3歳-成長

3歳になった。

俺はすでに児童養護施設に移されていた。


「おい、また伸びてるぞ!」


そう言われるのも無理はない。

俺は相変わらず異常な成長速度で身長が伸びているのだ。

今日の身体測定では、ついに身長が120cmを超えてしまった。

普通の3歳児はせいぜい90cmくらいだというのに、成長がとまらねえぜ。


うおォン 俺はまるで人間成長ホルモン。


「お前、一体何を食べてるんだ?」


「特別な物はなにも…質より量だよ量、食えば食うだけ大きくなる」


実際、俺は他の子の5倍の量の飯を食べている。

幸いにも養護施設は食料が余分にあって助かった。

俺が一日5食を平らげることができるのも、ここの施設のおかげだ。


あ、院長がきた。


「うむ、よく食っとるねぇ。人間、飯を食わねば力は出ないからねぇ!いいかい、最後にものをいうのは人間力だよォ!」


「そうっすねー」


ここの院長は隙あらば説教を繰り出してくるのでめんどうである。

投資で増やした私財をこの養護施設に全て寄付しているので、非常に善良な人ではあるのだが…


俺は院長の説教を聞き流しながら、筋トレを始めることにした。

まだ体は小さいが、将来のために準備を怠らない。

スクワット、腕立て伏せ、そして何よりもバスケットボールのドリブル。

バスケゴールがないのは残念だが、イメージトレーニングでカバーする。


幸運なことに、成長痛がないのが救いだ。

健康〇のスキルのおかげか、俺はどんなに急激に成長しても痛みを感じることがない。


「お前、本当に健康優良児だな。」


「まあ、遺伝子がいいんだろうね。」


こちとら超常現象での生まれ変わりだからな。

いきなり赤ちゃんポストからスタートしたし、神様がオーダーメイドで遺伝子から作って、そのままポスティングした可能性すらある。


筋トレに加えて、最近は洋楽を聴き始めた。

施設には古いラジオがあり、それを利用して英会話の予習をしている。

頭が柔らかいからか、どんどん上達していく。

今では、施設のスタッフを驚かせるほどの英語力を持つようになった。


「Hey, how are you?」


「I'm fine thank you. And you?」


…まあ中学英語に毛が生えた感じだが、発音が良いからいいのだ。

まだ三歳だし。


保母さんとそんな会話をしていると、空気を読まない院長がやってきて説教をかましてきた。


「お、英語の勉強をしとるのかね。素晴らしい!だが、もっともっと頑張らないといけないよ。かの有名なリンカーンが君くらいの時は、夜中まで勉強していたそうだよ」


「When Lincoln was your age, he was President」


「なんて?」


院長は英語が全くできないので不思議な顔をしている、使えないおじさんである。


さて、体も英語力も成長してきて準備は万端だ!


・・・問題はバスケットゴールをどうやって手に入れるかだな。

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