第二章

第21話 10万円ポンとくれるぜ

 新しい朝が来た! 疲れも残ってないし、すっきり目が覚めたな。


 さて、昨日はのんびりしたし、……ちょっと驚きの事実が判明したけど、今日からまた異世界生活を楽しもう!


 あ、そういえば王城で魔皇まこうの皆と今度改めて話そう、って話になっていたな。

 うーん、とりあえずホムラにリンフォンで連絡をいれておこう。それと一昨日のお礼も言わないとな。本人はなんのことだ? とか言いそうだけど。


 ……もう返信が返ってきた。うん、やっぱりお礼はとぼけられたな。それと、集まるのに全員の予定を調整しておく、か。

 了解したことと、調整のお礼を送っておこう。


 後は、ソフィアに仕事の手伝いをいつやるか確認しておないとかな? なんだか毎日色々あって確認するタイミングを逃しちゃってたな。

 一昨日はその予定だと思ってたら、何故かお城に行くことになったしな。



 教会の入口で掃除をしていたモニカに確認したところ、ソフィアは既に来ているとのことだったので、教会の皆にあいさつしつつソフィアがいる部屋に向かった。


「おはようございます、ハクトさん。どうしましたか?」


「この前ソフィアの仕事の手伝いをするって話になったけど、結局焼肉のたれを作って終わっちゃっただろ? それをきちんと確認しないとと思って」


「ああ、そうでしたね。焼肉を食べて満足してしまい、その後のことを決めるのを忘れていました」


 ……確かにそこで確認しておけばよかったよ。俺も完全に忘れていたからソフィアには何も言えないな、うん。

 焼肉がおいしかったのが悪い。(責任転嫁)


「まずは改めて、仕事の内容を確認しましょうか。文献、これは主に漫画ですね。こちらを整理する。魔道具の収納箱から指定した条件の本を検索する。本の内容に関してわからないこと等を確認する、です。確認の際にはイメージを共有する魔道具を用いることもあります」


「そうだったな。整理以外は一度やったから大体どんな感じかは分かったと思う」


「それと、給料も決めないといけません。……そうですね、この世界ではおそらくハクトさんにしかできない仕事であり、相応に知識も必要とします。それと、天使である私の手伝いということで、日給10万円ほどで大丈夫でしょうか?」


「そんなに!?」


 日給って一日働いたら貰える金額であってるよな? 俺にしかできない仕事だとして、そんなに貰っていいんだろうか? というかソフィアって、お金はどうしているのだろうか。


 確認してみると、巫女としてそこそこの給与を貰っており、食事や料理するために色々買う以外にはほとんど使用しないようだ。しかも古い金貨なんかもいっぱい溜まっていて、それを売るだけでかなりのお金になるようだ。


 ソフィアさん、めっちゃお金持ちだったんすね……。


 というわけで今日から仕事を手伝うことになった。それと、今日の給与は初日に貰ったお金を返すという形で相殺してもらった。

 支給されたお金とはいえ、なんだかちょっと気になってたからな。

 


 今日は漫画を読んでいて疑問に思った、異世界についての色々を確認することになった。

そんな中で、


「サッカーと呼ばれる、そうですね……、簡単に言いますと、2つのチームに分かれボールを相手のゴールに運ぶ、というスポーツがあると思います」


「ああ、簡単に説明するならそんな感じだと思う」


 急にどうしたのだろう。あ、ボールが友達みたいな場面を見て、ボールは生きているのですか? のような確認だろうか。

 友達を蹴っているのは何故ですか? と聞かれたら何と答えよう……。


「異世界から伝わったものに囲碁と呼ばれるボードゲームの一種があり、こちらでも販売されているのですか、こちらは白と黒の石を交互に置いていく競技、であっていますね?」


「? まあこっちも簡単に言えばそうだな」

 

 そういえば娯楽用品の店で囲碁もあった気がする。ルールを教えてと言われても、自分の石で相手の石を囲う、みたいなざっくりした説明しかできないな。

 ってこっちで販売されているし、別の話だろうか?


「こちらの漫画にはこれらを合わせたスポーツが描かれているのですが、どのようなルールなのでしょうか? こちらの漫画を読んでも、かなりの誇張が入っているのか、理解することができませんでした」


 あー! その漫画か! え、それを説明するの? まじで?


「あー、えっとな。そういった漫画は俺の世界では一般的にギャグマンガと呼ばれているのはわかるか」


「はい。読者を笑わせることを目的としている漫画ですね。漫画によっては大げさに誇張したり、支離滅裂なものもありました」


「それが分かってるなら話は早いな。そこに出てくるスポーツは架空のものでな。だから元々ある競技を誇張したりしてギャグに落とし込んだわけじゃないんだ」


「なるほど。理解しました」


 ……と、こんな感じの場面も多くあった。



 順調に、いや順調と言っていいんだろうか、まあ確認作業を進めていたところ部屋がノックされ


「ソフィア様、ハクトさん、失礼します。王城からハクトさんにお客様が参られています」


 とモニカが報告しに来てくれた。もしかして王女様、クレアの件かな?

 ソフィアに作業を中断する断りをいれ、教会の客間のような部屋に向かった。ちなみにソフィアもついてきた。


「ハクト様、お忙しいところ失礼します。こちら、クレア王女様からです」


 二日ぶりのメイドさんだ! ……ではなく、メイドさんから手紙を渡された。


「まずは中身をご確認いただき、可能であればその返事をいただければ、と思います」


 とのことでまずは中身を確認してみた。

 

 やはり一昨日のスイーツのことで、王城にまた来れないか、といった内容だった。

 それと、明日と明後日は予定の調整ができるため、どちらかで来れるようであれば、メイドさんにそれを伝えておいて欲しい、とのことだった。

 

 別に急ぎの予定は入ってないし、明日でも大丈夫かな。

 そう伝えると、ソフィアも同行を申し出た。メイドさんはクレアに連絡をいれ、問題ないことを確認していた。


 それと、こちらを渡してほしい、と王女様から言われています。と言われ、何かのマークが描かれたアクセサリーのようなものを渡された。

 王城への転移門を通るときに見せてください、と言われたので、前にソフィアが兵士に見せていたものと似たようなものだろう。


 ちなみになぜ同行を申し出たか、後でソフィアに確認したところ、


「異世界の漫画ではお菓子やデザートなども出ていましたが、自分で作るには大変そうなものが多くありました。今回はお城のプロの方に作っていただけるので楽しみですね」


 とのことだった。うん、やっぱりそういった理由だったな。



 その後、そろそろ昼食の時間だったのでソフィアと、近くにいたモニカも誘って向かうことになった。

  モニカは、「私も一緒にいいんですか!?」と嬉しそうだった。週一くらいでソフィアの手伝いをするし、その時はまたソフィアと一緒に誘って行くのもいいな。


 最近は段々と暑くなってきたし、暑い時期のおすすめはないか? とソフィアに聞いたところ、ついたお店はうどん屋だった。


 うどんを注文し、天ぷらをセルフで選んで会計に持っていく形式で、俺は無難にざるうどんと天ぷら二つを注文した。


 ソフィアは二つの天ぷらの間で何度か視線をさまよわせていたが、両方を取り、さらに別の天ぷらも加えた三つを購入していた。

 ……どっちかで悩んでたわけじゃなくて、三つ目の組み合わせを考えていたのかな?


 ちなみに、モニカはそんなソフィアを見て、とってもいい笑顔だった。それと、天ぷらは一つだった。


 教会に帰った後はモニカと別れ、引き続きソフィアの手伝いをした。

 なお、午後はスイーツが出てくる漫画の説明ばかりだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る