13日目 テーマ:定規

学校が苦手だった。みんな同じ向きで静かに椅子に座って、先生の話を聞いて、だれにも嫌われない言葉を選んで発して、なんかちがいそうだなと思ったらすぐに謝る。気づいた頃には授業中は下を向いて自分の世界にこもりがちだった。自分だけの世界には、唯一の友達がいた。定規に描かれている茶色い犬だ。マロンという名前をつけてかわいがっていた。定規にはマロンが4匹描かれていて、何度も数えたはずだった。大人になって、部屋を整理していたらマロンが描かれた定規がころんと出てきた。マロンは3匹しか描かれていなかった。自分の世界に閉じ込めっぱなしの一匹がいたら、どうしよう。

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