第3話 【仙道 莉来】は真実を知る
「...なんで俺も連れて来られたん?」と、小声で囁く。
「仕方ないじゃないですか...私だってよくわからないんですから。一応仲間がそばにいて欲しいじゃないですか」
バイト後にとある24時間営業のファミレスで向かい合う4人。
どうやら、春川先輩と知り合いらしい二人の女子。
そして、現在付き合っている仙道に話があるとか...。
まぁ、この場合どうやったっていい話が来るとは思えない。
さて、どうなることやら...。
「...突然呼び出すようなことをしてすみません。少し話を聞いて欲しくて...私達は中学の時、春川先輩と付き合ってました」と、二人で目を合わせる。
「...達?」
「...はい。すみません、自己紹介遅れました。鈴宮女子校に通っている、1年の
「...どういうこと?」
彼女達が話してくれた内容を要約するとこうだった。
彼女たちはお互いに春川先輩と付き合っていることを秘密にしていた。
しかし、ある時、春川先輩とデートしている時に鉢合わせてしまい、お互いに仲違いしてしまった。
が、春川先輩はどっちにもいい顔をして、結局二人とは別れずにこっそりと二股し続けた。
それも長くは続かなかった。
ある時、春川先輩が他の女と遊んでいるところを見たというクラスメイトの話を聞いて、最初こそ信じなかったものの、一応前科もあったため、調べてみたら彼女や肉体関係を持った女性たちがウジャウジャと出てきた。
そのことを問い詰めたところ、開き直ってこう言ったらしい。
『別に何股したっていいだろ。お前らにいい夢を見せたんだから』と、悪びれもなくそう言ったらしい。
その後、彼女たちは同じ被害者として仲直りをした。
「...つまり、大樹くんがそういうやばいやつだってことを伝えにきたってこと?」
「...いえ。話はまだ終わらないです。むしろここからなんです。今の話は中学生1年の時の話で...つい数ヶ月前まで私たち二人は...彼から嫌がらせを受けていました」
「...嫌がらせ?」
「はい。あの噂が広まってから中学では彼に近づく人はいなくなりました。それに私達が中学2年になるころにはあのひとは高校1年になるわけで、必然目にする機会も会うこともなくなったんです。けど...いや、なのに毎日毎日私たちの家の周りをウロウロして、偶然を装って話しかけてくるようになったんです。最初こそ控えめでしたが、ドンドンとエスカレートしていって、最終的には警察にお伝えして接近禁止を出されてからは少し落ち着きましたが、それでも...しつこく付き纏われたんです」
「...そんなにやばい人だったの...?」
「はい。もし知っていて付き合っているのなら別にいいんですけど...。もし知らないなら、早めに手を引いた方がいいと思うんです。私たちのように大変な目にあうまえに」
「私のことはどこで...?」
「
「...いえ」
そうして、2人は帰って行った。
そのまま残された俺と仙道...。
無言のまま、ドリンクバーの飲み物をストローですする。
「...ヤバくないですか...今の話」
「まぁ...ヤバいな。一応、現状では彼女たちの話が嘘だって言う可能性も...0ではないけど...その束縛とかも含めて考えると...な」
「...でもどうすればいいんですか?別れた後が一番やばいんですよね?」
「そりゃ...今のまま仙道のことを守ってくれるようなムキムキイケメン彼氏を探すしかないだろ」
「いやいやいやいや、私が浮気したってことになったら余計やばくないですか?え?でも...どうすれば...。あっ!そ、そうだ!今からでも想和に...って、想和は知ってた...はずだよね。あの子達と同じ学校なはずだし...。それでも付き合おうとしてたってこと!?イカれすぎじゃない!?」
「お、落ち着け。確かに...イカれているとは思う。けど...まぁ、そうだな...どうしようか...」
「じゃあ、先輩が私の浮気相手役やってください!」
「いや、勘弁してくれよ」
「お、おっぱい触らせてあげますから!」
「...いや、勘弁してくれよ」
「じゃあ、え、エッチなこともしてあげますから!」
「......いや、勘弁してくれよ」
「それ以上どうしろと!?」
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093083465737684
「いや、一旦落ち着け。とりあえず、仙道はどうしたいんだ?」
「一刻も早く別れたいに決まってるでしょ!流石にやばすぎるって!これ以上付き合っても絶対やばいもん!なんか弱みを握られる前に別れるべきでしょ!」
「...なるほど...な」
「...先輩、これから私の相談に乗ってくださいね...。話を聞いちゃったわけですから...」と、ヤンデレのような顔をし始める仙道であった。
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