佐々木龍之介 1980~1997 4

 神頼みである。


 頭の中が破裂しそうな私は声に出して発散するように大きな声で言った。





 夜の境内にビュウゥッと冷たく強い風が吹く。





 その風は私の背筋をするりとなめるように通り過ぎた。


 そして、私は顔を上げると何かスッキリしたような感覚があり、そのまま家に戻ってぐっすりと眠りについた。





 次の日の私はとにかく冴えていて、午前中に午後の仕事も片付いてしまう程であった。


 祈っただけでこんなにも変わるなんて私も単純なんだなと、昨日まで悩んでいた自分が滑稽に思えてしまう。





 昼食には午前中に頑張った自分へのご褒美ということで、ドカッと1ポンドもの馬肉ステーキを食堂で頼んだ。


 新鮮なレアステーキなだけあって、美しい桜色が目にとても良い。


 鉄板の肉にフォークを刺すとジワッと油が湧き出る。


 それを口に運ぼうとしたとき、私はふっとアイデアが浮かび、両手と膝を机にガンっとぶつけながら立ち上がった。





 これだ。





 私は未だ口にしていないステーキを部下に任せ、さくら温泉であるものを採取し、と畜場に車で向かう。





 もし、これが上手いこと行けば、この村は復活する。





 私は10年前に感じたような確かな可能性を頭に浮かべ心が踊る。


 車を猛スピードで走らせ、と畜場にあるさ試験室に駆け込むと、頭に思い浮かんだイメージを試験管の中で再現した。

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