第5話思惑が叶うように
7月10日、金曜日を迎えた。
私は普段と変わらずに紅代が誘いを断れない状況で脅し、屋上で昼食を彼女と摂っていた。
汗をかきながら、影が出来た場所で身体を縮こめながら昼食を腹に収めていく私たち。
「南雲さん、以前から思うのだけど……それで放課後まで保つの?」
「保ちませんよ、全然。満腹だと眠たくなっちゃうんですよぅ、私ぃ〜!美央ちゃんこそ、私のこと言えないじゃないですかぁ、その量!控える程太ってないのに、それで保つんですかぁ?」
「そんなんだから、皇がぷんすかするんだよ!理解ってる、南雲さんっ!まぁ……私もこれだけじゃ、足りないけどさ。私はサウナみたいな外でランチをしたいんじゃないから、もう誘いに来ないでよぅほんとさぁ!」
「私は風も吹いてない外で食べたいなんて言ってないじゃないですか、美央ちゃん!コソコソ言われたくないからって屋上に来たの、美央ちゃんじゃん!私に当たり散らさないでよ、美央ちゃんのせいじゃん!」
「コソコソ言われるようにくっついて来る南雲さんが100パー悪いんだからね!?南雲さんが誘ってこなきゃ、食堂でも何処だろうと食べれるんだから!もう離れて、距離を置いてぇっ私と!!」
「美央ちゃんが気狂いみたいに感情がコントロール出来なくて怒り散らしてくるぅ〜!?暑さのせいで可哀想に……私を気遣ってサウナみたいな屋上でありがとうね、美央ちゃん!私と昼食を食べてくれて」
「南雲さんを気遣ってな訳ないじゃん!ポジティブ過ぎでしょ、貴方!?いつも言ってるじゃん、南雲さんに付き纏われて迷惑してるってぇ!?バカなの?アホなの?」
紅代が甲高い声で叫んで、唾を飛ばしてきた。
「またまたぁ〜私がストーカーみたいに言ってぇ!美央先輩を慕ってついていってる可愛い後輩ですよぅ私はぁ〜!美央ちゃんも分かってる癖に、バカだのアホだのと言ってぇ〜学年で30位内に入ってる私を罵らないでくださ〜ぁい!」
「もうぉ〜付き合ってらんないわぁっ!?もう戻るっ!」
「あーっ、待って待って美央ちゃん!?まだ15分も余裕あるんですから、一緒に居てください!」
「いっ……痛い痛いっ!爪ぇ食い込んでるぅっ!?行かないから離してぇっ、南雲さん!もうぅ、汗ぇかきまくって気持ち悪いんだからさぁ……」
「美央ちゃんが此処に連れてきたんだから、私に愚痴らないでください……夏休みに、私と海かプールのどちらか……行きませんか?」
「嫌っ!貴方と行くなんてどんないかがわしいこと、されるか分からないもん!行かない……」
「そうですか。残念です……」
彼女の分かりきっていた返答を聞いて、すんなりと引いた私だった。
「……えっ?そ、それだけ……?さっきまでの勢いはどうしたの?」
「行きたくないんですよね、美央先輩……?」
「えぇ、まぁ。も、戻るよ……?」
「ぁあ、はぁい……」
私の気のない返事を聞き終え、紅代は心配そうに何度も私を見て、校舎内へと姿を消した。
私の思惑は……実を結びそうだ。
私はダラダラと流れる汗を拭うこともせずに紅代が居なくなった屋上で笑いを堪えていた。
放課後は私一人で帰宅したのだった。
私は帰宅して自室に籠って呪詛のように繰り返し呟いたのは、「美央ちゃん、美央ちゃん……うふふ、美央ちゃん……行こうね、一緒に……ぐふふ……美央ちゃん——」といった紅代の名前と気味の悪い笑いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます