第17話 ゴーレムファイト!

 というわけで再びやってきたホムラの土地。相変わらずの広さだな。


「ゴーレムを作り出す魔法は、一般的にクリエイトゴーレムと呼ばれているね。まずは試しにやってみせようか」


 アオイが地面に向けて手をかざすと、みるみる土でできた人型の像、ゴーレムが生成された。手の指や関節まで生成されており、かなり高度なことをやっていそうだ。


「そして、作り出したゴーレムは魔法で操ることもできる。こちらの魔法はコントロールゴーレム、もしくは単純にコントロールと呼ばれることが多いね」


 彼女の手から魔力の線がゴーレムまで伸び、それが接続されるとゴーレムが立ち上がり歩き出した。


「こんな感じだね。そしてこのゴーレムに魔法陣と、動力として魔石を仕込むことで、操らなくても勝手に動くゴーレムを作り出すことができる。とはいえ複雑な動きをさせるにはいろいろな工夫が必要だけどね。ああそうだ、今度私が作成したゴーレムを見てもらおうかね。かなりの自信作なんだ」


 魔道具の職人が作ったゴーレム、かなり気になる!


「今度ぜひ見せてもらいたいな。楽しみにしてるよ!」


「ああ、楽しみにしてくれたまえ、なんてね。さて、それじゃあゴーレムの作成をしてみようか。慣れるまでは時間をかけてゆっくりと生成してみるといい。次にそのゴーレムと自分を繋ぐような魔力の線を生成して繋ぐ、繋がったらゴーレムを動かすイメージをしっかり持って、魔力の線を通じてゴーレムに魔力を流すんだ」


 アドバイス通り、まずはゆっくりと作成してみた。足から胴体、頭と腕を生成して細かい部分を調整する感じてやってみた。

 なんとか完成したゴーレムと自分を魔力の線で繋ぎ、立ち上がるイメージを送ってみると、多少ぎこちなくはあるが立ち上がった。そしてそのまま歩かせることにも成功した。


「おお、できた!」


「ほう。初めてとは思えないほどの出来だね。少し練習すれば、短時間でゴーレムを作り出すことができるようになりそうだ」


「ああ、こいつは魔力に対する適性がかなり高いみたいでな。オレが教えた時もすぐにいろんな属性を使えるようになったぜ」


 何度か生成の練習していくうちに、だんだんと生成する速度を速くすることができた。と、そういえばこのゴーレムは土から生成しているけど、他の属性で生成することはできないのかな?


「そういえば、ホムラは火属性のゴーレムを作ったりはしないの?」


「ん? ああ、一度やってみたことがあるが、形を作ってもすぐに崩れちまったな」


 そうなのか、残念。……うーん、でもどうにかして出来ないかな?


「ちょっとお試しでやってみてもいいかな? 多分できないとは思うけど、やってみたくって」


「ああ、いいんじゃねぇか。何事も挑戦ってやつだな」


「そうだね。実際に試してみるのは大事なことだ。そこから何か知見が得られるかもしれないからね」


 というわけで火属性を意識しながらゴーレムを作ろうとしてみた。……うん、魔力の供給をやめた途端に霧散《》してしまった。

 次は魔力をずっと供給して形を維持してみよう。次はこのまま魔力の線を繋いでと。次に立ち上がらせるイメージをしたいけど、形を維持しながらやるのはかなり制御が難しく、こちらもすぐに形を維持できなくなった。うん、これも無理そうだ。

 後は……


「ホムラかアオイ。魔石を使ってみたいんだけど、持っていたりしない? 後で買い取るから使わせてほしいかな」


「ほう、なるほど。その発想は無かったね。うん、私の魔石を提供しよう。対価は、実験の結果で十分おつりが出るさ」


「いくつか必要そうならオレからも出すぜ。火属性のゴーレムはオレも興味があるしな!」


「ありがと! それじゃあ実験再開だ!」


 まずは地面に魔石を置き、それが中心となるように火属性のゴーレムを生成。形を維持する魔力を魔石から受け取るようイメージしてみると……形が維持できた!

 後は魔力の線を繋いで、立ち上がるイメージを送ってみれば……


「で、できた!」


「おお! やったなハクト!」


「ほほう、これは面白い! 素晴らしいな!」


 二人とも絶賛してくれた。チートのおかげもあるとはいえ、自らの手で新しい発見を生み出せたのはすごく嬉しい。


「とはいえ、何に使えるかはわからないけどね」


「なに、それはこれから色々試してみればいいさ。私も色々検証してみたいね」


「オレにとっては火属性ってだけでありだな。ハクト、どんな感じか教えてくれるか?」


 というわけで、二人にどんな感じて生成したかを説明した。まさか俺が誰かに魔法の使い方を教えるなんてな。



 そうして火属性のゴーレムをファイアゴーレムと、地属性のゴーレムを区別できるようアースゴーレムと名付け、色々と検証していったのだが……


「おらぁ!」


 ホムラのファイアゴーレムが腕から何発も炎を飛ばしてきた。

 俺は、中心に埋め込んだの魔石を守るよう、アースゴーレムの腕を盾のように変形させて構えた。そしてそのまま前進。


 盾を削られつつもファイアゴーレムに接近し、パンチを繰り出した!


「甘いぜハクト!」


 しかしホムラはファイアゴーレムの足から炎を噴射し、俺のアースゴーレムのパンチを後ろに飛ぶことで避けた。けどね……


「その動きは予想していた! 喰らえ! ロケットパンチ!」


 俺はアースゴーレムの腕を飛ばし、ホムラのファイアゴーレムの魔石を砕いた!


「なっ! ……やられちまったか。やるな、ハクト」


「そこまで! 今回はハクト君の勝ちだね。いやぁ面白い。まさかゴーレムの腕を射出するとは」


 とまあ、何故かゴーレム同士のバトルをすることになった。めっちゃ楽しいけど。



 きっかけはこんな感じで始まった。


「それにしてもハクトは色々と思いつくな。ゴーレムの腕から炎を撃ちだしたり、形状を変えたり」


「私も色々新たな発見があったよ。君の持つ異世界の知識はもちろん、その発想も面白いね」


「オレもゴーレムを色々動かして試したくなったぜ! ハクト、模擬戦はあんまり乗り気じゃなかったが、ゴーレム同士を戦わせるのはどうだ? ゴーレムには魔石を使って、それが壊れたら負けってことでさ」


「うーん、そうだね。それならやってみようかな」



 というわけで今に至る。


「なるほど。ゴーレム同士を戦わせるというのはたまに行われていたけど、こういう戦いも面白いね。ルールを決めて戦わせるというのも面白いかもしれないな」


「ああ、そうだな。とりあえずもう一回やろうぜ、ハクト!」


「そうだな! 俺も、もっと色々試してみたい!」


「盛り上がっているところすまないが、ハクトはそろそろ帰らなくていいのかい?」


 それを聞いてふっと辺りを見回すとかなり暗くなっていた。確かここと俺が泊っている教会の宿泊所辺りの時間が同じくらいだったな。


「あー……、うん。残念だけど今日はここまでにして帰らないとかな。明日はソフィアとの約束もあるし」


「あー、気づけばもうこんな時間か。かなり熱中しちまったな。ハクト、また今後ゴーレム同士で戦おうぜ!」


「ああ、もちろん。俺も楽しかったしな」


「その時は私も呼んでほしいな。次は私も参戦してみるのも面白そうだ」


 皆も結構楽しんでいたみたいだ。

 アオイが言っていたけど、ルールとかをきちんとして、競技みたいにするのも面白そうだな。そのためにも、ゴーレムの可能性をもっと探ってみるのもいいな。


 そして二人と連絡先を交換し、転移可能な広場に送ってもらった。


 ちなみにリンフォンを取り出した時に、「私の発明品を使ってくれてるとは嬉しいね」なんて言っていた。もしかしたらと思っていたが、やっぱりアオイが開発者だった。


~ハヤテSIDE~


 うん。明日はそろそろハクトに会いに行こうかな! ソフィアにハクトの予定は空いてるか聞いてみようっと。


 なになに、明日は予定があるのか、残念。

 ちなみに、ハクトは明日何をする予定なの? っと。

 ……。

 ほほ~う。そういうことなら……ふふふ!

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