16歳-3 FIBAアジア選手権 決勝 日本VS中国
佐々木アナ: 「さあ、いよいよ日本対中国の試合が始まります。解説は昨日に引き続き松木さんです。松木さん、中国チームの印象はいかがですか?」
松木: 「そうだね。中国は昔からアジアの中で一番という印象があるけど、今の中国はその中でも歴代最強チームと言えるだろうね。やっぱりヤーマンの存在がでかいよね」
「ヤーマン選手といえば、世界最高峰のバスケットボールリーグであるNBAの選手です。そして、その中でオールNBA3rdチームにも選ばれています。インサイドの強さは世界一と言われていますよね。」
「その通り!インサイドではまさにアンストッパブル!昨日のレバノンとの試合でも、終盤ダブルチームを受けていた状態で35得点18リバウンド8ブロックと大暴れしてたからね。」
「まさに最強の大巨人。そんなヤーマン選手ですが、今日は日本の東雲選手との対決が注目されていますね」
「その通り。この大会でヤーマンを止められるとしたら、彼しかいないだろうね。身長的にもスキルにおいても。この対決が試合の鍵を握ると言っても過言じゃあないね。」
「さて、そんな両選手を含めた今日のスターティングラインナップを画面に示しております。」
PG 172cm 田淵 VS 185cm チョウ
SG 182cm 設楽 VS 192m コウ
SF 186cm 西園寺 VS 195cm カク
PF 202cm 竹中 VS 209cm 王
C 223cm 東雲 VS 230cm ヤーマン
「松木さん、このラインナップはいかがですか?」
「中国は大きい選手が多いね。でも、こちらには東雲選手がいるから、他のアジアのチームと比べると対抗できる希望が見えるよね。ただ、彼が何かのトラブルでコートから消えたら、インサイドを一方的に支配されるだろうからそこだけ気を付けたいね。東雲選手は異常なほど体力あるから40分フルで出れるだろうけど、ファウルトラブルにならない様にプレイしてもらいたいよね」
「東雲選手は、替えの効かない選手という訳ですね」
「日本は身長がある控えのセンターがいないからね。竹中選手がセンターの動きはできなくはないといったくらいで。ベンチには200cmある田中選手がいるけど、彼はまだ18歳で線が細いからね。」
「なるほど。やはり、東雲選手がこの試合の鍵を握りそうです。そんなアジア選手権の決勝、間もなく試合が始まります‥‥さぁ始まりました!まずは、ジャンプボールを中国が制しています」
「先にボールに触ったのは東雲選手だったけど、運悪くチョウ選手のところに落ちちゃったね」
「さあチョウ選手がフォーメーションを指示して試合を組み立てます。早速、ハイポストにいるヤーマン選手にボールが入りました」
「注目の対決だね」
「背中で東雲選手を押し込みながら、ドリブルでゴール下へと近づいて・・フックシュート!おおお!東雲選手がジャンプしてこれをブロックしました」
「こりゃとんでもないね!あの高さのフックシュートがブロックされるのは初めて見たよ!」
「こぼれたボールを田淵選手が拾って日本ボール。そして今度は、東雲選手がポストでボールを受け取ります」
「さっきとは逆に、東雲選手がオフェンスだね。さぁどうなるか」
「ロールしてゴール下へ接近、そのままダンクを‥なんと!ヤーマン選手これをブロックしました。」
「とんでもない迫力だ!巨人と巨人のぶつかり合いだね!他の選手はもう見てることしかできないよ、あれは」
「両選手、素晴らしい動きです。一進一退の攻防を繰り広げています」
「やっぱりヤーマン選手は強いし上手いね。ジャンプ力は東雲選手の方があるんだけどね。最初の攻防でそれに気づいたのか、東雲選手に体を上手にぶつけて、飛ばせないようにしてるよね」
「やはりヤーマン選手にはNBAでの経験値がありますね。お、今度はチョウ選手がコーナーに居る王選手にボールを渡しました。」
「素早いドリブルで竹中選手を抜いた!だが東雲選手のヘルプが…ああ!」
「ヤーマン選手へのアリウープパスが通り、ダンクシュートを決められてしまいました。ディフェンスの穴を上手く突かれましたね」
「今のは東雲選手がヘルプに行くしかないんだけど、そうなるとヤーマン選手がフリーになるからなぁ。日本のガード陣は、この試合では絶対にドリブルで抜かせちゃだめだよ」
「対する日本、田淵選手がボールを運んで‥そのままドライブ!チョウ選手を抜き去る!ジャンプシュートが‥入った!入りました」
「田淵選手も上手いねぇ。今、ヤーマン選手はヘルプに行かなかったね。どうやら、東雲選手をマンマークで抑え込む作戦みたいだね」
「両チームの作戦の違いが出ていますね。どちらが正解なのか、何とも言えません」
「普通ならセンターがヘルプに行った方が良いんだけど、ヤーマン選手も東雲選手も、他の選手じゃ止められないからね。いっそヘルプに行かない中国の作戦もアリだと思うよ」
「おっと、再び田淵選手がドライブをしかけて、ミドルシュート・・・今度は外れました。ヤーマン選手がリバウンドを取っています」
「そう、これがあるからね。ヤーマン選手と東雲選手はゴール下だと確実にシュートを決められるんだけど、他の選手はミドルシュートを落とす可能性があるからね。ヘルプ行かなければリバウンドも取りやすいし」
「今度はチョウ選手の3Pが外れて、東雲選手がリバウンドを取っています」
「互いにディフェンスリバウンドは確実にとれているね。どっちもスクリーンアウトが上手いよ。東雲選手は読みも上手いしジャンプ力があるからオフェンスリバウンド取れそうな瞬間もあるんだけど、ヤーマン選手が体を当てて飛ばせないようにしてるね」
「巧みな技術が光りますね。両チームオフェンスリバウンドが取れないとなると、シュート成功率が高い、もしくは3Pが入るチームが有利になりそうです」
「こうなると日本は若干不利かなぁ。3Pが打てる選手も少ないし」
「おっと、チョウ選手がまた3Pを打って…今度は入りました」
「うーん、中々厳しい戦いになりそうだね」
‥‥‥‥
「さて、前半終了まで残り1分です。ここまでスコアは39-51。中国が一歩リードしています」
「ミドルと3Pのシュート成功率の差が表れているよね。日本はガード陣がもっと頑張らないと厳しいよ」
「中国の王選手のミドルシュート、これは外れました。おっと面白いところに落ちた。田淵選手がこの試合初のリバウンドを取っています。そのまま高速ドライブ!フルコートを突っ切っていきます」
「前半終了間際なのに凄い速さだね!だけど、中国のチョウ選手が戻っているから…え!?アリウープ!決めた!!」
「同じくフルコートをランした東雲選手が、アリウープパスを受けてダンクを決めました!いやー、二人ともとんでもない速さです。会場も沸いています」
「非常にいいプレイだったね!ここでブザーか」
「いま前半が終了しました。スコアは41-51、中国のリードで折り返しです。松木さん、前半を終えての感想をお願いします」
「中国はアウトサイドシュートが上手いね。これがそのまま点差に表れているよ。インサイドでの巨人対決は、お互いに封じあう形だったけど、ヤーマン選手の方がブロック数は多い分リードかな?いや、最後のプレーがあったからドローか」
「東雲選手が現役NBA選手に一歩も引かない好プレーを魅せてくれましたね。高さと体格で上回るヤーマン選手をここまで抑えています。一方で中国はチームとしての強さを見せてリードしています。後半も目が離せない展開になりそうです」
・ハーフタイム 日本代表ベンチ
めっっっっちゃ強いな!ヤーマン選手。
あれがNBAトップクラスの実力か。
まずサイズがやっぱ規格外だわ。
身長とウィングスパンで負けてるから、常に相手の手が15cmは上にある状態だからな。
あれは卑怯では?
ブロックされたのなんて8年ぶりくらいな気がする。
ジャンプ力はこっちの方があるからインサイドでも勝てるかと思ったけど、上手く体当ててくるからそもそも飛べないんだよなぁ。
からだ寄せてくるタイミングも上手いから、オフェンスリバウンドも取れないし。
幸いディフェンスは上手くいってて、ヤーマン選手には殆ど得点されていない。
たまにヘルプに行った隙を狙われるが、あれはまあしょうがないだろう。
問題はオフェンスだよな。
まだ前半は8点しか取れていない。
インサイドだと体格差で上手い事守られてしまう。
試しに一回外でプレイしてみたけど、ヤーマン選手アウトサイドに出てこないんだよな。
王選手が代わりに出てきて全力でプレッシャーかけてくるから3Pシュートは打ちづらいし、ドライブで抜いたら直ぐヤーマン選手がヘルプに来るんだよなぁ。
外が空くからパス出してるけど、日本代表の3P確率悪すぎる・・・
くっそ、どうやって突破するべきかな。
「5分後からミーティングするからな!それまではみんな、体を休めてくれ」
ベンチで考え込んでいると、山田コーチの指示が飛んできた。
言われて気づいたが、体力もかなり消耗している気がする。実力と体格が近い相手とインサイドで全力勝負なんて、初めての経験だからな。
だがそれは相手も同じか、それ以上のはずだ。
最後はヤーマン選手も肩で息をしていたからな。
幸い、俺は少し休めば復活できそうだ。
この体力の差を上手く使えればいいが…インサイドだとゆっくりディフェンスされてしまうから、あまり意味がないか。
アウトサイドにはそもそも出てきてくれないしな。
何とかスピード勝負に持ち込めればいいのだが。
「大がブロックされたのなんて初めて見たぞ!ヤーマン選手やばいよなぁ。流石はNBA選手だわ。面白い試合だぜ」
俺が作戦を練っていると、田中勇太が能天気な声で話しかけてきた。
「観客みたいな感想言っとる場合か!」
とりあえず、ベンチ入りしてるのに何故か傍観者気分の勇太にツッコミを入れる。
「そんな事言ったって、ヤーマン選手と俺とじゃ勝負にならないからなぁ。センターの俺はこの試合出る幕が無いだろうし。はたから見てると、二人のバトルめっちゃ面白いぜ」
勇太は懲りずに客みたいなことを言っている。
こいつ…楽しそうにしやがって。当事者は大変なんだぞ?
うん?
待てよ、勇太がいれば何とかなるかもしれないな。
「ミーティング始めるぞ!」
と、俺がひらめくと同時に山田コーチの招集がかかった。
席を移動し、ボードを持って立っているコーチの前へ移動する。
「さて、後半だが作戦の修正を行う。3Pがなかなか入らないから、なるべくペイントエリアで点を取ろう。東雲がコーナーに出て金選手をドライブで抜く、ここまでは同じだ。この後、竹中や西園寺が外でボールをもらうんじゃなくて、中にカットインしてくれ」
ひとまず、山田コーチの作戦を聞いてみる。
なるほどペイントアタックをする作戦か。
良い作戦にも思えるが…
「ヤーマン選手がシュートチェックに行きそうだけど、大丈夫か?俺がいるからジャンプブロックにはいかないだろけど、手を伸ばすくらいはやりそうだぞ」
気になったところを聞いてみた。
「そこは…ダブルクラッチかフローターシュートで上手くかわしてくれ」
…中々難易度の高い要求をしているな。
竹中選手や西園寺選手の方を見てみると、二人とも厳しい顔つきをしている。
まぁダブルクラッチやフローターなんてのは、狙ってやっても成功率そこまで高くないしな。
ましてや、相手が230cmのヤーマン選手だし。
「それより、良い作戦を思いついたんだが」
俺が手を挙げると、周囲の視線が俺に集まった。
山田コーチが頷いているので、そのまま話す。
「ヤーマン選手に俺が唯一勝っているスピード、これを上手く使おう。誰かがディフェンスリバウンドを取ったら俺が全力で走るから、パスを投げてくれ」
俺の作戦は単純で、ラン&ガンで勝つ方法だ。
ヤーマン選手とよーいドンのスタートができれば、スプリントで勝てそうだからな。
「それが出来たらいいが、リバウンドはどうする?東雲が取らないとなると、西園寺か竹中になるが…二人とも身長で負けてるから、逆にオフェンスリバウンドを取られる可能性もあるぞ」
流石は山田コーチ。
この作戦の穴にすぐ気が付いたようだ。
「そこだが…西園寺選手と勇太を交代しよう。これなら、身長でもリバウンドテクニックでも勇太が有利になるからな」
俺がそう言うと、勇太がめちゃくちゃ驚いた表情でこちらを見てきた。
どうやら、まだ観客気分でいたらしい。
「…いやいや、俺SFのポジションやったことないよ!オフェンスは良いとしても、ディフェンスでアウトサイド守れる気がしないんだけど!」
少しフリーズしていたらしい勇太だったが、気が付いたのか即座に拒否してきた。
「大丈夫だ。アウトサイドもインサイドもやることは変わらん、シュートを打たせなければいいだけだ。どうにかなるさ」
「それでどうにかなるのは大だけなんだが!?普通は速いドライブに対応できないんだが!?」
そうツッコミを入れてきた勇太だったが、同時に後半開始のブザーが鳴った。
「よしっ!そっちの作戦の方が可能性あるな。田中は西園寺と交代!勇太は、外は多少打たれても良いから、下がり気味でディフェンスしてくれ。あと、リバウンドは絶対に死守だ」
山田コーチが覚悟を決めたのか、俺の作戦に乗っかってくれた。
勇太はベンチウォーマーを脱ぎ捨て、わたわたとジャンプを繰り返して体を温め始めた。
アップくらいしとけよ!
「東雲はリバウンドやスティールでボール取ったら前に投げるから、全力ダッシュで頼むぞ!勇太はリバウンド、絶対負けるなよ!」
田淵選手が俺や勇太の背中をたたきながら、発破をかけてきた。
流石は日本人初のNBA選手、土壇場の作戦変更にも慌てない姿は頼りになるぜ。
さて、中国ボールで後半がスタートした。
相手は前半のゲームメイクに自信を持っているのか、後半もアウトサイドで勝負する作戦のようだ。
SFに身長の高い勇太が加わったことに少し驚いてはいるものの、冷静にパスを回している。
勇太が少し下がり気味でディフェンスしていたところを狙って、SFのカク選手が3Pシュートを打ってきた。
俺はスクリーンアウトでヤーマン選手をコーナーに押し出しつつ、ボールは取りにいかずに勇太に任せる。
カク選手の放ったシュートはリングに嫌われてこぼれる。
それを勇太がジャンプしてキャッチした。
ここだ!
俺は全力で走って速攻に参加する。
勇太が田淵選手にボールを渡し、田淵選手からレーザーのように鋭いロングパスが供給される。
俺はそれをキャッチし、ワンドリブルしてそのままダンクシュートの体勢に入る。
横からPFの王選手がブロックの手を伸ばしてきたが、体で弾き飛ばしてダンクを沈めた。
審判の笛が鳴る。
「ファール!赤7番、ワンスロー!」
よしっ!アンドワンだ!
「ナイッシュー!」
「それでいい!」
「NIPPON!NIPPON!」
「そのままいけー!逆転だ!」
ベンチメンバーや山田コーチの声援が届く。
日本の応援団も大盛り上がりで大きな声援を届けてくれている。
スタジアムの雰囲気がこちらへ傾く。
これで点差は8点だ。
まだまだ巻き返せる。
俺は冷静にフリースローを決めて、ディフェンスへと戻った。
これで7点差。
「ナイスだ!このまま行くぞ!」
田淵選手が俺と勇太に声をかけてきた。
さっきみたいなパスがあるなら、いくらでも点が取れそうだ。
その後は俺たちの速攻が決まり続け、4分で16点の得点を荒稼ぎした。
相手は3P一本を含む7点しか入らなかったので、点差はこちらが1点リードになった。
ついに逆転に成功した。
すると、中国はタイムアウトを取ってきた。
どうやら、こちらの動きに対応して作戦を修正するようだ。
とは言っても、中国のベンチメンバーには勇太より身長が高い選手はいなかったはず。
そこまで有効な手が打てるとは思えない。
中国のボールで試合が再開される。
相手はタイムアウト前と同様に、アウトサイドでパスを回している。
SFのカク選手が3Pを打ってきた。
その瞬間、ヤーマン選手がリバウンドに参加せず、日本側のコートに向かって走り出した。
なるほど。その手があったか。
意表を突かれた俺は、こちらのコートへ残りリバウンドをとった。
ボールを田淵選手へと渡す。
「相手はリバウンドをあきらめたな。どうする?」
「速攻を続けましょう。アウトサイドの勝負で勝ちます」
俺は田淵選手の言葉にそう答えて、インサイドへと走った。
こちらのオフェンスでは、田淵選手のドライブ+ミドルシュートが決まる。
点差は3点に広がった。
そして相手のオフェンスで、PGのチョウ選手がドライブでやり返してきた。
田淵選手が抜かれたので、俺は足をヤーマン選手に残した状態でシュートチェックに行った。
すると、SFのカク選手にパスが出し、カク選手は少し無理な体勢で長いミドルシュートを放った。
そのとき、既にヤーマン選手はディフェンスに戻るため走り出していた。
俺もディフェンスリバウンドには参加せず、速攻へ走った。
勇太がリバウンドを取り、田淵選手へ渡る。
流石にヤーマン選手の出だしが早かったので無理に追い抜くことはせず、俺はコート中央付近でボールをもらった。
ヤーマン選手はゴール下から動かなかったので、3Pラインへ近づきゆっくりとシュートを打つ。
フリーでのシュートなら簡単な仕事だ。
スパっと言ういい音と共に、ボールがゴールへと吸い込まれた。
「いいぞ!」
「ナイス三点!!」
「見たか中国!スリーもあるんだぞ!」
「そのままだ!」
日本の応援団のボルテージが上がっていく。
応援歌がスタジアムを埋め尽くし、日本のムード一色に染まっていった。
ヤーマン選手がディフェンスに戻っても、アウトサイドの勝負なら勝てそうだな。
このままいくぞ!
その後もひたすら速攻で点を重ね続けた。
俺の3Pシュートはフリーでも3割くらい外れてしまうので、多少ミスは増えてしまったが、徐々に点差を広げていった。
そして、試合時間残り30秒。
95-84の11点差だったが、中国代表はあきらめずにフルコートでプレッシャーをかけてきた。
田淵選手がそのフルコートディフェンスをドリブルで突破し、こちらへパスを出してくる。
が、相手選手のプレッシャーが強かったのか、パスが大きくそれてしまった。
いや、これはいけるな。
俺はそのパスに合わせてコートを移動、空中でキャッチするとそのままダンクシュートを叩きこんだ。
「ナイッシュー!」
「よく決めたな!今の完全にパスミスだったんだが」
無理な体勢でダンクに行ったため転んでしまった俺のもとに、勇太と田淵選手がやってきた。
チームメイトも続々とやってきて俺を引き起こしてくれた。
その後は中国が試合をあきらめたので、ドリブルで時間をつぶしている間に試合が終わった。
結果は99-84の大勝である。
「東雲選手サイコー!!」
「田中君も初めての代表戦!よく頑張ったぞ!!」
「NIPPON!NI――POON!」
「田淵―!あんたがリーダーだ!」
試合後、俺たちは選手全員でインタビューエリアまで移動していた。
その道中では日本の応援団が惜しみない拍手と声援を送ってくれた。
この声援のおかげで、後半は終始日本ペースで進められたような気がする。
遠いドーハの地まで応援に来てくれて、本当に有難いぜ。
遠藤アナウンサーがヒーローインタビューにやってきた。
「それではまず、本日35得点15リバウンドと大活躍だった東雲選手にお話を伺います。東雲選手、おめでとうございます!日本としては初めてになるアジア選手権優勝です!今の気持ちをお聞かせください。」
「ありがとうございます。チーム一丸となって勝ち取った勝利で、本当に嬉しいです」
「前半は苦しい展開でしたが、後半に逆転できた要因は何だと思いますか?」
「そうですね、ハーフタイムに監督やチームメイトと話し合い、戦略を少し変更しました。速攻を増やすことで、試合のリズムに変化をつけられたのが大きかったと思います」
「ヤーマン選手との対決は激しいものでしたね。どのような印象でしたか?」
「ヤーマン選手は本当に素晴らしい選手です。身体能力が高く、技術も申し分ない。正直、インサイドでは押されていて、苦しい場面も多かったです。でも、そういう強敵と戦えることで自分も成長できた気がします」
「最後、パスミスかと思われた田淵選手が放ったボールを、見事キャッチしてダンクシュートを決め、試合を決定づける形になりました。あの場面はどのように考えていましたか?」
「パスが出た瞬間にミスだと気が付きましたが、間に合いそうなので走りました。結果シュートを決められたので、パスミスではなかったという事になります。決められて良かったと思います」
「この勝利の意味は大きいですね。今後の展望をお聞かせください」
「はい、中国に勝てたことは大きな自信になります。でも、ここで満足せず、次のワールドカップでも、優勝を目指してさらに頑張りたいと思います。応援してくださる皆さんの期待に応えられるよう、チーム一丸となって戦っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします」
「ありがとうございました!これからの活躍も期待しています。東雲選手でした!」
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