陰キャなオレが陽キャになったら幼馴染が陰キャになった⁉︎

猫の集会

ぼっち

 ボクの名前は、佐田さた 浩介こうすけ

 

 

 ボクは、一人でいることが大好きだ。

 

 

 静かに読書したり、のんびりお絵描きをするんだ。

 

 

 でも…

 

 でもね…

 

 たまに思うんだ。

 

 美桜梨みおりちゃん…いいな、楽しそうって。

 

 

 美桜梨ちゃんというのは、ボクの家のお隣さんだ。

 

 

 幼稚園が終わるといつも美桜梨ちゃんと遊ぶのが日課だ。

 

 

 幼稚園では、美桜梨ちゃんとは遊ばない。

 

 

 だってボクは、静かに一人で遊びたいのだから…。

 

 

 静かに、座って…

 

 

 そう、ボクはじっとしていたい…座っていなきゃって一生懸命自分に言い聞かせていたのだ。

 

 

 なんのために?って思うでしょう?

 

 それは、静かにしているとお父さんとお母さんから、おりこうさんねぇって褒められるからだ。

 

 でも…

 

 でもボクもほんとうは、めちゃくちゃ遊びたい‼︎

 

 美桜梨ちゃんみたいにキャッキャキャッキャ笑って毎日を過ごしてみたい。

 

 

 そう思っていた。

 

 

 美桜梨ちゃんは、すごくお友達が多くていつもまわりには誰かがいる。

 

 

 ボクは、いつも幼稚園では…ぽつん。

 

 

 でも、いいんだ。

 

 幼稚園から帰ったら美桜梨ちゃんと遊べるから。

 

 

 そう思っていたんだけど…

 

 

 …

 

 

 美桜梨ちゃんがお引越しをすることがわかった。

 

 

 ボクは、一瞬頭の中になんにもなくなったんじゃないのかな?ってくらい呆然とした。

 

 

 お引越しまでの間までなら、一緒に遊べるよって美桜梨ちゃんは言ってくれた。

 

 

 だから一緒に遊んでたんだけど…なんだか頭がふわふわだ。

 

 美桜梨ちゃんがいなくなる?

 ボクは、どうなっちゃうの?と、美桜梨ちゃんがいなくなってしまったときのことを考えると、なんだかぽつんとトンネルに置いていかれた気分になり、とても不安で仕方なかった。

 

 

 美桜梨ちゃん…。

 

 

 美桜梨ちゃんは、またお父さんの仕事の都合でこっちに戻ってくるかもしれないから、だからそんな寂しそうな顔しないでよって明るい顔でニコニコしていた。

 

 

 美桜梨ちゃんは、不安じゃないのだろうか?

 

 新しい土地で知らない人と暮らしていくのが…

 

 新しい友達、新しい本屋さん、新しい公園…

 

 

 無理だ。

 

 ボクには、無理。 

 

 考えただけで心がおしつぶられる。

 

 

 

 お父さんとお母さん以外みんな知らない人なんて無理。

 

 

 でも、美桜梨ちゃんは引越しの日ニコニコでボクに手を振ってくれた。

 

 美桜梨ちゃん…

 

 

 ボクは、あの美桜梨ちゃんの笑顔をずっと忘れてはいない。

 

 

 美桜梨ちゃんいつ帰ってくるかなー。

 

 

 ボクは、美桜梨ちゃんが帰って来るのをずっと待っていた。

 

 

 一週間、二週間…

 

 

 …

 

 

 外で美桜梨ちゃんを待っていると、お母さんが眉を下げてボクにいつも同じことを言う。

 

 

「そんなにすぐには帰ってこないわよ」

 って。

 

 …

 

 

 え?

 

 そうなの⁇

 

 美桜梨ちゃんは、じゃあいったいいつ帰ってくるの⁇

 

 

 ボク…だれと遊べばいい?

 

 だれとお話ししたらいいの?

 

 

 …

 

 

 今までは、美桜梨ちゃんがいるから大丈夫って思っていた。

 

 でも…

 

 でも、美桜梨ちゃんはいつ帰ってくるかわからない…。

 

 それどころか、もう帰ってこないかもしれないって思ったら、ハッとした。

 

 

 ボク…ずっと一人なの?って。

 

 

 …

 

 イヤだ。

 

 イヤだイヤだ‼︎

 

 

 美桜梨ちゃんみたいにボクだって毎日笑って過ごしたい。

 

 

 ボクも美桜梨ちゃんみたいになりたいんだ‼︎

 

 

 そう決心して、早速次の日からお友達をつくることにした。

 

 

 本は、お家で寝る前に読むことにした。

 

 

 なので本棚コーナーは通り過ぎて、ブロックで遊んでいたお友達に勇気を出して、声をかけた。

 

 

「あーそーぼ」

 と。

 

 

 すると、隣にいた優斗くんという男の子が持っていた青のブロックをボクに一つ渡してきて、

「赤いお城作ろうよ」

 と言ってきた。

 

 ボクが渡されたのは青いブロック…

 

「優斗くん…赤いお城作るの?」

「うん」

 

 …

 

「これ、青なんだけど…」

 

 渡されたブロックを恐る恐る差し出すと、優斗くんは、

「あ、間違った。青いお城ね」

 と笑った。

 

 ホッ

 

 赤と青間違えただけか。

 

 

「よし、作ろう‼︎」

 

 ボクは、張り切った。

 

 なんならお城が完成すると、剣までブロックでつくりだし、そこら辺にいた女の子を見つけて、

「姫さま、いまお助けします」

 と勝手にシナリオまで作り上げた。

 

 

 ボクは、本が大好きだったからいろんなお話しを組み合わせていろんなことをした。

 

 手先も器用だった。

 

 

 なので今では、みんながボクのまわりに集まるようになったのだ。

 

 

 続く。

 

 

 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る