二日目

第14話 実況者

 数分前に大きな公園を出たばっかりだ。その時時計は七時をだしていた。朝特有の風が緩く吹き込んでいて、「さわやかだ」と、思わず声をだすほどだ。

 手紙が届いた。

「ミッション! ミッション!」

 なんだあのモールに向かえと?

「倉本ショッピングモールへ、至急急行せよ。」

 くらもと、と犬は声をだす。わおーん、と付け加えた。

 倉本ショッピングモールは富士山に引けを取らない倉本山の4倍もの高さを誇るショッピングモールだ。

「よ、4倍……」忘れたように、わおーん、と付け加える。「残り9キロくらい。間に合うでしょう!」

 ミッションは絶対にクリアしないといけないから、飛行機を使って――という作品は無謀だ。そもそもアラバキでは工作して飛行機の何倍も速いのが作れるから無理だ。今アラバキで飛行機というものは日本でいうバス並みに扱われていて、東京から沖縄くらいの距離だったら4時間、500円でいける。ハワイだったら5時間12分、ハワイ税がたされて586円になる。

 アラバキ国の大石市には、(市というけれど北海道のように広い。)矢村島という島があり、そこがハワイのような観光地になっている。そこまでいくつかある首都のうち、島から最も遠いバンキー県(ブラジル並みに広い。)の端っこから、27800アラバキドル、つまり3千円弱だというのだから大喜び!


       *


 テツたちは、偶然倉本ショッピングモールの中にいた。

『「1階にアイテムが出現した。」だって』

 テツがいった。

 1階に急行すると、やはりテツたちは先着していた。涼しい冷房にやってきたのだ。秋の汗はいらない——。テツは汗を腕ではらって、「拭いてぇ」とせがむハルの汗も払った。

「よっしゃ〜!」

 運だけの男、テツは驚喜の叫び声をあげた。

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