ホテル『ウレイ』にて
隣乃となり
人間再開しますか
人間を辞めたくない、っていう気持ちがある。
なんか俺の中で、ここだけは絶対に!!っていう境界線があって、それをしっかり守ることを諦めると人間を辞めた、ってことになるんだと思う。
例えば、学生時代だったら絶対に不登校にはならない、とか、今だったら絶対にニートにはならない、とか。
別に不登校とかニートが悪いって言ってるんじゃなくて、俺の中の最低基準がそこなだけなんです。不登校でもニートでも人間続けられてる奴らなんてごまんといる。多分ね。
不登校にはならなかったけど残念なことに結局ニートにはなっちゃったな…。ということは俺は今『人間を辞めている』状態か。
堕ちるってのが一番的確な表現なんじゃないかと思う。全部面倒臭くて、でも辛うじて理性みたいなのがまだ踏ん張ってくれて、今まではそうやってギリギリ耐えられてたんだけど、やっぱり駄目だったみたいです。俺は堕ちてしまいました。
全部諦めたら楽になるかな〜と思ってたけど意外とそうでもなかったのがなんか悔しい。
だから最近俺は快楽堕ち系のエロ漫画とかを読むと結構気分が悪くなる。別物だと頭では理解していてもやっぱり駄目だった。わかってたような気もするけどその後の苦しみってのはやっぱりあるんだね。
は~~〜〜〜かったるい。
全部諦めたと思ってたけど、でもまだ生きることは諦めきれないんだなあと思うとなんか泣きそうになる。
『生きたい』というよりは『死にたくない』なんだろうね。死ぬのが怖いから仕方なく生にしがみついてるだけ。
ニートだし、生きがいはないし、控えめに言って酷い生活を送っていると思う。でも俺はまだ『人間辞めたくねえ〜』ってほざいてる。もうとっくに辞めてんのに!
じゃあもう一回人間に戻れば良いんじゃね?
たしかにそうだね。少なくともニートから脱却すれば良いんでしょうね。
調べたところによると、ニートは働く意欲がない人のことで、フリーターは働く意欲がある人のことを指すらしい。じゃあ、働こう!働きたい!って思ったらそれだけでニート脱却できんの!?俺人間再開できるんですか!?
でもフリーターはバイトやら何やらで一応働かなきゃなれないらしい。働くこと=意欲アリってこと!?
こんな真っ昼間からニートとフリーターの違いについてせっせと調べてる自分が惨めに思えてきた。賢者タイムは嫌いだ。
まあとりあえず、バイトしてみるっていうのもなかなか悪くない選択肢だな。
そういえば半年くらい前に、その頃はまだ友人だった人間からヤバいバイトを教えてもらった気がする。
たしかホテルかなんかで一週間くらい住み込みで働くだけでめっちゃ稼げるらしい。
別に金が欲しいってわけじゃなくて、いや…欲しい。欲しいな。欲しいです!
貰える額は多ければ多いほど良いでしょうが。
早速その友人だった人間(田町と呼んでいた、気がする)に連絡してみた。連絡先消さないでおいて良かった。あいつは今も俺のことをフレンドだと思っているのだろうか。ちなみに俺はどっちでもいいよ。
田町クン(本当は町田だったらしいけどいいや)は意外と俺に好意的な対応をしてくれた。
田「おーお前か。急にどうした?半年ぶりくらいに連絡きて驚いたよ。死んだと思ってた。アハハ。」
俺「…死んでないよ。あのさ、この前、結構前かな?お前が言ってたバイトの話。あれ、あのホテルの。俺やってみようかなって思ってて。だから詳しく教えてくれない?」
田「おー。お前やっと働く気になったんだな。なんだか感動しちゃうわ、ママ泣いちゃう。」
俺「…」
田「ごめんごめん。教えればいいのね?えっと、■■県にあるウレイっていうホテルで…」
そんな感じで色々教えてもらった。よく考えたらあいつすげーうざいな。
田町によるとそのホテルは『ウレイ』っていう名前で、■■県の端っこら辺の田舎町にあるらしい。なんか6月と12月にめちゃくちゃ混むらしくて、それでバイトを募集してるみたいだ。今は丁度6月で、お前運良いな、と田町に言われた。
それにしてもこんな高額アルバイト恐怖でしかない。普通に訳アリすぎるだろ。七日間で35万円だよ…?働いてる人たちってこれくらいが普通なの?多分違いますよね…。
殺されるの?七日間の間で何されるっていうのよ。
でもまあいいや、と思った。死んだらそれはそれで運命だったということで。
行きますか。面接。
なんかこっから片道5時間はかかるらしい。
遠くね?
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