第49話 大丈夫!?暗記完了!?天使の輪!
「このフルーツタルト美味しいわね。クリームも2種類入っているところが、味を豊かにしてくれているところね。」
「本当に美味しいです!甘いものが体に沁みわたります!上に乗っている果物も甘くて、でも適度に酸味があって甘いクリームと相性抜群です!」
「気に入って貰えてよかった。カスタードクリームは好きだと思ったんだけれど、アーモンドクリームは心配だったんだ。カスタードクリームとか生クリームの様な甘さがあまり無くて、独特のナッツ感があるからね。アーモンドクリームは、好みが分かれるみたいなんだよ。」
「そうなの?でも...確かに、これだけで食べると癖はあるわね。でも、他の物と一緒に食べると味を1段階上に引き上げてくれる感じよね?」
「はい!カスタードクリームとか果物と一緒にアーモンドクリームを食べると、味が複雑になって更に美味しくなっている気がします!」
「もしかしたら駄目って言われるかも?」と思いながら出したアーモンドクリームを、大丈夫と言ってもらえてよかった…好き嫌いが分かれるお菓子って結構あるからね。これが大丈夫なら、タルト系やパイ系等はあらかた大丈夫そうかな。
2人は、3時のおやつを食べ終えてからワインの煮詰め具合を確認すると、デミグラスソースやチキンブイヨンなどを入れて本格的な煮込み作業に入った。煮込んでいる間に2人が手分けをして、あっという間にガルニチュールを作ってしまった。茹で卵やローストポテトなど、火を入れる時間が決まっていて短縮できないところはある。しかし、無駄な動きがほとんどなく、ゆとりを持って料理を出来ているのが時間間隔が狂う原因かな?
「もう後は、ビーフシチューの煮込み待ちだけになっちゃったわね。…?まだ、1時間半近く時間があるじゃない…結構時間があるわね。」
「はい!何とか作業を覚えて、スムーズに作業が出来た気がします!でも、明日からはママとわたしが交代で1人で作っていくじゃないですか。ドキドキしますね!」
「いやホント...2人とも、昨日の今日でビーフシチュー作りに慣れすぎだよ...明日の1人作業はもう少し時間が掛かると思うけれど、この分なら問題なく出来そうだね。」
2人とも、もうほとんど作業が終わり?って感になっており、かなり余裕がありそうだね。
それなら、大根を今のうちに部屋の中に取り入れておこうかな?夜露に濡れたら嫌だからね。
「お母さん、アルエ、今のうちに外で干している大根を取り入れておこうよ。夜露に濡れちゃったら嫌だからね。」
「なるほど、確かに良いタイミングね。3人でパパっとやってしまいましょうか。」
「はい!鍋から長時間目を離したくないのでサクッと終わらせましょう!」
そう言って3人で庭へ行き、大根を取り込んで厨房の空いているスペースに吊るしておく。ちなみに、庭は厨房の裏口から繋がっていて簡単に簡単に行き来することができる。
そうじゃなきゃ、今後家庭菜園などをしても大変だからね。
「アルエ?煮込んでいる時間は、ここで勉強の続きでもやりましょうか。このまま見ているだけだと、時間が勿体ないものね。ただ、目を長時間鍋から離すのも怖いから、ここで様子を見ながらね。」
「はい!やりたいです!掛け算を覚える続きがしたかったんです!」
大根を取り込み終わり、本格的にやれることがなくなった2人が待ち時間を勉強することで有効活用しようとしていた。
「それなら、2人とも本とか勉強道具とかを持ってきていいよ。鍋は僕が見ているから。…まあ、見ていると言っても火が消えちゃったりしないか見るだけになるだろうけれどね。」
「いいのアイン?ありがとうね。それじゃあ、お願いしようかしら。直ぐ戻ってくるから少しの間だけお願いするわね。」
「おにいちゃん、お願いします!ママ!早く取ってきましょう!」
僕が鍋を見ていると言ったら揃ってお母さんの部屋まで取りに行く。
お母さんの手を引いて「さあ!行きましょう!」って感じのアルエには、僕もお母さんも思わず笑みを浮かべてしまったよ。
………
……
…
アルエは、当たり前のように7の段と8の段の掛け算をこの1時間半の有効時間で覚えてしまった。と言うか15分位で覚えてしまい、改めて行った1の段から9の段までの復習も完璧だった。そのため、1時間近くはドリルの計算や81マス計算をひたすら解く時間に当ててもらった。
うん...もしかしたら今日のお風呂中に九九を覚えるかもと思っていたけれど、そも前に終わらせちゃうとわね…今は81マス計算も解きまくっているし、明日は足し算引き算掛け算の復習プラス割り算の勉強かな?
残りの計算の勉強は、割り算、分数や少数の概念の理解、距離と時間の関係、文章題における計算くらいで大丈夫かな?
「ソースを濾し終わりました!後は、暫く置いておいて味を落ち着かせるだけですね!」
「ええ。問題なく作れて良かったわ。パンも後で焼けばいいし、お風呂に行きましょうか。ここに持ってきた本とか勉強道具を片付けてからね?」
「じゃあ、僕は先に入って待っているね。」
2人は先に本などを片付けてくると言う事なので、僕は一足先にお風呂へ向かう。
なんか最近は、先に一人で入る事が無かったので少し違和感があるね。伯爵家に居た頃は、こっそりと用意していた関係上ここのお風呂では一人で入っていたのに、ここ1~2週間ですっかり感覚が変わってしまった。最初はお母さんを一人にしておけないから一緒に入っていたが、今ではなし崩し的に一緒に入る事になっているよ。
成長期に入る前に、僕が男湯で入れるようにしないとね。どうやって話を切り出せばいいか分からないけれど…
そんなことを考えながら浴場で体を洗っていると、お母さんとアルエが揃って入ってきた。
「あら、アイン。もう髪を洗い終わっちゃったの?それなら、体を洗い終わったらアルエの髪を洗うのを手伝ってもらってもいいかしら?」
「いいよ~。アルエの髪は腰まであって長いから、洗うのに時間が掛かるからね。体を直ぐに洗っちゃうからちょっと待ってね。お母さんは、自分の髪を先に洗っても大丈夫だよ。」
「ありがとう。それなら、私も先に洗わせてもらうわね。じゃあ、アルエ。アインが手伝ってくれるまで、一人で髪を洗っていてくれるかしら?」
「はい!いつもありがとうございます!おにいちゃんも、後でお願いします!」
「うん。ちょっと待っててね。」
アルエの髪を洗う手伝いをするため、自分の体を洗うスピードを上げていく。耳の裏や首回り、足の指の間等汚れが溜まりやすいところは重点的に洗っているが、流石にあっという間に洗い終わる。
「アルエ。僕の方は、洗い終わったから今から手伝うね。髪の先の方から洗っていくから、アルエはそのまま頭皮側から洗ってね。」
「ありがとうございます!おにいちゃんにも洗ってもらえて嬉しいです!でも、髪が長いと何時も洗うのが大変なんですよね…いっその事、おかあさんと同じくらいまで切ってしまったほうが良いですか?」
僕がアルエの髪を洗う手伝いをしている最中、アルエがとんでもないことを言い出した。
「そんな勿体ない事しちゃ駄目だよ!アルエの髪は、凄く綺麗なんだから。髪を洗うくらいなら何時でも手伝うから、できればこのままの長さでいて欲しいかな。本当に光沢があって綺麗な髪なんだから。」
「アインの言う通りよ!折角後ろから見ると光沢があって綺麗なのに、切って短くするなんて勿体ないじゃない!短い髪に憧れがあって髪を切りたいのなら、100歩譲るわ。アルエ自身のオシャレですもの。でも、面倒くさいと言うだけなら切らないで欲しいわ。」
アルエの髪は、天使の輪がはっきり出来ている位とても綺麗でつやのある髪質をしている。僕は、黒髪に出来る天使の輪がとても好きなのだ。と・て・も・好・き・な・の・だ!
大事な大事な事なので2回言わせてもらったよ。
そんなアルエの髪は、最初のころは光沢がそれほどなかった。以前はほとんど食べることができず、栄養が足りていなかったのだろう。しかし、僕の従魔になって確りと食べるようになってから、どんどんと髪も肌も質が良くなってきたんだ。ドラゴンだということもあるのか、本当にあっという間に改善されていったのには僕も驚いた。そんな髪を切るなんてとんでもないよね?
ちなみに、お母さんの髪や肌もだいぶ改善してきている。流石に今迄が今迄だったから、回復には時間が掛かっている。アルエと違ってドラゴンクラスの回復力はないからね。しかし、毎日確り栄養を取って髪や肌のケアをすることで急激に改善はされてきている。既に髪にはうっすらと光沢が出来ているからね。
「えへへへ...そうですか?それなら切らないです!おにいちゃんにもママにも綺麗だって言われているのに、それこそ勿体ないですよね!」
お母さんと一緒に沢山アルエの髪について褒めていると、アルエは自分で髪を撫でながら照れていた。
アルエの髪をシャンプー、トリートメント、コンディショナーの順で確りと洗ってあげたので、僕は露天にある湯船に向かう。やはり、一番好きな泉質のところだよね。
お母さんとアルエは、まだ体を洗っている最中だ。アルエが「体もお願いします!」と言って来たので、背中だけは洗ってあげたが、他のところは自分で洗ってもらわないとね。
「アイン。失礼するわね。」
「おにいちゃん!お邪魔します!」
僕が一番好きな緑色の硫黄泉に入ってゆっくりしていると、お母さんとアルエも一緒に入ってくる。2人はこの後に塩化物泉に入るみたいだが、最初はやはり僕と一緒が良いとの事だ。
ここ数日で2人は、お風呂の最後に塩化物泉に入るのが本当に気に入ったみたいだね。
ただ、湯あたりにだけは気を付けてね?
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