後半戦
第26話
「おっはようございまーす!」
「おはようございます」
望月勝利と
「おはよう望月兄弟!」
ということなので、求人サイトでの新メンバーの募集は取りやめている。また
「今日はA班とB班に分かれて、紋黄町内でティッシュ配りをするわよ!」
ヒーローショーは好評につき、隔週日曜日に十一時と十四時の二回の公演が
「フォワードとリベロ?」
ティッシュにはそのサイズに合わせた小さなポスターが挟まっていた。サムライブルーの
「鳩山くんが描いてくれました!」
「へー! すごい! めっちゃ上手!」
「鳩山は絵の勉強をしていたのか?」
「いやいやいや。趣味で、マンガやアニメのキャラを描いていただけで、専門で勉強してきたわけでは、ないです」
「これだけ描けるんなら大したもんやで。趣味やのうて、業務としてきちんとせなあかんよ。なあ。こまっちゃん、はとぽっぽにちゃあんと使用料は支払ったん?」
「そういうのはタクトの仕事よね?」
「え、……はとぽっぽ? 鳩山だから?」
A班はこまち、勝利、タクトの三名。
B班は勝風、川鵜、鳩山の三名。
で分かれるようだ。ホワイトボードに書かれている。配布エリアはA班が紋黄町の駅のロータリーが中心。B班が紋黄高校の周辺となっていた。
「どちらが先に配り終えるか、競争するわよ!」
「おー!」
「もちろん、アポストロフィーの怪人が出てきたらそちらを優先で。すぐに連絡すること!」
「りょうかい!」
「下鴨さんは?」
名前が上がらなかった下鴨は「鳶田社長から頼まれごとがあってな」とアタッシュケースを叩いて見せた。
リベロ部隊の責任者である夜長は、クオートの社長が本職である。クオートの小灰町のビルがなくなってから、退院したのちに関係先を飛び回っていて、以前に増して忙しい日々を送っていた。
「では、さっそくゴーゴー!」
「の、前に。ショーブ、ちょっとええか?」
「ん?」
タクトが手招きして、勝風を呼び寄せ、ふたりで仮面バトラー事業部の扉の外へ出る。扉を閉めてから、タクトは勝風に問いかけた。
「なんかおかしいと思わん?」
「オレが?」
「ちゃうちゃう。ショーリや。あの子、前まではあんまり戦いには乗り気やなかったのに、ここんところは妙に張り切っとるっていうか。兄から見て、どうや」
「いいことじゃないか。何もおかしくはない」
「ウチらとしては戦ってくれるに越したことはないんやけども、なんか気になるんよね。心境の変化?」
「仮面バトラーとして、アポストロフィーの怪人を全て倒す。その使命に目覚めたというのなら、オレたちは歓迎すべきだろう」
「うーん……まあ、ウチの考えすぎかな……」
「それほど気になるのなら、勝利に直接聞けばいい。何故オレに聞く?」
「せやな。あとで聞いてみるわ。同じ班やしな」
*
A班の三人と下鴨は、タクトの運転する車で駅前にやってきた。下鴨はここから電車に乗り、夜長のもとへと向かう。
「いってらっしゃーい!」
「お見送り、ありがとう。行ってくる」
敬礼する下鴨に、三人は敬礼で返した。その姿が改札を通って、駅のホームへと進んでいくのを見送ってから、街路樹の根元に段ボールを置く。
「さて、やったりますか!」
「やったろう!」
段ボールからティッシュを三個ずつ掴み取り、気合いを入れるこまちと勝利。タクトもふたりとおなじく、いざティッシュ配りを始めようとティッシュを拾い上げた。
「地道な草の根活動、ってところ?」
聞き覚えのある声だ。久しぶりではあるが、忘れてはいない。
「あっ」
「ああ!」
知川朱未だ。この間の面接時とは違い、オーバーサイズのダウンジャケットにカーゴパンツという出で立ちである。
「おお、朱未くんやないか。会いに行ったんやけど、留守やったなあ?」
タクトは胸ポケットから指揮棒を取り出した。いつでもムジカドライバーを呼び出せる。
「今日の俺は鶴見センパイに用事があるんです」
「わたし?」
「鶴見センパイ、お嬢様になってくれませんか?」
「……はい?」
お嬢様。それは、アポストロフィーが探し回っている存在。それは、こまちでも知っている。
「俺と鶴見センパイで、仮面バトラーとお嬢様。いいでしょう?」
「何を言うとんの」
「運命の
朱未の手には二つのブレスレットがあった。これは、フォワードベルト、リベロヴァルカン、ムジカドライバーに続く、第四の変身アイテム。
「現在のアポストロフィーに足りないのは仮面バトラーに対抗できる戦力。仮面バトラーと互角に渡り合うために、仮面バトラーを用意しなくてはならない。そして、仮面バトラーを、仮面バトラーとして成立させるには、お嬢様が必要なんです」
そのブレスレットのうちの一つをこまちの右腕に装着し、もう一つを朱未自身の左腕に装着した。それから、ブレスレットに右手をかざす。
「
磁場の歪み。朱未を中心として天から円柱状に降り注ぐクモの糸。縦糸と横糸が組み合わさり、
「仮面バトラー、ガット」
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