身長2m28cmの大男、平成元年の日本に転生する
はるあき007
身長2m28cmの大男、平成元年の日本に転生する
暗闇の中、鈍い衝撃音が響いた。
その後に続くのは、まるで何かが砕けるような音。
痛みも恐怖も一瞬で消え、代わりに静寂が訪れた。
目を開けると、そこにはまるでゲームのキャラメイク画面のような表示がある。
「これって、何かの冗談か?」と思ったが、身体は動かず、ただその画面に従わざるを得なかった。
スクリーンには【転生おめでとうございます。新しい人生を設定してください】と書かれており、無数のオプションが並んでいた。
「ここで性別、外見、身長まで選べるのか…まあ、せっかくだから最高の姿にしよう」
俺はまず、顔をハリウッド俳優並みのイケメンに設定した。
そして性別は男にした。
女に生まれ変わったところで男を好きになれるとは思えなかったからだ。
そのまま身長を入力するときにふと思った。
「転生にありがちな特典はないのか?」
好奇心に駆られ、画面を詳しく調べ始めた。
オプションを一つ一つ確認していくが変わった設定は何もない。
性別と見た目(3Dの立ち絵が表示されている)と身長以外にはなにも表示がない…いや、一つだけあった。
【スキル選択】というボタンをクリックすると、【健康〇】という文字が表示された。
「いや、健康なだけかよ。もっと魔法スキルとか、剣術スキルとかないのか?健康なだけで異世界なんて生きていけねぇぞ」
【健康〇】の文字もクリックできたが、そこには【良好な健康状態を維持するが、事故などがあると怪我をする。また生活習慣が悪いと病にかかる】と出てきた。
「少し元気な人ってだけじゃねぇか。何だこの使えないスキルは!」
怒りが込み上げてきたが、ぶつける先はない。
というか右手以外動かせないので何もできない。
俺は諦めて身長の入力欄に戻った。
転生先がどんな世界か分からない以上、身長はデカければデカいほど良い気がする。
ドラクエ的な世界でも、身長が5mくらいあれば無双できそうだ。
そう考えて5mを入力するが、エラー表示が出た。
そのまま数値を少しずつ小さくしていくと、2m30cmでエラーが消えた。
どうやらここが上限らしい。
少し考えた俺は、2m28cmと入力した。
上限に設定するのもバグとか起こると怖いし(プログラマ特有の考え)。
そのまま「次へ」をクリックした。
その瞬間、意識が再び暗闇に引きずり込まれた。
次に目を覚ましたとき、俺は柔らかい布に包まれていた。
目の前には見慣れない天井が広がり、耳には静かだがどこか心地よい音が聞こえる。
「ここは…どこだ?」
視界がぼやける中、俺は少しずつ自分の状況を理解し始めた。
赤ちゃんの姿で、何かの箱の中に入れられていたのだ。
俺はその箱の側面に書かれた文字を読むことができた。
「赤ちゃんポスト…?」
平成元年の日本。
俺は新しい人生をここから始めることになったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます