第10話 新たな家族と、幸せな時間
結婚式が終わりだし幸せな時間が、それぞれ訪れると思われた。
だが、それぞれに平穏な日常が少しずつ壊れ始めようとしていることはまだ誰もわからない。確かなことは歯車が少しずつ、かみ合わなくなっていることだ。
辰と優子の結婚式が終わり、二人には幸せな時間が始まろうとしていた。それと同じ時期に菊沢家には、幸せな時間は崩れようとしていた。
今谷が経営している会社に、修一と和彦が勤めていた。
今谷が家庭を持ち息子が出来ていた。その息子が大きくなり、高校卒業と親の会社であるところで勤めようとしていた。
結果、今谷の家族、修一、和彦の四人で新たに会社を経営していくことになった。
社長の今谷は今後、後継者として息子に会社を引き継いでいくために社長にふさわしいように育てていくことにした。
そこから数年。辰と優子は幸せな生活を送っていた。
丁度日本ではバブル時代に入っていた。それもあって、裕福な生活が続き二人はお金をためつつも、新婚旅行に行ったりしていた。
それから、めでたいことに二人の間に子供を授かることになった。それが後の私である、華昏であった。
そのことを聞きつけた、修一とサヤ子はとても嬉しく思っていた。意外にも一番喜んでいたのは修一だった。
菊沢家で初めても孫娘が出来たのだ。
お腹の子は順調で問題ない日々を送っていた。出産が近づくと少し慌ただしくなっていた。
予定日が来ても生まれてこなかったのだ。ただただ陣痛だけだった。そのため、病院側は強硬手段をとった。
次の陣痛のタイミングで、無理やりにでも出すことになったのだ。理由は、お腹の中の水が無くなりつつあり危険と判断された。
決行の日。
陣痛が起きたとき先生が行ったのは、赤ちゃんがつぶれないようにお腹の上に座り、押し出す行動をとった。
強引な手段ではあったものの、結果的に赤ちゃんは無事に生まれた。それが私、華昏である。
なかなか出てこないこともあり、頭はへこんだ状態だったため、優子は先生に、
「このへこみは治りますか?」
と、先生に聞いた。先生は、時間が経てば元に戻るということを優子に伝えた。
優子からしてみれば、異様なほどのへこみに心配していたが、結果的に元に戻ったようで安心したようだ。
生まれたとき、修一とサヤ子はとても喜んでいた。特に修一が一番、べた褒めしていたようだ。
入院中も仕事の終わりには、孫娘に顔を見に来るほど毎日のように来ていた。
優子と私は退院し、小さなマンションに帰ってきた。この家は私の第一の実家だ。
退院後も修一は仕事に行く途中に、私が住んでいる家があるため、朝行くときは必ず私の顔をみて仕事に向かった。
修一にしてみれば、本当にかわいい孫娘で嬉しかったのだろう。仕事もきっと頑張れたはずだった。
私が小さい頃、かなり手が焼いたようだ。夜泣きはすごく、なかなか寝てくれないみたいだった。そのため、夜中に辰さんが車をだしてドライブをしたりと試行錯誤したようだった。
そんな日々が一年続いた。
そして嬉しいことに、もう一人新たに家族に加わることになった。それが、私の弟である大樹だった。
私と大樹は年子でもある。
大樹はとても順調に素直に生まれたみたいだった。
面白いエピソードがあった。
生まれそうになった時、辰は慌てて優子を車に乗せて病院へと向かったのだ。病院に向かっている最中、大樹の頭の一部が出ていたのだ。あわよく、車の中で生まれるところまで来ていた。
その後、病院につくとすんなりと生まれたようだ。
そんな、面白いエピソードもあったという。
大樹も小さなマンションに来た頃、数か月したとき、中野家はバブル時代というのもあって、一軒家を購入することになった。
私が1歳の頃に、大樹は生まれて数か月の頃に、新居に移ることになった。
そこから、時間は少し経つと華昏に肺炎になってしまった。急遽、大きい病院に入院することになった。
私の看病をしてくれるのは優子ではなく、叔母のサヤ子であった。
それには、深い理由があった。
それは、家族にとっては小さくも大きい亀裂となっていく、まだ序章に過ぎなかった。
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