魔物の森のスタンピート
第18話 魔の森までの道中
―side エドワード―
「久しぶりの外だなー」
「そうなのですか?この前、グランドギルドへいったところでは?」
「あれもう1週間前以上前だよ?それ以降は1回しかない」
「1回あるんだ……」
「ちょっと、紅茶が足りなくってさ」
「は、はあ……それは、フッ軽すぎますね」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
王族はあまり外に出れない。まあ、俺は転移魔法を使えるからしょっちゅう抜け出せるので、一般的な他の兄弟よりは外に出れている方ではある。
ちなみに、外に出る時は安全面を考えて基本的に必ず強い護衛がいる。今回の場合、隣にいるザッカーバーグが強い護衛である。まあ、俺は例外的に護衛がなくても外に出られたりする。色々と特別優遇してもらっている状況だ。
「どちらかというと、抜け出すのがうますぎて半強制的に認めざるを得なかったの間違いかと」
「あははっ……まあそうだね」
「笑い事ではないのですが」
ザッカーバーグは頭を抱えている。おそらく俺のせいで色々仕事が増えているのだろう。
彼は、騎士団の責任者だからね。俺が見つからなかった時に真っ先に報告がいって、報告書にサインをしないといけない立場の人間である。色々迷惑もかけてしまっているし、この旅で少しは日頃の感謝を込めて恩返しできてらなあとも思う。
「そういえば、魔の森の周りにある冒険者ギルドも巡りますよね?」
「ああ。そうだね。それもグランドギルドからの依頼の一つ」
「だとしたら、久々に依頼も受けてみたいものですな」
「だねー。まあ、俺たちが受けられる依頼があったらだけど」
「ふむ。低中ランク冒険者のことを考えると、なかなか難しいものです」
そうなのだ。俺たちはAランク冒険者の上流階級の人間でお金に困っていない。
なので、下手に他の冒険者が本来受けるはずだった依頼を受けて仕事を奪ってはいけないという暗黙の了解があるのだ。だから、受けれるとなると相当な厄介な依頼だと思う。そして、そんな依頼はそうそう日常的に起こるものでもない。完全に運次第だ。まあ、スタンピートが起こるのと未知のダンジョン攻略ができるので、なくても全然満足は出来そうだけどね。
「ダンジョンかー。強い魔物が現れてくれたらいいのだけど」
「……そういう恐ろしいことは言うのではありません」
「思ってるくせに」
「……?はてさて、なんのことやら?」
こいつ……だんだんわかってきた。思っていたよりも、お茶目で腹黒たぬきである。まあ、高位貴族な時点でわかっていたけれど、そのイケメンで誠実そうな顔で何人の相手の騙してきたのだか。おーこわ。
「この度のグランドギルドの件、陛下はとてもお喜びです」
「へえーあの国にあんまり興味なさそうなポンコツもそう言うのには興味があるんだー、意外」
「おっほん!殿下!!」
「ごめんって」
うちの父上--国王陛下はあまり評判が良くない。民の生活にあまり興味がなく、サボってばかりいる怠惰な王様だ。当然息子たちにも興味がない。まあ、俺としては助かっているのだけど。
そんな父上でも、流石に息子がグランドギルドからの依頼となると興味があるのか。あわよくば、グランドギルドと繋がりを持ちたちとか思っているのかもしれない。だからと言って、グランドギルド側が父上に何かアクションをすると言うことはあり得なさそうなので、父上の思い通りにはいかなさそうだな。
――GRAAAAAAAAA!
「「……!!」」
そんなことを思っていると、突然目の前から魔物の群れがやってきた。
「戦闘開始」
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