領主様とお話
領主様ことハサミ・ムーンフォール辺境伯にご挨拶をしたところ、バルオウさんがナミミ様のお父様であることが判明。
言われてみればバルオウさんってナミミ様と同じ金髪してるわ。
「ところで実際に『ニンジン召喚』を見たい。見せよ」
「あ、はい。『ニンジン召喚』!」
声に出して言う必要はないのだけど、声に出した方がなんとなく良いニンジンが出る気がするんだよね。というわけで、いつもの金時ニンジンを召喚した。
バニーガールへのご挨拶はやっぱりコレよ。定番商品ってやつだね。
っていうかハサミ様? バルオウさんごしに見えてる? 大丈夫?
「ナミミ様のお気に入り、金時ニンジンです」
「ほう。ナミミの言っていたキントキか。寄越すがよい」
「はっ、献上いたします」
恭しく細いニンジンを差し出すと、バルオウさんがひょいと掴んでハサミ様に渡した。
「うむ。思っていた以上に小さい。が、確かに色が濃いな。うむ。どれどれ……」
コリッ、とバルオウさんの後ろからニンジンを齧る音がする。コリコリコリ……と音が続いたので、これはやはり気に入っていただけた模様。
「なるほど。まぁ私はバルオウの作ったニンジンの方が好きだが? これも悪くはないな」
「今このキントキニンジンを増やせないか試してるから、作れるようになったら僕が作るね」
「最高では? なぁコガネ。我がベターハーフは賢く優しい。そうは思わんか?」
「ええ、まったくですね。いつもお世話になっています」
惚気ですね分かります。権力者のこういう流れには逆らわずイエスマンになるに限るぜ。
「バルオウ? まさかコガネに浮気してないよな?」
「ヒバニン同士仲良くしてるけど、浮気はしてないなぁ。ナミミに嫌われたくないし」
「! 私には嫌われてもいいと!?」
「ハサミは何があっても僕を嫌わないでしょ。僕も浮気なんてしないし」
「バルオウ! 私だってバルオウ一筋だからな!」
うーん、惚気だな? 俺、もう帰っていい?
と、そこでバタンとノックもされずに扉が開いた。カツカツとヒールの音を立てて入ってきたのはナミミ様だ。
「母上!! コガネを返してください!」
「む、ナミミか。フフフ。なんだ? 別に変なことはしておらんぞ?」
「そろそろコガネのLvが11になるんです、検証が山場なんです!」
「そういうところだぞナミミ。母はもっと色気を覚えて欲しいと切に願う」
怒鳴りこんできたナミミ様に、ハサミ様がやれやれと言う。
「次期領主として留守番ご苦労であった、ナミミ。だが領主の執務室に入るのであればきちんとノックをしなさい。マナーだ」
「ありがとうございます母上。しかしお父様を抱っこしないと初対面の人とまともに話せない人見知りに言われたくないです」
えっ、ハサミ様そういうことだったの?
「バルオウ。ナミミがいじめる……」
「いやぁ、この点については流石に擁護できないなぁ。すまないねコガネ君。実はそういうことだったんだ」
「ああ、はい」
と、ちらりとハサミ様がバルオウさんの影から顔を出す。
……人見知り人妻バニー……!! なるほど、領主にふさわしい「強さ」だぜ……!
尚、敵とか他領の貴族とかと話すときはしっかりするものの、気合を入れるせいで目つきがきつくなり睨むカンジになってしまうらしい。ますますかわいいかよ。
―――――――――――――――――――――
(フォロー、レビュー、❤で応援、感想等も頂けたら嬉しいです!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます