仮にも君は

「引き立て役に脇を固める人をしたくはない……」

 遥を支えていくメンバーは私から見ても凄い子達ばかり。なるべくひとりひとりに合った配役とセリフを振りたい。


 試行錯誤して約1週間でざっくりとしたストーリーと配役と設定を決めた。遥と顧問の先生(私がお世話になっていた相良さん)には事前に内容を見せる事にし、先に顧問を訪ねた。


 元声優(それなりに有名だった)の先生は、私の企画書を見るなりかなり驚いた顔をした。

「衰えてないんだな。君が全部やると聞いてから、君が昔作った"あれ"を見返したんだけど、やっぱり凄いな……なんだこの人って思った。ちょっと引いてるよ」

「ひどい言い草ですね。はたして褒められているのでしょうか?」

「褒めているよ。昔からね」

「ありがとうございます」

「君はあの子を超えた。君はきっと自分は大した事ないとか思っているかもしれないけど、あの子は君の才能を恐れたからあんな事したんだ。自身を持っていいさ」

「……複雑ですね」


答えずらい……

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