第129話 道のりは甘くない

記念すべき人工知能ゴーレムの一号機、人工知能ゴーレム001の試験運用を開始する剛志。名前は全く愛着がわかない感じなので、正式運用することになったタイミングで何か考えてあげたいななどと思っていた剛志だったが、そんなに甘い世界ではなかった。


作成した人工知能ゴーレム001は、問題なく作成され、剛志の手の中にコアとして転がっている。しかし、肝心のデータ集めとそのデータをコアに記録させる段階で躓いてしまったのだ。


「あれ、思ったより覚えるのが遅いぞ。もっとこう、データをダウンロードする感じを想像して通信のスキルを覚えさせたのに、そもそも一体ずつのゴーレムからしか情報を取得できていないのと、その速度がかなり遅い。これだと完成までにかなり時間がかかってしまうよ」


そうつぶやく剛志。東雲教授からある程度の概要を教えてもらっているので、やることのステップはおおむね理解していたのだが、あまりにも速度が遅いのだ。


東雲教授の話では人工知能というものは膨大なデータを読み込み、さらにそこから成功と失敗のデータを覚えさせ、行動の最適化を図るというものだ。その際に膨大なデータから、データの傾向を分類し、似た現象を似たものだと理解させると聞いている。


これは、それをすることによってまだ未知の現象に対しても、膨大なデータから類似を探し出し、それをもとに最適だと思われる行動をするというものだ。


ここで肝になってくるのは、あくまで大量のデータありきで存在し、そのうえでそのデータが膨大にも関わらず、最適な動きをスピーディーに導き出せるというところにある。


なのにも関わらず、今回作成した人工知能ゴーレム001はゴーレムから情報を得るのに一体一体からそれなりの時間がかかってしまっているのだ。


この剛志の意見には東雲教授も賛成の様だ。


「そうだね、岩井剛志君の言うとおりだ。これだと、人工知能と言えるまでに何年かかることやら。人工知能が発達してきた背景にはビッグデータの存在は不可欠だ。それを踏まえると今よりももっと膨大なデータを高速で読み込み、そのうえでそこから最適な判断をできるまでの時間が一瞬で行える。そんなようなものにならないといけないよね。というわけで、一回目は失敗だね」


そう言ってあっさりあきらめる東雲教授。東雲教授でも失敗はつきものなのか、全く落ち込む様子はない。


「今回の問題点はスピードだね。いくらスキルと言えども、膨大な情報をやり取りするにはそれなりの容量が必要だし、情報の送受信を行うにはそれなりの出力が必要というわけだね。ここを解決できる方法を探そうじゃないか」


それから、東雲教授と情報の送受信を早くする方法を模索する剛志。


東雲教授は一旦資料を確認し、何か使えるスキルが無いかを調査する。そして剛志は自身のスキルのゴーレムクリエイトを使い、今より処理速度を速める方法がないかを模索する。


「う~ん、東雲教授と別れて処理速度を速める方法を考えるのはいいけど、どうすればいいんだろう」


そう悩んで独り言をつぶやく剛志。そこに対して今日も護衛で剛志と行動を共にしている臼杵と万葉が話しかけてきた。


「剛志。思ったより大変そうだな。教授と話している時は何言っているのかわからなかったけど、お前の表情から希望が見えたが今はそれがなくなっているぜ」


そう言う臼杵に剛志も少し困った表情で返答する。


「そうなんだよ。さっきまではこれでいけるって思ってたのに、今回は失敗だった。まあ、そんな簡単に作れてしまったら元も子もないけどね」


口ではそう言っている剛志だが、本心では異なることは火を見るよりも明らかだ。剛志自身は、意外とあっさりできてしまうのではと楽観的に考えていたのだ。


まあ、それでも全く無駄になったわけではない。今回の一号機は機能としては問題なく動いているように見えた。ただ恐ろしく時間がかかるというだけだ。


そのため、一先ずこの処理速度の件を突破できれば、データを集めて覚えるというステップまでは問題なく行えるのではないかというのが東雲教授の見立てになる。


まあ、そのあともやることは山積みで、実際に実用化できるかどうかはまだまだ分かっていないのだが。


そんなことまで頭の回っていない剛志が、どうしようかと悩んでいると今度は万葉が話しかけた。


「とりあえず処理速度を上げるって、どんなことが必要なの?」


「う~ん、そもそもそこで悩んでいるんだよね」


「そうなんだ。とりあえずそれぞれのステータスを上げてみて確認してみたら?処理速度が効くのが攻撃力か防御力かはわからないけど、ステータスが上がればそういったものは増えるんじゃない?」


そう言われた剛志は目から鱗だった。万葉の言うことはもっともだ。剛志はそんな単純なことに気が付かずに処理速度ってどういう仕組みなんだろうと知りもしない分野に対して無い頭をひねっていたのだ。


「おお!そうだよ!それが一番わかりやすいよ!!なんで、そんな簡単なことを忘れてたんだろう。有難う!」


そう言って、剛志はさっそくゴーレムクリエイトをいじる。今回試すのは各種ステータスを極端に上げて、それによって処理速度の違いを見ようということになる。


前回作ったゴーレムは以下のようなステータスだった。


【ゴーレム名】:人工知能ゴーレム001

【説明】:ゴーレムコアのみのゴーレムで、他のゴーレムを操ることができる。

【ステータス】

名前:

種類:人工知能ゴーレム001

スキル:【成長】・シミュレーション思考・記憶・通信・指揮

レベル:0

HP:10/10

MP:2,000/2,000

攻撃力:0

防御力:1

器用:1,000

速さ:0

魔法攻撃力:0

魔法防御力:0

【必要器用値:3,000】

【消費MP:5,000】

【消費材料:特殊ゴーレムコア【成長】、魔石【MP5,000相当】】


これを見ると、剛志の持っている器用値が現在3,359なので、ほとんどマックスのスペックになる。なのでどこかのステータスを上げるにはどこかを下げないといけない。今回の場合はMPや器用を下げる必要があるというわけだ。


そのほかには消費MPや材料をより良いものにすることで、性能を上げることは可能かもしれないが、一先ずはMPや器用を下げて各種ステータスを上げたゴーレムを作ることにする。


前回多かったMPと器用も、それに特化するとどうなるのかという結果を確認するために、スキルはそのままでHP、MP、攻撃力、防御力、器用、速さ、魔法攻撃力、魔法防御力、それぞれに特化させた人工知能ゴーレムを作成する。


次はこれらの結果を確認するだけだ。



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よかったらこちらも見ていただけると幸いです。


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