15日目 テーマ:岬

このままではだめだ。カラカラになって、最悪死ぬ。一年に一度くらいあるのだが、こういう気持ちになったときは、問答無用で仕事の休みを取ってレンタカーを走らせる。大きな音で音楽を流しながら、東へまっすぐ、とにかく一人で車を走らせる。交通規則以外のことは何も考えず、凪になってしまった心を責めることもなく、ひたすら東へ走らせる。二時間くらいでとある岬に出る。特に観光地ということもないから、晴れた日だってまわりに人はいない。エンジンを切ったらふっと音楽が止まる。間髪入れずに車のドアを開けると、海の音が体全体に流れ込んでくる。二時間聴き続けた電子音で完全に乾ききった体に母なる海が染み渡って、空っぽだったうつわが満たされるような感覚がきもちいい。

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