病院の窓から心地よく吹き込んでくる。主人公は病室でそれを感じる。外には桜の花が咲き誇り、その花びらが空を舞っている。主人公その美しい景色に目を奪われながら、心の中でひとつの予感を抱いていた。――多分今が、きっと最後の春だ。


 遥が演じる高校生の主人公が余命宣告を受けた場面から死までを描く。大体1時間ちょっとにまとめなければならないから細かい深掘りは出来ないけど、かなり壮大なストーリーになるはず。私が知る限り、ここまで重たい内容の演劇はみんなやったことないはず。人によっては病んでしまうかもしれない。


 ただ、私はやって欲しいと思う。遥達は見る人全てを感動に引き込む力があると知っているから。あの一年生達にそれがあるかどうかは分からないけど、私は信じた仲間達と作り上げるだけだ。

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