外伝・僕が、僕が、先に好きだったのにぃ


 天神は振られた。 

 それはもう盛大に振られた。

 振られた上で彼女から、いや、マグニちゃんから様々な話を聞かされた。

 

 自分が異世界からの来訪者であること、自分が元は男であり妻もいたことがあること、申し訳ないが今の自分にそう言った趣味はないということ。


 天神は一切気にしなかった。

 何故ならマグニちゃんにそれはもうぞっこんラブユーであったから。


 それからも天神はアタックし続けた、自分の未来を見通す力含め、数多の権力を多用しまくってアプローチした。


 その途中、マグニちゃんの悲しき過去を知った。

 それでもめげずに前を向き続け国を作ったが、裏切りにあってこの世界に流れ着いた話を知った。

 それが国の為に努力をし続けながらも都合の悪くなった上によって嵌められ、世論が敵に周り自殺に追い込まれてしまった彼と重なっていて余計に好きになった。

 マグニちゃんがこの世界に来てからの足跡も知った。

 平和で豊かで笑顔に溢れたこの国を愛してくれて、自分は王の器ではないから、せめて手の届く範囲で人を救おうと孤児院を運営しているのを知った。

 数多の人を助けて救って導くマグニちゃんのその姿はまるで現代に蘇った聖女であった。

 

 マグニちゃんは逸脱者であった。

 神覚者とは違うプロセスにて人の身を超えて最強へと至った存在。

 その力は神覚者にも届きうる、格としては天神と同等であった。


 天神はマグニちゃんについて調べれば調べる程、関われば関わるほどに彼女のことが好きになっていった。


 だけど第一印象が最悪だったせいで天神はマグニちゃんから警戒されてしまった。

 それでもマグニちゃんは自分の正体を知り、功績を知り、認めてくれた。

 

「貴方の想いに応えることは出来ないが、貴方は私が成しえなかった平和な世界を実現した。貴方の苦労を分かるとは言えないが、元王であり一市民として心の底から感謝と敬意を示す」

 マグニちゃんは天神を真っすぐ見て感謝の気持ちを述べた。


 マグニちゃんの心は天使であった。

 マグニちゃんを一目見る度に天神の鼓動は唸った。

 マグニちゃんの事を考えるだけで天神の時間はあっという間に過ぎさっていった。

 

 今まで誰とも恋愛をしてこなかったどころか、何もせずとも女が寄ってくるだけの美貌のお金を持っていた、ある種恋愛レベルー100の天神は盛大に間違っていた。

 

 マグニちゃんに無駄に高価な贈り物をした。

 マグニちゃんがもっと世間で認められるように情報操作をした。

 マグニちゃんが望む世界になるように孤児院を運営するNPO法人を設立して数多の孤児を救済した。

 マグニちゃんが嫌なものを見なくて済むように、より一層悪党を滅ぼすことに邁進した。


 前者2つは、マグニちゃんから少し怪訝な顔をされるも、後者2つはマグニちゃんの好感度を上げることに成功した。

 ただ、その好感度は尊敬といった物であった。


 天神はマグニちゃんを諦めきれなかった。

 マグニちゃんの為なら何でもした。

 相変わらず少しの警戒はあるが、非常に紳士的かつ多大な功績をあげて尊敬できる存在である天神をマグニちゃんは少しずつ受け入れ、恋人ではないものの友として接してくれるようになった。


 天神はそれはもう喜んだ。

 だけど天神の最終目標はマグニちゃんと一緒になること。

 過度なアプローチは逆効果だと同じ神覚者である上野から教わり、気を付けながら、アプローチを続けた。


 そして天神がマグニちゃんと出会ってから10年以上の月日が過ぎた。

 

 相変わらず友人という関係のままではあったが、肉体関係は持つようになった。

 元々、マグニちゃんのいた世界でも同性交流の文化が一定数存在していたのが一点、純粋にマグニちゃんもそういうのに興味が零ではなかったというのが一点、天神のアプローチに友人、親友として応えてもいいとなったのが一点。魔術的意味があっての理由が一点。

 色々な理由を言い訳みたいな感じで並べたが、肉体に引っ張られるように段々のマグニちゃんの魂の本質が女性に寄っていき、天神を受け入れ始めていたというのが大きな理由の一つでもあった。


 そして更に○○年以上の月日が流れた。


 異世界からの侵略者を退け、数多の人々を救い、世界平和を保ち続けた。

 戦争もなく幸福に溢れる優しい世界で・・・マグニちゃんは天神とは別の男性と結婚した。

 マグニちゃんとおこがましくも結婚した男は自分が昔、マグニちゃんと一緒に助けた孤児の一人であった。

 孤児施設でマグニちゃんの愛を受けて育ち、大きくなりSランク覚醒者として活躍しながら正義を尊び正しく勇ましい心を持った勇者の様な人間だった。

 ただ、孤児になってからは恵まれて恵まれて恵まれて恵まれて恵んでやった人間だ。




 マグニちゃんの孤児院出身だから俺が裏で手を回してやっていった。

 手助けをしてやっていった。

 俺の様な苦労も地獄も経験せずに俺が生み出してこの平和な世界を享受している分際で、分際で・・・。

 お前は、お前如きが一体誰に手を出している、俺の女神に天使で聖女に俺の俺の俺の俺のぁぁぁ・・・。

 そんなの許せるわけがないよな。嗚呼、そうだ許せるわけがない。許していいわけがない。

 そもそもお前は俺のおかげで生きれて、俺のおかげで大成出来た人間だ。

 この世界は俺によって平和が築かれて存続しているんだ。

 それなのにぃ、俺の俺の思い通りにならずに、こんな仕打ちをするなんてふざけている。


 嗚呼、本当に許せるわけがない。


「嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼、アアアアアアアああああああああああ!アアアアアアアああああぁぁぁぁぁ。ハハハハハ。

 そう、僕が、僕が先に好きだったのに!

 お前、ごときが、お前の様な人間がぁぁぁぁぁ」

 

 嫉妬に狂いながら天神はその男を残虐に残酷に残忍に冷酷に無慈悲に苛烈に無常に惨殺した。

 









「天神、お前お前が、なんで●●●●をそんな風に殺すのじゃ・・・何故なのじゃ・・・何故・・・否、許せるわけがない。何故じゃ、何故じゃ・・・



 そんなふざけた理由で・・・


   殺してやる。天神、お前を殺してやる」







 そして天神は死闘の末に自らの手で最愛の人を殺した。


































 

 

 

 


 天神は人生で3回だけで自分の記憶を過去に送ることが出来る。

 一回は暴食の神覚者と世界を救うために使用した。

 残りは二回。

 その二回の内一回を利用して、過去へと記憶を送る。

 送るのは自分の愛してやまないマグニちゃんがこの世界に来訪する1週間前である。


「嗚呼、今度こそは君を僕の最高の花嫁として迎えるよ」


 因みに蛇足でなあるが、この記憶送りに制限や制約は回数制限が3回あるということのみで一切ない。



――――――――――――――


 という訳で誕生日ということで14話連続投稿でした。

 少しでも面白いと思って頂ければハートや感想、星を入れて頂ければ嬉しい限りです。

 話の都合上、飛び飛びであったり狂気を感じる部分が多かったので、何処かで補足説明&人物設定挟みますので安心してください。

 というかある程度は書いている。

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