第38話 date of the date(デートの日付)

 その後は俺、アオイ、レイも加わり、ゴーレムバトルをして楽しんだ。

 

 ヒカリは応援側に回り、メイは「……これはこれで、面白いかも?」と、闇属性のゴーレムで色々試していた。



 何度かゴーレムバトルを行い満足したところで、アオイから、


「そういえばハクト君、今度ベイラと魔道具について色々議論したいと思うんだけど、ハクト君にも同席してもらえないかな? 異世界の知識を参考にしたいのと、ハクト君自身の意見を聞いてみたいと思ってね。都合のいい日があれば教えて欲しいな」


 ……正直ついていける気はしないけど、異世界の知識とかは色々出せるかな?

 それに、新しい魔道具ができるかも、って考えると楽しそうだ。


「ソフィアの手伝いはあるけど、日付は調整できるし、いつでも大丈夫かな」


 というか異世界に遊びに来ているようなものだし、予定なんてあってないようなものだな。

 ……なのに、なんでだろう。思い返すと元いた世界より色々やっている気がする。まあ、楽しかったけどさ。


「それじゃ、さっそく明日とかでもいいかな? もちろん、ベイラにも確認をしてからだけどね」


 俺が問題ないことを伝えると、さっそくリンフォンで連絡をしていた。

 やっぱり、ベイラに連絡できるよう登録していたんだな。


「ベイラも特に予定はないみたいだね。それじゃ、明日はよろしくお願いするよ」


 と言う感じで、明日はベイラの店に集合ということになった。

 すると、ハヤテが


「アオイはいいな~、ハクトと人間界でデートできて~」


 なんて言い出した。


「で、デート!? そもそも、アオイだけじゃなくてベイラもいるし、魔道具についての話をするだけなんだけど……」


「? ハクトとアオイ、ベイラで趣味について楽しく話すんでしょ? それはもうデートって言ってもいいと思うな~」


 んん? どういうことだ?

 俺の翻訳がおかしくなったのか?


「そもそも、相手が二人いるって時点でデートじゃないと思うんだが……」


「もしかして、ハクトの世界は違うの? この世界だと、恋人や結婚相手が複数いるのが普通みたいだよ?」


 異世界あるある、重婚ありの世界だった!

 小説とかではよく見るけど、実際にそんな世界に来ていたとは……。


「そもそも、魔族は女の子が生まれることが多いからね! 理由ははっきりしていないけどね~」


 な、なるほど。

 そういった理由ならわからなくもない、かな?

 それと、魔皇がわからないなら、神のみぞ知るって感じだな。


 ……そういえばこの世界、神様と天使、つまりソフィアは連絡を取っているし、聞こうと思えば聞けるんだな。

 教えてくれるかはわからないけど。


「ま、まあ理由はわかったよ。……それでも、デートっていうのは違和感しかないけどさ」


「ということで、ボクともデートしよ~! というか、せっかくだし魔皇全員とそれぞれでデートしようよ!」


「ええっ!?」


 ハヤテがすごいこと言い出した。

 ……まあでも、みんながその話に乗るとは限らないな。


「よく考えたら、ハクトと二人でどっかにいったことはないな。オレは乗ったぜ!」


「面白そうね。ハクトさえよければ、私ともデートしましょう?」


 ホムラはともかく、まさかレイが乗ってくるとは……。


「ハクトさんにご迷惑ではないでしょうか?」


「……外、あんまり出歩きたくない」


 二人はそれぞれ違う理由だけど、乗り気じゃないみたいだな。


「そういえば、ソフィアから聞いたよ~。なんでも、異世界の本を読ませてくれるって!」


「! ……それ、ほんと? ……ハヤテ、詳しく教えて」


 メイがすっごく反応した。

 そして、一瞬でハヤテのそばに移動すると、そのままハヤテにせまっていた。

 ……全然動きが見えなかったな。


「わっ! 詳しくって言われても、読みたいときに来てください、としか言ってなかったよ? あっ、それと、本を読んでわからないことがあれば、ハクトさんに聞いてください、って言ってたね~」


 丸投げされた!

 まあ、俺以外に聞けそうな人もいないけどさ。


「……ハクト、私とデートする。……ソフィアっていう人のところで」


 それって、デートなのだろうか?

 本を読みたいってことだし、別にいいんだけどさ。

 魔皇まこうなら悪用とかもしないだろうし。


 ……あっ! せっかくだし、俺のおすすめ漫画をソフィアが持っていたら、メイに紹介しようかな。

 そう考えると、ちょっと楽しみになってきたかも。 


「それで、ヒカリはどうするの~? 皆のお姉ちゃんなのに、一人だけ参加しないの~?」


「! そうよね、姉としてそれはだめよね!」


 ……なんだろう。ヒカリは、お姉ちゃんでしょ? みたいに言えば、色々説得できてしまいそうな感じがする。


 って、なんだか全員とデートする流れになってる!


「ちょ、ちょっと待って! 本当にそれぞれとデートするの?」

 

「……ハクトさん。やっぱり、私とのデートはご迷惑でしょうか?」


「え、いや、迷惑ってわけじゃないけど……」


 そんな、捨てられた子犬みたいな目で見ないで欲しい。


「それに、この世界に来て一か月も経ってないから、案内できる場所とかもあんまり知らないよ?」


「オレはむしろ、ハクトを色々なとこに連れていくつもりだったぜ」


「私は、武具を売っている店に行ければ他は気にしないわ」


「……異世界の本、読む」


「って感じみだいだよ~? ハクト、観念してボクたちとデートしようよ~!」


 ……まあ、よく考えたら断る理由もあんまりないか。


「そうだな。これを機にもっと親睦を深める、ってのもいいかもしれないな」


「それじゃ、決まりだね~。それで、日程とかはどうしよっか? まず、アオイは明日でしょ~」


「オレはいつでもいいぜ。どうせ暇だしな」


「……私も。……でも、はやく本が読みたい、かも」


「……確か、直近で外せない予定はなかったはずね。私も、いつでも大丈夫よ」


「私は、どうしましょう? 予定を空けても、今日みたいになってしまいそうですし……」


「なら、その日は何かあればオレらが代理で解決するとすっか。 一日くらいなら、なんとかなるだろ」


「そうだね~。あ、ボクも予定は特にないよ~」


 ……魔界の統治はしていないとはいえ、ヒカリ以外はみんな暇そうに聞こえる。


「もしかして、ヒカリ以外の魔皇って、あんまり忙しくないの?」


「まあ、そうだな。もし金に困っても、適当に魔物でも倒せばいいしな」


「自由っていいよね~」


「できれば魔道具に専念したいからね」


「そうね。予定はあまり入れないようにしているわ」


「……本をたくさん読むので忙しい」


 本当に暇だった!

 まあ、わざわざ忙しくする理由もないけどさ。


 全員がすぐに集まれなかったのは、主にヒカリが忙しかったからってことか。


 皆いつでも大丈夫ってことで、すぐにスケジュールは決まった。

 話し合いの途中、六連続デートになりそうなことに気づいて、間に何もしない日を入れることにした。


 ……気づいた俺、ぐっじょぶ。

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