第26話 講談1・お力(25)

文豪、森鷗外や幸田露伴が一葉を知ったのもこの掲載を通じてのことでした。それゆえ、半井桃水こそは一葉の大恩人であったのです。その師・桃水を、仮初にも源七のモデルとして想起したのであれば、一葉は決して自分を許せなかったでしょう。ゆえに自分に、お力に、源七をして匕首を当てることと相なったのではないでしょうか…?

 しかしわたくしはこのような一葉が、引いてはお力が愛しくてなりません。耐え難い貧窮に抗しながら、また己の業に立ち向かいながら、時に2者が存外の道に踏み込むのは、これはもう致し方のないことでした。それでも未だ偽我であったこの己を、殺めて見せたのであれば、私はこの可愛いお力に「南無阿弥陀仏、お力さん」と云って弔ってあげたいのです…。🙏


さあて!(張り扇連打!)起きて、起きて、起きて。お客さん。眠ちゃっちゃあいけませんよ。へへへ。さぞやご退屈でしたでしょうが今度こそ「まずはこれまで」です。はい。よかったですね。えー、付きましては「講談Ⅱ〝ラメチャンタラギッチョンチョンデ〟」に是非またお越しのほどを。では、まずはこれまで。


客「冗談じゃねえよ。あ~あ。あ~あ。🥱」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る