「アーケオVSブレド」
会場の外。ディーノが歓声を聞きながら、決勝に進出したアーケオに想いを馳せた。
「あの本。まさかな」
「レックス隊長。準備が整いました」
物陰からフードで顔を覆った男が出て来た。
「わかった」
フードで顔を覆った男が読んだ名前に懐かしさを覚えながら、ディーノをが応じた。
闘技場は熱気に包まれていた。目の前には異母兄のブレド。アーケオと同じく腰には黄金の剣を携えていた。
「まさかお前がここまで勝ち上がってくるなんてな。強くなったのは本当のようだな」
「兄さん。僕はもう昔の僕ではありません」
一族の中でも末席の立場だった彼は妾の子という理由で惨めな思いを強いられてきた。彼はこの戦いで今までの過去を払拭したいのだ。
「それでは世界大会決勝戦! 始め!」
「
「
審判の合図とともにアーケオとブレドが黄金の斬撃を打ち込んだ。二つの斬撃がぶつかり合って、凄まじい爆発が二人の間で起こった。
爆発が過ぎて、周囲が土煙で覆われる中、アーケオは周囲に気を張る。すると背後から殺気を感じて、振り向くとブレドが斬りかかって来た。すかさず、アーケオは攻撃を剣で受け止めた。二つの勇者の剣が火花を散らし始める。
「偽物の剣で勝って嬉しいか?」
「僕にとっては本物ですよ?」
「ほざけ!」
ブレドが目つきを鋭くして、動きを速くした。アーケオも負けじとブレドの動きに対抗する。ブレドの動きの速さは確かに尋常ではなかった。しかし、この数ヶ月でアーケオはその動きに追いつけるほどの凄まじい成長を遂げたのだ。
「すげーぞ! あのブレドに追いついている!」
「マジかよ!」
互角の戦いに観客達が叫び声をあげた。世界大会も後半に差し掛かっているという事もあってか、これまで以上の熱気が会場を包み込んでいる。
その中、アーケオの剣がブレドの頰を掠めた。兄の頰から赤い血が線を引くように流れた。
「旅で腕を上げたようだな」
「ええ。多くの経験が出来ましたから。その過程で分かった事があります」
「ほう? それはなんだ?」
「貴方より強い人間がたくさんいるという事ですよ。井の中の蛙ですよ。兄さんは」
アーケオはあえて、挑発するような言葉を投げかけた。その瞬間、ブレドの目が露骨に色を変えた。
「ハハッ! かすり傷をつけた程度でいい気になるなよ」
ブレドの右目が黄金の光を放ち始めた。彼の魔法が発動されたのだ。
「お前が俺に勝てる日はこない! それをここで証明してやる!」
ブレドが蛇を彷彿とさせる表情でアーケオを睨みつけた。
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