第42話 『凪咲のスカートの中』

 1985年(昭和60年)11月19日(火) <風間悠真>


 自転車おっぱい計画は順調に進み、美咲・凪咲なぎさ・純美・礼子・菜々子・恵美の6人全員のむにゅむにゅを実感できた。現在進行形なのでこれからも週一で違う感触を楽しめる。


 ん? オレって変態か? いや、中1男子の正しい欲求だ。うん。(51脳<12脳)


 今日は火曜日で凪咲と登下校の日なんだが、この時期の下校時間は部活終わりとなると真っ暗だ。


 16時前に放課後の掃除が終わってからの約2時間から2時間半。学校を出る頃にはすっかり暗くなっている。小学校の時に集団登校というのがあったが、中学はないし、下校はバラバラだ。


 とは言え暗くなった夜道を1人で帰るのは危ないので、複数の友達で帰っている。幸か不幸か、男のオレはみんなのボディガード的な役割になってしまっていた。


 暑くもなく寒くもなく、要するに手袋もマフラーもつけないノーマルの冬用学生服での通学だ。


 坂道を上って道が平坦になると自転車で2人乗りをする。

 

 うん、今日も背中に当たるおっぱいのムニュムニュが心地いい。帰り道の小学校までは下り坂が続き、まっすぐ行くと純美の家の方角だ。


 本来はここで左折して海へ向かう坂道をさらに下ると、神社に行く途中で凪咲の家へ向かう道が見えてくる。前から言われてきた事だが、帰りの30分が短いようだ。


 もっと一緒に喋りたい、というのが女子たちの要望だった。


 そこでオレは、グラウンドまで行って寄り道する提案をした。小学校から純美の家まではゆるやかな上り坂なのだが、その途中に地区で運営しているグラウンドがある。


 グラウンドと言っても小山を削ってスペースを作っているだけの簡易的な、本当に簡易的なグラウンドだ。一応野球のための照明設備はあったが、毎日使う訳ではない。


 そこまで行って休憩をしながら話をするのだ。


 グラウンド(小山)の入り口には商店があって、飲み物が売ってある。ここであったかい飲み物を買って坂を上り、グラウンドの脇にある道を上っていけば、ベンチがある展望台のような場所につく。


 小さな公園のような場所だ。


 オレと凪咲は横に並んで座るが、凪咲がぴったりくっついているのでその体の温かさが伝わってくる。何でもない会話をしながら、凪咲がオレの手を握ってきた。


 思えば去年の9月の修学旅行で衝撃的なキスをした。


 なんだかんだで美咲とも純美ともしてなかったキスを、初めて凪咲としたのだ。そこから悟くんの実家で二人きりの部屋に泊まったものの、結局なにもなく、そこから進んでいない。


「あっちい!」


 凪咲がオレのズボンにジュースをこぼした。オレが慌てて飛び起きると、凪咲が叫ぶ。


「ごめんっ! 悠真!」


 そう言って持っていたハンカチでズボンを拭う。


「あ!」


 凪咲の手が当たる。ゴシゴシ拭いてくるもんだから、やばい。勃ってきた。う……。やばい、12脳はマヒ寸前だ。凪咲は知ってか知らずか、さらにこすって拭いている。


 これ、わざとか? それとも凪咲は天然なのか?


 オレはそれを止めるでもなく、気持ちよさに身を任せているが、恥ずかしさMAXである。そして下半身は張り裂けそうにパンパンだ。これはもう、どうしようもない。健全な中1男子なのだ。


「あ、凪咲、もう……いいよ。これ」


 オレは見せるわけでもなく、凪咲の目に映っている膨らんだ股間を『コレ』と代名詞を使って暗に示した。


「あ……」


 凪咲は顔を真っ赤にしている。耳まで真っ赤だ。薄暗い街灯の下、それがわかる。


 その後微妙な沈黙がオレ達を襲い、並んで椅子にかけるが、オレのモノはまだ元気いっぱいだ。


「凪咲、あのさ……」


「え、なに?」


「その……」


 オレは言葉を選びながら、どう切り出せばいいのか必死に考える。51脳が完全にオフラインだ。


「オレも、いいか?」


 凪咲の表情を観察しながら、ドキドキを抑えて続ける。

 

「その、なんていうか……」


 公平、という言葉がやっと見つかった。

 

「……公平に」


 ドクンドクンという心臓の音が聞こえるくらいにヒートアップしている12脳は、プスプスと音を立てている。


「その……いや、触らなくてもいいから。見せてくれない? その……凪咲のパン……ッ……」


 はっきりとパンツと言えないくらい恥ずかしい。


「えっ?」


 凪咲は声を詰まらせ、俯いたまま黙り込んだ。

 

 街灯の明かりに照らされた横顔が、迷いと恥ずかしさで揺れているのが分かる。オレは返事を待ちながら、自分の心臓の鼓動が異常に大きく聞こえるのを感じていた。


「あの……」


 凪咲が小さな声で切り出す。


「……見る、だけ、なら」


 句読点を何度も挟みながら、最後は小さくささやくような声で続けた。


「いいよ」


 よし! キタコレ!


 オレはおもむろに凪咲の正面に立ってしゃがみ、凪咲の両脚を抱えてスカートの中に頭を入れようとする。


「あっ! ちょっと悠真! 見るだけだって言ったじゃん! ちょっと……あ……」


 凪咲はちょうど体育座りから両脚をオレの肩に抱えられて股を開く形になっている。ミニスカートじゃない膝丈より長いスカートは完全にオレの頭を覆って隠し、すっぽりと包んで隠す。


「大丈夫大丈夫。見るだけだから……」


 男がセックスに持ち込むときの常套じょうとう文句(?)だ。なにが大丈夫なのかは意味不明である。意味不明なのに大丈夫というワードでなんとなく押し切ってしまうのだ。


 もちろん今回はセックスではない。凪咲は恥ずかしさでオレに広げられた股を閉じようとするが、そうするとオレの頭は凪咲の両脚に挟まれる事になる。


 これはこれでまた、なんとも言えないくらいにそそる。


 オレの頭は挟まれて凪咲の膝が両側にあったのだが、徐々にパンツに吸い寄せられるように接近する。凪咲のアソコに下着越しにオレの鼻が触れると、凪咲は『あっ……』という声とともに少し腰を浮かせた。


 その隙をついてオレはさらにパンツに近づく。


「あ、あの……悠真? 見るだけって……」


「うん。見るだけ」


 そしてとうとうオレの口が凪咲のアソコに触れた。


「あ! バカ! あ、あのっ! ちょっとぉ!」


 凪咲はオレをどかそうとするが、オレの頭を挟んでいるため動かせない。オレは凪咲のアソコの匂いを嗅ぐように鼻先と口を上下に動かす。

 

「ちょ……だめ、だめだって! 悠真!」

 

 オレの頭に触れている手が暴れるが、そこは力の差がありすぎる。脚をジタバタさせるが、それがかえって振動になってオレの顔と凪咲のパンツをこすり合わせる。


「あ……ちょっ……バカ……んっ……」





 ……あれ?


 これ、もうひょっとするとヤルしかなくなるぞ? コンドームは持っているが、ここだとさすがにまずいか?


 冷静に51脳が分析し始める。


 いや、成人同士ならまあ……個人の好みの問題だろうし、後々尾を引く事にはならないだろう。でもこのままやっちゃうと、どう考えても無理やり感が否めない。


 それにこの状態じゃ凪咲の顔が見えない。声だけじゃ本当に嫌がっているかどうかもわからないのだ。下手をすれば泣かれてしまうかもしれない。





 オレもそうだったが、初めては自宅だった。彼女が実家暮らしだったから、一人暮らしのオレの家に呼ぶ流れでいい感じになっての初体験。


 友人にも聞いたが大抵はどっちかの家で、初めてが野外というのは聞いた事がない。いや、もちろんいるかもよ? ……わからない。オレは動きを止め、すすっと顔を離し、スカートから頭を出す。


 凪咲の顔は恥ずかしさで真っ赤になって、驚きと戸惑いも混じっているようだった。


「なぎ、さ……」


「え?」


「あの……えっと、……ありがとう」


 オレはそういって凪咲の肩を抱いてほおにキスをした。


「え……」

 

 凪咲は顔を赤くしてうつむき、オレも恥ずかしくなってうつむいた。


 ちゅ……。


 今後は凪咲がオレにキスをした。おおお?


 オレはやりすぎか? いや、冷静に考えたらやりすぎだろう? 同じようにするなら、せいぜいスカートの上から触ってこするくらいじゃないか?


 なんでこの発想になったのか、自分でもよくわからない。


「……帰ろうか」

 

「……う……ん」

 

 そう言って立ち上がり、オレは自転車の荷台に凪咲を乗せて、ゆっくりブレーキを踏みながら坂道を下っていった。





 家の前で凪咲を降ろし、『またね』とキスをして手を振って別れる。もうすっかりいつもの凪咲に戻っていたが、その顔には笑顔があった。……ような気がする。





 次回 第43話 (仮)『期末テストと町内4校合同音楽祭』(11/29)

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