お兄ちゃんは練習台!?~距離感が近すぎる妹と、1DKふたり暮らし~【ASMR風】

干野ワニ

track01:平日夜だが、カットモデルを頼まれた

※主な舞台は、間取り1DKの二間。廊下とDKは暖簾で仕切られている。

※ドア付きの四畳半は妹の部屋。主人公はDKで寝起きしている。


SE |ガチャっと古そうなアパートの玄関ドアを開ける音


(帰宅した主人公、奥に「ただいまー」と声を掛ける)


SE |玄関ドアがバタンと閉じる音

SE |タタタっと軽い足音が、ごく短い廊下を近づいてくる


結依 |// とても嬉しそうに

「おにい、おかえりー!」


SE |バフッと抱きつく音


結依 |// 抱きついたまま下から見上げつつ、焦るような声で

「ねぇねぇ、お願いがあるの!

 疲れてるところにゴメンだけど、今からカットモデルになってほしいんだ!」


結依 |// しょんぼりとして

「明日カット技術のテストだったの忘れてて。ダメかなぁ……」


結依 |// とても嬉しそうに

「いいの!?

 じゃあ急いでご飯たべてね。準備するから!」


SE |突き当りのDKへタタタッと去って行く音


(遅れてDKに入り、上着を脱ぐ)

(結依が準備する横で、美味い夕食を掻きこむ)

(食後のお茶を飲みながら、主人公は一息ついた)


結依 |// 可愛らしく

「あ、ごはん終わった?

 ではお客様こちらへどうぞ、お座りください♪」


SE |ギシッと、椅子に座る音

SE |ファサッと、ケープをかける音


結依 |// 真剣そうに

「じゃあ始めるね。

 まずは髪を軽くしめらせて……っと」


SE |スプレーのシュッシュ音


結依 |// 可愛らしく

「前は長めの髪型だったから、もうけっこう伸びてきてるねぇ。

 えへ、カットしがいあるな〜」


結依 |// スッと髪を部位別にすくい取り、パチッとクリップで上に留める繰り返し。その間、「んっ」「こうかな…」「あれっ」などの呟きが交じる


結依 |// 明るく

「これでよし、っと!

 じゃあ、カットしていくね。

 まずはサイドから、ハサミで軽くしていきまーす」


SE |軽快なシャキシャキ音が、側頭部で響く


結依 |// 基本は息を詰めて、たまに吐息交じりに小声で「むむ」「あ」「んんっ」「うんっ」「よしよし」「ふぅ」など、カットが進んでいることを感じられる呟きが漏れる


結依 |// 真剣そうに

「うん、明日はハサミだけで均一に刈り上げる技術のテストなの。

 だからバリカンは使わずにがんばるんだ」


SE |軽快なシャキシャキ音と呟きが、側頭部で続く


結依 |// 作業を続けながら、申し訳なさそうに

「疲れてるところに時間かかってごめんね。

 ん、ちょっとアゴを引く感じに……そうそう、ありがと」


SE |軽快なシャキシャキ音と呟きが、後頭部で響く


(クリップを外しながら、少しずつ頭頂部のカットへ移動してゆく)


SE |だんだんショキショキという音が上へ


結依 |// 作業を続けながら、明るく

「え、なんかいつもと雰囲気が違うって?

 よくぞ気づきました~。ちょっとモヒカン練習したくって!」


結依 |// 作業を続けながら、楽しげに

「あはは、ヒャッハーになんてならないよぉ!

 モヒカンて言ってもスポーツ選手とかに多いソフトモヒカンってやつなの。

 トップに向けて長めになるだけのフツーのショートだから、安心してよ!」


結依 |// 何か企んでそうな含み笑い

「ウフフフフ」


(主人公、不安そうに眉をひそめる)


結依 |// 作業を続けながら、楽しげに

「だいじょーぶだって、ちゃんとカッコよく仕上げるから。

 ふっふっふ、カリスマ理容師ゆいにゃんに任せなさい!」


結依 |// 作業を続けながら、不満そうに

「えっ、まったく信用できない!? もう!」


SE |声と共に、ジャキッと、ひときわ大きな音が左の耳元で響く


結依 |// 呆けたように

「あっ」


結依 |// ごく小声で

「やっちゃった……」


(ぎょっとする主人公)


結依 |// 焦ったように

「だっだだだだだだいじょうぶだよ!

 びっくりしたでしょ! さぷらーいず!」


結依 |// 焦ったように

「あははははははははは」


SE |笑いながら、後頭部でショキショキと広く細やかにカットする音が響く


結依 |// ほっとしたように

「うん、よし、リカバリ完了!

 さっすがカリスマ理容師ゆいにゃんの超カット技術だね!」


結依 |// 小声でぼそっと

「あ、あぶなかったぁ~……」


(主人公は苦笑しつつ、『カリスマ理容師』にツッコミを入れた)


結依 |// 誤魔化すように、明るく

「ん? そうだよ、美容師じゃなくて理容師なんだよ~」


結依 |// 自分の好きなことを、楽しげに語る

「理容と美容って、似てるけど全く別の資格なんだ。

 おおざっぱにいうと、理容師はカミソリが使えて、美容師はメイクができるってかんじ。

 結依も高専入るまで知らなかったんだけどね」


結依 |// 作業を続けながら、しみじみと

「最初は美容師のつもりだったけど、メンズはけっこうカミソリ使うでしょ?

 おにいの髪はぜったいに結依が切るんだって、決めてたから……」


結依 |// 作業の手を止めて、照れたように

「べ、べつに、家計節約のためだし!」


結依 |// 作業を再開して、楽しげに

「ま、カリスマ理美容師ゆいにゃんは、とーぜんダブルライセンス狙ってくけどね!

 卒業したらすぐにいっぱい仕事して、おにいに楽させてあげるんだ〜♪」


結依 |// 作業を続けながら、嬉しそうに

「よし、すっごくなめらかに刈り上げできた!

 それじゃ、次はトップの髪を整えていくね」


SE |頭頂部の髪を櫛でシューッと引っ張っては、チャチャチャチャっと切る音の繰り返し


結依 |// 作業を続けながら、ちょっと得意げに

「ソフトモヒカンでね、センターのラインを太めにとるの。

 そーするとビジネスシーンにも使えて、夏らしいスタイルになるんだ。

 丸刈りは抵抗あるけど、涼しく刈り上げたいってひとにオススメだよ♪」


結依 |// 作業を続けながら、楽しげに

「うん、すっごくいいかんじ!」


結依 |// 真剣そうに

「じゃあ次は前髪を切るね。

 うう~、これいっつも緊張する……」


SE |慎重に前髪ショリッショリッ

SE |ハサミを縦にして、チッチッチッとシャギーを入れる音


結依 |// 優しく

「顔にかかった髪の毛、タオルで払いますね~」


SE |鼻の頭にかかった髪の毛を、パッパッと小さくタオルで払う音


結依 |// 困ったように

「あうぅ、バランスとるの難しい……」


SE |またチッチッチッ、パッパッ、の繰り返しを二回


結依 |// 困ったように

「うーん、いちいちハサミをタオルに持ち替えるのめんどうだなぁ……そうだ」


SE |鼻の頭に落ちた前髪を、ふーっと優しく息で吹き飛ばす


結依 |// 明るく

「うん、取れた!」


結依 |// 驚いたように

「え、吹くのダメ? おにいなんだから別にいいじゃん!

 お客さまにはぜーったい、やらないって!」


結依 |// 涙目で

「……あっ! もしかして、息、くさかった!?」


結依 |// 安心したように

「そっか、よかった~」


SE |ほーっと息を吐く


結依 |// 真剣そうに

「これで一通り切れたかな~。あっ!」


結依 |// 一転して、焦るように

「やばっ、襟足わすれてた!」


SE |襟足からショリリリリッと、長いストロークのカット音が数回

SE |ハサミを縦にして、チッチッチッと梳いて自然な襟足に


結依 |// 真剣に

「えと、ブラシブラシっと……」


SE |シェービングブラシをカップの中でシャカシャカ泡立てる音


結依 |// 真剣に

「じゃあ、襟足をカミソリで剃っていくね。

 ちょっとだけ動くのガマンしてて!」


(襟足にモフっと泡が乗せられる感触)


SE |ショワショワと小さく泡が弾ける音を立てながら、耳の後ろから襟足にかけて泡を塗り広げる

SE |ショリッショリッと、産毛にカミソリをあてる音


(カミソリの音が止まる)


SE |耳の後ろでスンスンと匂いをかぐ音


結依 |// 穏やかに囁く

「なぁんかおにいの耳の裏の匂いかぐと、落ち着くんだよねぇ……」


SE |耳の裏に鼻先が触れそうな距離でスンスンする音


結依 |// 甘く囁く

「うん、やっぱり。

 きょーだいだからかなぁ?」


結依 |// ちょっと離れて、驚いたように

「え、ふつう逆なの!?」


結依 |// 不思議そうに

「なんでかなぁ……ま、いっか」


結依 |// 明るく

「それじゃ、最後に全体のバランス見ながら整えていくね」


SE |ハサミの音が、ショキッ、ショキッとランダムな位置で発生


結依 |// 真剣に

「うう、このスタイル、やっぱりバランスとるの難しいなぁ……」


SE |ハサミの音が、ショキッ、ショキッとランダムな位置で発生


結依 |// 明るく

「よし、うん。カッコいい!

 この髪型、ぜったい似合うと思ったんだ♪」


SE |二面鏡をパカッと開く音


(結依、主人公の後頭部に合わせ鏡になるよう二面鏡をかまえてみせる)


結依 |// 不安そうに

「はい、鏡。後ろはこんな感じだよ。

 どうかなぁ……?」


結依 |// 明るく

「そんな、オシャレすぎてなんてないよぉ。

 すっごく似合ってて、かっこいいよ♪」


結依 |// 考え込みながら

「身内補正か〜……あるかも??

 でも別に、それでよくない?

 結依の目には、いつもおにいが世界一カッコよく見えてるのはただの事実だし」


結依 |// 照れながら

「だから、その……そんだけ!

 あ、もうこんな時間じゃん!」


結依 |// 一転して明るく

「おにい、練習つきあってくれてありがとね。

 これで明日のテストもばっちりだよぉ♪

 お疲れさまでした~!」


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