半分脅し、半分提案

「今度演劇部に来てください。お願いしたいこともありますし」

 疲れたから今日は帰るね。と切り出そうとした時、唐突にそんな提案をされた。

「……はい?」

「だ、か、ら、部活の練習に来てください!みんな会いたがってますから」

「いや、私には行く資格がな……」

「来なかったら先輩がネットで流行りの有名作曲者ってバラしますよみんなにも世間にも」

「腑に落ちないけど、わかったよ」


 半ば強引に決定されてしまった。頭の中で先輩と共に楽しく過ごしていた日々が流れては消えていく。それが消えると、多少行く気になった。


 けじめをつけよう。その日で。先輩との思い出に。呪いに。私はやっぱり、今はもう自分の意思で曲を作っているんだから。

 

 いや、先輩はそれを許さないか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る