第12話

 結城誠は、山田美咲の言葉を受けて、地図に示された「秘密の場所」へ向かう準備を整えた。彼は再び湖のボートを使い、目的地である島へと向かった。湖の水面は静かで、薄曇りの空が島の景色をぼんやりと映していた。


島に到着すると、結城は古びた灯台の近くにあった「秘密の場所」を慎重に探し始めた。地図に記された印を頼りに、周囲を調べると、草むらの中に小さな隠し扉が見つかった。扉を開けると、地下に続く階段が現れた。


 結城誠は懐中電灯を取り出し、階段を降りていった。地下室に到達すると、そこには古い木製の棚や箱が並んでいた。結城は棚の上に置かれた箱を慎重に開けると、中には古びた文書や手紙が入っていた。


**結城誠:** 「これが田村さんが探していたものか…。この文書には何が書かれているんだろう」


結城は文書を広げ、じっくりと読み始めた。文書には、田村正義が湖の秘密を探る過程で遭遇した謎や、特定の人物が関与していた可能性が示されていた。また、一部の手紙には、古い遺産や家族の秘密についての記録が残っていた。


 地下室での調査を終えた結城誠は、再び山田美咲の家に戻り、文書の内容について話すために彼女と再会した。山田美咲は結城の到着を見て、驚いた表情を浮かべた。


**山田美咲:** 「結城さん、何か見つかりましたか?」


 結城誠は、文書の一部を取り出しながら話を始めた。


**結城誠:** 「はい、実は地下室でいくつかの文書を見つけました。これには、田村さんが湖で秘密を探していたことや、特定の人物が関与していたことが記されていました」


山田美咲は、文書をじっと見つめ、驚きと混乱の入り混じった表情を見せた。


**山田美咲:** 「それが本当なら、田村さんの死はただの事故ではないかもしれません。私たちが知らなかった、もっと深い理由があるのかもしれません」


**結城誠:** 「その通りです。文書には、湖の秘密に関わる人物が数名名前が挙げられており、その中にはあなたや他の容疑者も関係している可能性があるようです」


山田美咲は、深刻な表情で頷いた。


**山田美咲:** 「分かりました。もし私が知っていることがあれば、正直にお話しします」


 結城誠は、文書の内容に基づいて、さらに深く調査を進める必要があると感じた。次に、彼は田村正義の家族や知人からの証言を集めるため、再び各容疑者に対して追加の質問を行うことに決めた。


結城誠は、田村正義の親族である中村理恵を再び訪問し、さらに詳しい情報を引き出すための準備を整えた。


 中村理恵の家に到着すると、結城誠は改めて彼女に問いかけた。


**結城誠:** 「中村さん、田村さんの遺産問題についてもう少し詳しく教えていただけますか?文書には、家族間の対立が記されていましたが、具体的にどのような対立があったのでしょうか?」


中村理恵は、しばらく考えた後に答えた。


**中村理恵:** 「実は、田村さんの遺産を巡っては、家族の間で大きな争いがありました。特に、田村さんの遺産の一部を狙う者がいたため、緊張感が高まっていました。遺産問題は、家族内の感情をさらに悪化させる原因となっていました」


 結城誠は、中村理恵の証言をメモしながら、遺産問題が事件にどのように絡んでいるのかを考えた。


**結城誠:** 「その争いの中で、特に誰かが田村さんに対して敵対的な態度を取っていたような兆候はありませんでしたか?」


中村理恵は、慎重に言葉を選びながら答えた。


**中村理恵:** 「正直に言うと、家族内での対立が激化する中で、誰かが田村さんの死を利用しようと考えていた可能性はあります。特に遺産を多く受け取ろうと考えていた人物が怪しいと思います」


 結城誠は、これまでの調査結果をもとに、最終的な証拠を集めるために容疑者たちを再度呼び出すことにした。各容疑者に対して、これまでの証言や発見された証拠を突きつけ、事件の真相に迫るための決定的な証言を得る必要がある。


 結城誠は、全ての証拠と証言を元に、事件の真相を解明するための最後の対決を準備していた。事件の核心に迫るため、彼はさらなる調査を続けながら、容疑者たちと向き合う決意を固めた。

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