ナミミ様とのんびりした日常



 さて。休暇も終わってニンジン係のお仕事だ。

 今日も台所にニンジンを納めてからレベリングさせてもらっている所。


「ナミミ様、今更ですけどわざわざナミミ様が手伝ってくれる必要ってあります?」

「検証はその場ですぐやりたいですし……コガネに任せると適当にするじゃないですか」

「検証が趣味なんですかね」

「ええ、わりと」


 ナミミ様は未知に対する好奇心が非常に強く、そして的確に解明していくお方。

 俺の『ニンジン召喚』についても他の人に任せられない、というか自分で解明したいということだろう。


「きっと日本にナミミ様が居たら、検証勢とか呼ばれる一派の一員になってましたよ」

「検証勢……ほほう、コガネの世界には同士が沢山いるのですね。素晴らしいです」


 ちなみにお仕事はお仕事でちゃんと片付けてるらしい。流石バニーガール、有能。


「さ、コガネ。トレントを見つけましたよ、どうぞ」

「あっハイ。アレですね……『ニンジン召喚』! ファイアニンジン!」


 ばひゅん! と炎の三角錐が木に擬態していたトレントに突き刺さり、燃やす。


「今更ですが、コガネのファイアニンジンは私のものと同じ威力のようですね?」

「……え? もしかして魔法って誰が使っても一定、じゃないんですか?」

「はい。個人差があります。……まぁこれについては簡単に説明が付きます。私の魔法をコピーして召喚している、ということでしょう」


 なるほど。思えば俺が見たニンジン系魔法は全てナミミ様のもの。それを複製しているのであれば、同じ威力のものが呼び出されるのだろう。


「というか、そもそもINTやMNDが82なのに私と同じ威力な時点で不思議に思うべきでした」

「……ナミミ様のINTやMNDっていくつです?」

「大体800くらいです。恥ずかしながら、魔法は苦手でして……」

「Oh、バニーガールぅ」


 つまり俺は本来の10倍くらいの威力のファイアニンジンを放っていたらしい。


「一度、母上の魔法を見せたいですね。凄いですよ、母上の広域殲滅ニンジン魔法、メガキャロットは。……ああ、でもMPが82では足りないですね」

「わぁお……」


 メガキャロット。一体どんな魔法なんだ……打てそうにないけど。


「あ! そういえば前線から連絡がありまして、一段落したので母上達が帰ってくるそうです。砦も兵士でいっぱいになるので……その、気を付けてくださいね」

「気を付けて、といいますと?」

「一応、私の所有物であると通知はしておくので問題は少ないはずですが……その、前線で戦う兵士達には、乱暴なバニーガールも多いので」


 ああ。つまり治安があまりよろしくない。


「いいですか、もし乱暴されそうになったら私の名前を出すんですよ!」


 バニーガールが「へぇ……味見してやろうか?」みたいな展開もアリアリのアリと。

 ……ちょっと期待しちゃうじゃないか。まぁ、ゴリラみたいなバニーガールが相手だったら大人しくナミミ様の威を借りて逃げよう。うん。


 あ。そういえば。


「ところでナミミ様。ひとつお聞きしたいことが」

「なんでしょう? なんでも聞いてください」


 ん? 今なんでもって言った? じゃあ遠慮なく!


「先日町で聞いたんですけど、ぴょんぴょんってどういう意味です? あとトントン、コシコシとか……意味が分からなくて」

「なッ!? え、あ、いやっ、その!? そ、そういうのは人に聞く事ではありませんから!」

「えっ、うーん、下町の言葉とかなのかな。兵士さん達なら知ってるかな……?」

「ちちちち違います! コガネみたいな可愛い子がそんなの聞いてきたら一発ぴょんぴょんですから絶対に聞いちゃダメです! 誘われても断るように! ひ、酷い目にあいますよっ!」


 顔を真っ赤にするナミミ様、大変お可愛くあらせられました。

 ていうか俺、ナミミ様に可愛いって思われてたのか……なぜに? だけどこりゃペットとして可愛がられるルートへ順調に進んでるって事よな! ふはははは!



 尚、その後レベルアップするまで口聞いてくれませんでした。ちょっと反省!


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