第22話 あなたの去った町

愛を知らないあなたは何もかも諦めたみたいに、一匙の優しさを残して町を去った。丘から見下ろすいつもの風景。風が泣いている。愛を知らないあなたは愛を知っている人よりずっと優しかった。心が汚れて壊れそうになる前に、何も言わずに旅立つ。丘の上の鐘だけがその背中を見送った。旅人に幸あれと。

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