第四話 冒険者になる僕
目が覚めた、どこだか知らないが、ふかふかベットの上
隣にあった窓にかかるカーテンを開ける、そして、街並みを覗く
「ああ、やっぱりここは―――」
「あ、起きた?」
僕が街並みを見て、少し独り言が漏れだそうとした時
聞いた事のある声がそれを遮った、そう、さっき助けてくれた女性だ
「はい、起きたんですけど、ここは?」
「ここは、冒険者協会、ライオット支部にある私の家」
「はぁ、なるほど」
冒険者、その聞きなれない言葉から察するに、ここはやはり、異世界
そして、俺が生まれた?場所がダンジョン的な奴だろう
ゲームとかで見たことがある、ゴブリンもそうだ
「あ、そうだ、助けてくれてありがとうございます、後で何かお礼を」
僕はベットの上で、上からで恐縮だが、頭を下げて感謝を述べる
「大丈夫、確かに私も助けたけど、最終的に助けられたのは私、お礼はいらない」
「いやいや、僕も助けた?けど、巻き込んだのは僕だから」
「そう、ならいいけど……」
少し悲しそうな表情で、彼女はそう言う、そして沈黙、言葉が無くなる
「えっと、あなたの名前は?」
「アイリス」
「あのさ、アイリスさん、この世界の事、教えて欲しいんですけど」
「いいよ、多分、君、漂流者でしょ?」
「漂流者?」
「次元の歪みとか、色んな理由で別の世界から流れてきた物を漂流物っていうの、流れてくる人は初めて見たし、記録や噂にも残ってないけど、人だから漂流者」
なるほど、記録や噂には残っていないけど、他にもいるのかな
大昔とかだったら、見たところ文明もかなり前の世界に近いし
「来て、案内するから」
彼女はいつの間にか、扉の付近に移動しており、そう言う
それを聞き、僕はベットから出て、歩き、彼女の方に向かう
「まず、ここが冒険者協会、ライオット支部」
さっきいた部屋から出ると、沢山の人が集まる、酒場の様なスペースがあり
そこを見下ろす、この人たちが恐らく、冒険者なんだろう
そんな事を考えながら、僕は彼女に連れられるまま、階段を降りていく
「おい、あれ第一階級の紫電のアイリスじゃないか?」
「え?マジじゃん、こんな辺境の街に来るんだな」
すごい注目を受けている気がする、僕がというより、隣の彼女だが
「じゃ次」
そう言って、彼女は冒険者協会を出る
周りの視線なんて一切気にしていないような様子で
「ここが服屋、ここが鍛冶、ここが食堂、ここが宿」
アイリスの説明はてきぱきと進んでいく、簡潔な説明だけして、また次の場所へ
そんな説明が繰り返され、今、冒険者協会に戻ってきた
「そのくらい、分かった?」
「うん、分かった、ありがとう説明してくれて」
取りあえず、大体、生活するために必要な施設や店は分かった
けど、お金が無いから使えないんだけど、、
「じゃ、最後、冒険者登録をしよう」
「へ?」
そう言いながら、彼女はサクサクと歩き、冒険者協会の扉を開く
「いやいやいやいや、ちょっと待って、冒険者になるとは、一言も―――」
「ならないの?」
「……なるッ」
そりゃならないわけないじゃないですか、当たり前に考えて
異世界に転生して、冒険者にならない奴とか今どきいるんですか、逆に
確かに、危ないとかいろんな意見あるだろうけど
そりゃ死にたくないし、痛い目に会いたいわけじゃないでけど
ロマンなんだよ、憧れなんだよ、男の子にとってはなぁ!!!!
「では、ここに名前、希望する役職などを書いてください」
そう言われ、僕は受付のお姉さんに差し出された書類を見て、色々書く
名前、、日本にいた時の名前でいいのか?
一条凛っと
次は、、役職?ああ、下に一覧があるな、あれか剣士とか、そこら辺の―――
剣士「剣を扱う前衛アタッカー、剣で戦いたいならこの役職!」
魔法使い「魔法を扱う後衛アタッカー、魔法を使いたいならこの役職!」
白魔道士「白魔法を扱うヒーラー、パーティ―に一人いれば頼もしいぞ!」
盾使い「盾を扱う前衛タンク、パーティーに一人いると心強いぞ!」
うーん、どうしよう、死亡フラグが見えるっていう能力があるから
それに合った役職が良いんだよなぁ、盾は無しだな、パーティー前提だし
前の世界でも友達いなかったのに、友達ができるわけがない
白魔導士も、死亡フラグが見える能力と合っているが、パーティー前提だな~
なら、剣士か魔法使い辺りか、魔法使いもいいけど、ここは剣だな
魔法使いは後衛職だから、前衛がいないと難しい
剣士っと
後色々、なんかいっぱい書いて
「できました、お願いします」
そう言って、受付のお姉さんに手渡す
「はい、分かりました、イチジョウリンさん?で役職は剣士ですね」
「まず、こちらが冒険者カードです、名刺みたいな物だと思ってください」
「次に、初回登録サービスの銀貨10枚です」
「え、いいんですか?貰って」
「はい、初心者さんはお金が無くて困るという事が多いので」
「ありがとうございます」
「あと、ランク制度について説明します」
「ランク制度とは、実力や協会への貢献度を指標としたランキングです」
「第五階級から第一階級まで、依頼をこなしていくと上がります、今イチジョウ様は第五階級ですね」
「まぁ第一階級まで行ける人は少ないので、基本は第二階級が頂点と言っても過言ではないでしょう、隣に、第一階級のアイリス様がいらっしゃいますが、、、」
そう言いながら、受付のお姉さんはチラリとアイリスの方を見る
そんなに強かったんだ、まぁ確かにゴブリンの群れをたやすく倒していたしな
「説明は以上となります、聞きたい事があればここにきて質問していただけると、大体は応える事が出来ます、アイリス様の付き人なら必要ないとは思いますが」
そうして、僕は冒険者になった、これからの輝かしい冒険者ライフを夢見て
ただその頃の僕は知らなかった、冒険者というとても過酷な職業の事を―――
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