第34話 結界!?飛行!?練習練習!
「お母さん?少し時間もあるしスクロールと魔道具を使う練習しない?」
3人で少しゆっくりしていたら9時過ぎになったのでお母さんに提案する。
「そうね。料理だけじゃなくて、そっちも早めに練習しておいた方が良いしやってみるわ。でも、私の魔力はかなり少ないけど大丈夫なの?」
「うん。もちろん。どっちも魔力があれば発動させることができるから大丈夫だよ。」
「おにいちゃん、わたしも練習見てみたいんですけどいいですか?」
「アルエにも是非見ておいて欲しいな。お母さんと一緒にいる事が多くなるだろうから、どんなものがあるか確かめておいてね。」
この家には景観のための庭はあるが、魔法の練習などを出来るほどの大きさは無い。そのため、3人とも動きやすい服装に着替え、家の前に広がる草原で練習することにした。昨日見つけて拠点にしたこの場所は、縦横100m位の広さがある家を出しても十分な広さがあった。
一応、家だけではなくこの周り一帯にも“結界魔法”と“認識阻害”を掛けて衝撃や音、見た目などを誤魔化しておいた。
「まずは、身を守ることが重要だから“結界魔法”を使えるスクロールと魔道具の使い方からだね。魔道具は、指輪型にしておいたよ。これだけで、色々な魔法を起動できるから気を付けてね。一応お母さんにしか使えないようにしてあるけど、無くさないでね。」
「そうなの?凄いわね。屋敷で魔道具は見たことあるけれど、そんなに性能良くなかったわよ?」
「うん。“再現魔法”で指輪型の魔道具を再現して、付与魔法で色々な魔法が使えるようにしたんだ。でも魔道具の方はスクロールに比べて魔力を沢山消費するから緊急用だね。普段は、スクロールを使ってね?スクロールは、ほとんど魔力を使わないで使えるから。その代わり、スクロールは使い捨てだから魔法鞄に沢山入れて渡しておくからね。」
という訳で、実際にスクロールを使ってもらい使用感を確かめてもらった。
スクロールを使った結界は1時間ほど維持できる。そこで、結界の大きさを自分の意志で自由に変える感触や、実際にどの位の衝撃に耐えられるのかを確かめてもらった。強度に関しては、僕が結界の上から大岩を落として結界がビクともしないことを見せることで確認してもらった。「やり過ぎじゃない?」と言われたが「やり過ぎ位が丁度いいんだよ。」と誤魔化しておいた。
そして、万が一逃げる時のための“飛行魔法”や“認識阻害”、“転移魔法”などもスクロールを使って実際に体験してもらった。“認識阻害”は発動するだけでよく、“転移魔法”は一度でも行った事があり行きたいと思い浮かべた場所に行ける。ちなみに、思い浮かべるのは人では無く場所だと言うのは確りと注意しておいた。お母さんにとってこの二つに関しては、難しくなかったようであっさりと使い方を理解してくれた。スクロール一つで、僕達と一緒に数100㎞移動できることに驚いてはいたが…
…一瞬で昨日見た大橋まで行って帰ってきたからね。
問題は、“飛行魔法”だった。アルエの時は、いつも自分で飛んでいた為にコツをつかむのも早かったが、お母さんはそうはいかなかった。自分の意志で飛ぶことは出来るはずなのだが、全く安定せず要練習だった。最初は、スクロールを使ってもどうやって飛び立つの?状態だった。そして飛び立つことができても、飛んでいたと思ったら急に落下するし、急加速に急ブレーキと本当に危なっかしかったよ…一度スクロールを使うと30分は飛べるはずなんだけどね…
「2人とも!もう10時を過ぎちゃっているから休憩しよう!」
練習をしていると10時を回っていたので、飛行の練習をしているお母さんとその周りで一緒に飛んでいるアルエに声を掛ける。お母さんは、アルエに補助されながらこちらへ飛んできて何とか着地を決めることができた。
「空を飛ぶのは難しいけど面白いわね!いつもはアインに抱っこされていただけだったから、自分で飛ぶのがこんなに難しいなんて知らなかったわ。でも、アインがドラゴンと一緒に飛びたいって言っていた気持ちが少しわかった気がするわ。もっと練習してアインとアルエの2人と一緒に飛びたいって思っちゃったもの。」
どうやら、お母さんは空を飛ぶのに嵌ってしまったようだ。それなら、お母さんにはいっぱい練習してもらって、これからの移動は3人で飛べたらいいなと思った。
今日の10時のおやつは、カステラと緑茶にした。玉子の味が濃厚でしっとりとしてふわふわで口どけも素晴らしかった。パサパサでボソボソとしたカステラだと口の中の水分が持って行かれて勘弁して欲しいからね。
「動いた後のおやつは最高ね。甘くておいしいお菓子が更に美味しく感じるわ。このお菓子の玉子の濃厚な味も最高ね。」
「はい!本当に美味しいです!甘くて口当たりが滑らかで、口に入れたら直ぐに溶けてしまいました!本当に美味しいです~」
僕が、カステラを食べたくなったのでこれを出したが二人にも好評のようで良かった。お母さんは、スクロールを使う練習のために頭をフル回転させて一生懸命動いていたので、カステラの甘さが疲れた体に沁みたのかな?
10時の休憩の時に3人で話したが、基本的に午前中はお母さんのスクロールと魔道具を使う練習時間に、午後は3時のおやつまでは料理や計算の座学の時間にすることにした。料理の実践に関して、昼食は11時半位、夕食の準備は3時のおやつ以降から始めることにした。
そして実際に街で僕達が出す料理は、煮込み系などの一度に大量に用意できるもので長時間置いておいても味が落ちにくいものにした。
まあこれは、今日の夕食をビーフシチューにするから試作第一号に丁度いいと考えただけだけどね。頑張るぞ!
10時の休憩後に、お母さんは1時間程みっちり飛行の練習をしていた。まだまだ練習は必要だけれど、フラフラしながらもある程度安定し始めていた。
11時半になり、昼食の準備を始める。朝食がパンで夕食もパンになる予定なので、昼食はごはんと魚にしよう。
魚系は鯖の味噌煮とひがしもの、鮭のムニエルを出したことがあるが、アルエにはまだ鯖を食べてもらった事が無いので焼き鯖にしようかな?鰆の西京焼きや、鯵の干物、カレイの煮つけなど食べたいものは沢山あるが、先にアルエに鯖を食べてもらいたいよね。
…いや、お母さんもアルエも結構食べるから2種類あってもいいかな?
よしっ!カレイの煮つけも追加しよう。
焼き鯖には大根おろしを添えて、カレイの煮つけには長葱を添えておこう。ただ、これだと野菜が少ないのでナスとミニトマトの焼きびたしと…緑が無いからほうれん草の胡麻和えにしようかな。後は、シンプルに豆腐とわかめのお味噌汁でいこう。
お母さんにはカレイの煮つけと焼きびたしを、アルエには焼き鯖とほうれん草の胡麻和え、お味噌汁を作って貰おう。お母さんが2品で、アルエが3品?と思われるかもしれないが、今回の献立の中ではカレイの下処理が少し大変だからだ。アルエの方は、かなり簡単に作れるのでこういう割り振りにさせてもらった。
ごはんは、土鍋に入れて後は炊くだけなので今日は僕がやってしまう。
「今日のお昼は、魚料理にしよう。お母さんにはカレイの煮つけと野菜の焼びたし、アルエには鯖の塩焼きとほうれん草の胡麻和え、お味噌汁を作ってもらうね。お母さんにお願いするカレイは、下処理が大変だと思うけど頑張ってね。」
「任せてアイン!料理の練習は気合が入るわね!」
「はい!わたしも頑張ります!鯖って味噌煮として料理本の最初の方に載っていたので食べてみたかったんです!でも、お母さんが私と会う前におにいちゃんに鯖の味噌煮を食べさせてもらったと聞いて、暫くは食べられないかな?って思っていたんです!おにいちゃんは、出来るだけ色々な料理を私たちに食べさせてくれようとしてくれていますから。」
「うん。料理法も味付けも違うけど、素材の味を知らないと料理の勉強するときに大変だと思ってね。塩を振って焼くだけで簡単に作れるから1品足してアルエに作って貰うことにしたよ。」
「私も味を一度で覚えるのは大変だし、鯖は美味しかったから、素材の味が確り分かる塩のみの味付けは楽しみだわ。」
それじゃあ、料理開始だね。
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