第365話 魔大陸

 ミスリルゴーレムは反重力。というわけで、俺たちはさっさと魔大陸上空に到着した。とはいえ、大陸に着くのは簡単だが、魔族ことフラーンゲ一族の棲処を探すのは容易ではないだろう。なんせゲームみたいにドット絵ブロックで描かれているわけではないのだから。


 ——と思ったのだが。


「あら。あれじゃありませんこと?」


 大陸全体に広がる、広大な森林。まるで南大陸のロウチュカ大森林のようだ。その中に、一部もっこりと盛り上がる部分が。下の地面が盛り上がっているのか、それともフィーレンスの世界樹のような大木なのかは不明だが、とりあえず俺たちは、そこに降り立つことにした。


 ゴーレムを上空に停泊させたまま、ピザ屋のバイクで降り立つ。バイク一号は俺とノーム組、そしてバイク二号は公爵夫妻。アレクシス様は自前の箒型ゴーレム、トリヒターで颯爽と。


 ちなみにバイクは公爵夫妻にものすごく不評だった。これならアロイス様の木馬の方がよほどマシだって。ひどい。それなら今度、アロイス様に新しいの作ってもらえばいいと思うよ。もれなく目から怪光線を放つけども。


 ゆっくりと下降するにつれ、鬱蒼とした枝葉が視界を覆う。どれだけ進んだことだろう。もう地下まで無限に森なんじゃないか。そう思った途端、急に視界が開けた。いや、開けたというより、闇がぽっかりと口を開けていたといった感じ。そこに、薄ぼんやりとした光が点々と点いている。


「——なんだここは」


「これまで訪れたことのないタイプの場所だ。クラウス、警戒して」


 これまで幾多の戦場や魔物の棲家を渡り歩いてきたアレクシス様が、声を潜める。しかし俺の鑑定に引っかかるような敵意は感じない。それよりも、


「これ、入り口じゃないでしょうか」


 暗闇の中、頼りない光に照らされて、不気味に浮かび上がる朽ちた扉。これは開けてみるしかなさそうだ。


 ところが、苔むして今にも崩れそうに見えた扉はとにかく頑丈で、取っ手はあるが押しても引いても開かなかった。筋肉ダルマのお爺様と互角に渡り合うディートフリート様が奮闘するが、びくともしない。途中でたおやかな笑みを浮かべたエデルガルト様に交代したが、一瞬がチャリと開きそうになって、でも開かなかった。いや、どっからどう見ても細身の淑女だが、筋力どうなってんの。そういえば、毎回お爺様を易々と縛り上げていたが。


 その後、アレクシス様が魔法陣やそれらしきものを調べたが、それっぽい仕組みはなく。ノーム組は扉の下からロックパイルを生やしてこじ開けようとしたが、スキルは不思議な力にかき消された。こんなの絶対怪しいじゃん。ならばもうこれしか。


「とりゃ」


 チュン。開かぬなら、壊してしまえ、ホトトギス。


「クラウス。君ね……」


「やるかと思った」


「血ですわね」


 三人の大人たちから半目で見られる。なぜ。てか俺、誰とも血が繋がってないんだが?


「婿殿、ソレハドノヨウナ?!」


「スサマジイ精霊ノ力ヲ感ジマスル!」


 そして全属性光線「チュン」に反応するノームの二人。しまった、披露するのはちょっと早まったか。




 しかし予想に反して、中はさっぱりと綺麗な通路が続いていた。外のような薄暗さはなく、すっきりと明るい。


「どういうことだ、これは」


 しかしどこにも光源が見当たらないのに、全体が不思議と明るい。この光景は見たことがある。


「気をつけてください。ここはダンジョンです」


 アレクシス様が鋭い口調で警告した。俺の視界の端にもカレスティナからのアラートが見えていた。


『セフィロトダンジョンに侵入しました』




✳︎✳︎✳︎


2025.09.14 追記


皆様、いつも読んでくださって本当にありがとうございます!

いつも温かいコメントやご指摘を賜り、厚く御礼申し上げます!

相変わらず立て込んでおりまして、返信が滞っており、大変申し訳ございません。

しばらく簡易的なお返事になりますが、どうかご容赦ください。


何度申し上げても足りませんが、拙作の真に面白いところは読者の皆様からのコメントでして、もし読み飛ばしてるよって方がいらしたら、是非ご覧ください。

秀逸なボケ、鋭いツッコミ、言い逃れのできない先読み、それから作者のポンコツっぷり。

また、公開からお時間が経ってから書き込んでいただいたコメントもございます。

もし読み返される機会がありましたら、本編は斜め読みで結構ですので、是非コメント欄をお楽しみくださいね!ヾ(*´∀`*)ノ


重ねまして、読者の皆様には心から感謝申し上げます。

いつもありがとうございます!




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