第13話 ギルドからの依頼
―side エドワード―
「わーお」
そこには色々な地域のギルドで書かれた掲示板がある。当然、俺が書いたものもあった。
グランドギルドマスターに連れられてきた部屋は様々な情報が集まる掲示板室のようだ。
最新の魔道具も揃っていて作戦会議室のような様相である。
「すごいだろう?冒険者ギルドの総力を上げて作らせた」
「ええ、これだけの魔道具が充実している設備は初めて見ました。すごいです」
久々に大人の本気を見た。
俺にとって掲示板に色々投稿することは暇つぶしで凄いくだらないと思うけど、大人達は違うみたいだ。
冒険者ギルドにとってはどのような情報でも宝なのだろう。
「ガハハハハ!見たか!大人の力を」
反応に困る。こんな大人にはなりたくない人の典型的な発言だ。話題を変えよう。
「それで、今日はどういう要件で?」
「そうだな、本題に入る前にお前さんに頼みたいことがあるから先にそっちの方からにしようか」
「わかりました」
頼みたいことか〜。
わざわざ俺にという事は王族の関連とかかなあ?
「頼みたい事というのは、お前の国にある魔物の森についての話だ」
魔物の森。人類がいまだに開拓出来ていないとされる未開の土地だ。
風の噂ではそこには精霊さんがいるとされている。
というか、風の噂でもなんでもなく、兄のセオドア王子が精霊から加護をもらったらしい。
なので、巷ではあそこの森のことを精霊の森という人もいる。
「そこのダンジョンでスタンピートが起きかかっているらしい」
「初耳です。兄上からは何も聞かされていない」
「だろうな。これはこの掲示板室の情報だ」
おおう。ただの大人の遊びの部屋なのかと思いきや、部屋全体が情報がめちゃくちゃ早く届く魔道具っぽいなこれ。
まさか、その国の王族である俺よりも早くギルドがかぎつけているなんて。
教会並みの情報力を持っているんじゃないか?冒険者ギルドは。
「話を続けて良いか?」
「はい」
「うむ。スタンピートが起こってしまったら困るからな。そうなる前にその魔物の森を管轄している王子エドワード様に是非このスタンピートを収めていただきたい。冒険者ギルドではなく、王子であるあなたがスタンピートを収めたほうが色々波風が立たなくていいだろう」
なるほど。冒険者ギルドとしての依頼ではなく、王族としての依頼か。
さすが、冒険者ギルドのトップとなるとこういった政治的な配慮ができるというスキルも必要になってくるわけだ。なかなか、苦労する職業そう。王様というけれど、色々な国家間の仲介役とかも担っているもんなこの国。教会と冒険者ギルドの国はどこの派閥にも属していないから、そう言った面で色々と活躍していると聞く。
「そういう事なら引き受けます」
「助かる」
「それで、他の依頼というのは?」
「ああ、実はな。是非ともエドワード様のレビュー能力を活かして冒険者ギルド食堂を名店にして欲しんだ」
「はい?」
まさかの斜め上の依頼……!
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