第49話
「…ううう、すみません…はい…はい…明日には、はい…えっと…か、体は大丈夫ですっ…ええっと…軽い筋肉痛…?です…はい…あはは…そうですよねーバット死ぬほど振り回したら、筋肉痛になりますよねー…次の日に来てよかったです。あはは…えっ!?そうなんですね!!よかったです!!一番気になってて…そうですか…しばらくはオメガ
今週は
く、くたびれた…
なんだかもう、いろんな意味でくたびれた。
朝から嘘をつくのもしんどいし、体はだるいし重いし、腰は痛いしアソコには違和感が残っているし、そのくせ胸はほわほわするし、明らか寝不足のはずなのに、肌ツヤはめちゃくちゃいい。
男と寝たら肌の調子よくなるってなんだそれ。
そんなん聞いてないぞ。
用事を終えたスマホを手に持ったまま、再びベッドのぽすんと転がる。
今日は完全休業日にするつもりだったし、それを龍詠も了承している。
汗やら恥ずかしい体液やらが張り付いていた体はすっきりさっぱりしているし、同じように乱れまくっていたシーツも真っ新のものと取り替えられえている。
加えて、ほのかにコーヒーの香りまでしてくるから、本気で龍詠はその後のフォローを全部やってのけたのだろう。
あの男の体力ってどうなってんだろ。
それよりも問題は、真緒の体のことだ。
「やっぱり私、淫乱なのかもしれない」
小さな声で呟けば。
「え、それは嬉しいこと聞いたな」
真後ろから声がしたと思ったら、次の瞬間ベッドに乗りあがってきた龍詠に、ぎゅうぎゅう抱きしめられた。
そのまま首筋の傷痕にキスをして飽き足りずにぺろっと舐めてくる。
「んっ…っはあ!?」
気配も足音もほんとになにも感じなかった。
「な、なんで!?どうやって入ったの!?」
「どうやってって、普通にドア開けて入ったよ。明正じゃねぇんだから、妙な術も使えないし。真緒はアリバイ工作で必死だったから、気付かなかったんだろ…あー可愛い…好きだ」
耳たぶにキスを落とした龍詠が、パジャマ越しに夕べ酷使したおへその下を優しく撫でてくる。
「っ…ふ」
何度もそこにキスされたことや、涙目の真緒を見下ろしながら突きあげられたことを思い出して、勝手に体が火照り始める。
「それで、なんだっけ?俺の妻は淫乱なんだっけ?」
「口閉じて」
「何をもって淫乱だと思ったのかめちゃくちゃ気になるな。真緒が思う淫乱なとこ、俺に教えてみて」
「うるさいうるさいうるさい!やだもう何なの朝から!」
頬を押さえて丸くなれば、今度は手のひらを捕まえて赤くなった頬にキスが落ちてくる。
飽きもせずそのまま顎のラインを辿られて、唇の端にもキスが落ちた。
こうなったら手に負えないのは、昨日の一日で理解している。
「朝から真緒が可愛い…やばいな……もう勃った…」
「はぁっ!?」
ぎょっとなった次の瞬間、欲情したそれをお尻の割れ目に押し付けられて、目を見開く。
昨日あんなにヤったのに。
龍詠が真緒を抱きながら言った、ほかの女性では反応しない、というのもあながち嘘ではないのかもしれない。
だって本当に、ずっと元気なのだ。
成人男性の一般的な射精回数が分からないけれど、明らかに多すぎると思う。
嬉しそうに未開封のパッケージを手に取る龍詠を何度見たことか。
最初の一回目はドキドキしすぎてすぐに目を閉じてしまって、二回目は心地よさより初体験が無事に終わった安堵のほうが大きくて、三回目は気持ち良すぎてクラクラして、四回目は、もう限界だと泣きそうになって、五回目はたぶん、泣いていたと思う。
それでも龍詠が腰を振れば馬鹿みたいに体は反応して、甘ったるい蜜をこぼすからもう時間も恥じらいも捨てて抱き着くしかなかった。
とんでもなく濃厚な初夜である。
自宅に向かう車の中からフルスロットル状態だった龍詠は、ナオミと真緒の挨拶もそこそこに、さっそくキスを仕掛けてきて、恥ずかしいからやめてと言ったらさらに深くキスされて、気づいたら車が停まっていた。
当然ナオミにお礼もおやすみも言えないままだ。
お風呂だけは意地でも入ると訴えたら、脱衣所まで運ばれて、服を脱ぎかけた龍詠を押しとどめて廊下へ追い出して、大急ぎでシャワーを浴びたら、髪を拭いている最中に入ってきた龍詠が、シャワーを奪ってざっと汗を流して、あっという間にバスタオルで包まれて寝室へ運ばれてしまった。
可愛いキスから始まった夜は、すぐに熱を宿して、結局日が昇るまでずうっとベッドの中でイチャイチャしてはつながって、またイチャイチャしてはウトウトしていたので、声はかすれているし、全身が筋肉痛だ。
通達で緊急対応以外の職員は全員休みの指示が出て、役員連中の粋な計らいに龍詠がスマホを放り出して、そこからが本当の初夜だった。
あれでもう十分のはずである。
それなのに。
「朝ごはんの前に、真緒が淫乱かどうか確かめないと」
「何言って…っふ…ん」
本気で怒ろうと後ろ振り向けば、待ってましたとばかりに唇を塞がれた。
舌を絡ませて来られれば、もう真緒になすすべなんてない。
舌先を絡めあわせているうちに、仰向けに戻されていて、パジャマのボタンが手際よく外されていく。
真緒の夫は、服を着せるのも脱がせるのも得意なようだ。
「俺が器用で物覚えがいいことも、もうわかっただろ?死ぬほど気持ちよくしてやるから、もっかいしよう。淫乱な真緒を見せて」
前開きのパジャマを真緒の腕から抜きながら、夕べの痕を辿るように龍詠が胸元にキスをする。
「ああ、もう固くなってる…たしかに淫乱だ」
唇の端でちょんと胸の先を突かれて、慌てて唇を噛めば。
「まーお。声聞かせて。やらしい声聞きたい」
今度はねっとりと舌を這わされて、たまらず喉を震わせる。
「や…だ」
「じゃあ、イイって言うまでしてやらないと」
好きなところいっぱい触ってやろうな、と嬉々とした顔で言われて、これはもう明日も休む羽目になるのでは、と嫌な予感が頭をよぎって、そして、それは現実になった。
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