第16話 協力者(ヒロインR15イラスト有り)

 パーリ市到着の夜20時過ぎ。


 ルーブルル宮殿別館の俺の個室。


 イヴァノフ皇帝直属の隠密衆から、俺は彼らの任務を聞いていく。


 https://kakuyomu.jp/users/haanadenka/news/16818093083637046252



 ◇


 話を聞き始めて、しばらく時間が経つ。


 全ての話を聞き終えて、俺は考えをまとめていく。


(なるほど。そんな昔から、このフランクス王国に、ジルベールさんたちは潜入していたのか…)


 イケメンでチャラそうな20代の男性は、ジルベール男爵。


 口が少ないけど、クールで美人な20代の令嬢はドロテさん。


 彼らは昔からフランクス王国に潜入していた、モスクワフ帝国の工作員だ。


 モスクワフ帝国は公国時代から、こうして大国に情報工作員を潜入させていたと。


 このフランクス国内にはジルベール以外にも、数十人が潜入しているという。


(地位や身分まで完璧偽装して、たいしたものだな…)


 ジルベールさんは地方の貴族家出身で、今はこの宮殿内で働いている…という偽装身分。


 ドロテさんも同じような感じで令嬢で、王宮で侍女をしていた。


 二人の任務はフランクス王宮関連の情報を、集めていくことだ。


(この二人はフランクス国生まれだけど、身寄りのない孤児。そしてモスクワフ国に拾われ、教育されてきた特殊工作員…)


 ジルベールさんたち拾われた孤児たちは、幼い時から厳しい鍛錬を課せられてきたと。


 だから情報収集、破壊工作、引き抜き工作などの特殊スキルを所有。


 仕事のためにドロテさんは、今まで何人もの中年貴族と寝て、情報を収集。


 同じようにジルベールさんも、中年の貴族夫人を抱いてきたという。


 まさに現代のスパイや、戦国時代の忍者のようにな存在なのだ。


 ◇


 俺は聞いて話をまとめて、ジルベールとの会話に戻る。


「さっきの話によると、二人とも今後は『俺の下に入る』、という訳なんですよね?」


「はい。ジノ様の活動を、我々も全力でサポートします」


 これがイヴァノフ伯父さんが手紙で言っていた、”パーリ市でのプレゼント”の一つなのだろう。


 まさか諜報員と組織網を丸ごと貸してくれるなんて、相変わらず規模が違いすぎる。


「ありがとうございます。この地の情報網が欲しかったのです、かなり助かります。今後ともよろしくお願いいたします」


 一応は王太子の俺だが、ここは敵地みたいな雰囲気の王宮内。


 情報を重視する俺としては、伯父プレゼントには感謝しかない。


「それでは今後のために、ジノ様が信頼おける者を、我々にも顔通しもらえたら助かります」


「信頼できる者…分かりました。今、呼んできますね」


 俺は別の部屋に移動する。


 侍女カテリーナとレーナ、サルチン騎士、従者に、今回の事情を説明。


 その後、ジルベールとドロテとみんなを、顔合わせさせる。


 これで俺が宮殿に居ない時で、ジルベールたちから情報を得られるだろう。


 ◇


 顔合わせが終わったのは、俺たちは解散となる。


「それではジノ様、おやすみなさいませ」


 そう言い残して、ジルベールたちは中庭の闇の中へと、消えていく。


 本当にスパイのような二人だ。


 俺たちサルチン組も、また各自の寝床に戻っていく。


「そうだ。カテリーナさんとレーナは残ってもらってもいいですか?」


 二人だけは部屋に残ってもらう。


 さっきはジルベールたちの視線があったらか、俺はカテリーナに『今宵夜伽はしない』と言った。


 彼らは消え、他の不審な視線も感じない。


 だから二人とすぐにエッチをしたいのだ。


「ジノ様。ということは、今日は三人で一緒にですか?」


 この二人との3Pはサルチン領にいた時から、何度もしてきた。


 性欲の強いレーナは興奮する3Pが、好きなので嬉しそうだ。


「三人で、ですか……分かりました」


 控え目なカテリーナさんは、少しだけ複雑な表情をしている。


 だが彼女は3P行為が始まったら、静かに興奮するタイプだから、内心はドキドキしている雰囲気だ。


 二人の了承も得られたので、俺たちは寝室に移動する。


「あっ、そうだ。俺の初夜も近いので、今日は”初夜見届け人パターン”で、やりましょう」


 フランクス王家の初夜は必ず、『見届人が立ち会う』という決まりがある。


 初夜を他人に見られてると、プレッシャーで勃たない新郎がいるという。


 だから俺は本番の初夜で失敗しないために、同じパターンで練習したいのだ。


 練習の内容は、まずは俺とレーナがエッチしている最中、服を着たカテリーナさんが見守る。


 その後に女子が交代。


 俺とカテリーナさんとエッチしている光景を、服を着たレーナが服を見守るのだ。


「さすが、ジノ君。復習ね」


「はーい、それじゃ、今日は私が先の日ね!」


 性欲を我慢していたレーナは、ドレスを一気に脱いで、ベッドの上に横になる。


 まず彼女が初夜の王女役だ。


「立ち会わせていただきます、ジノ殿下」


 残るカテリーナは見届け人に成りきり、真剣な顔でベッドの横に立つ。


「レーナ、ちゃんと処女のシャルロット王女を演じるのよ?」


「はーい。えーと、ゴホッ、ゴホッ…『それでは、よろしくお願いします…ジノ殿下』」


 レーナも可愛い声を出して、表情まで王女に成りきる。


 胸と秘部を手で隠し、恥ずかしがり、処女な雰囲気をしてきた。


 いつもは性欲前回でレーナなので、このギャップに俺は凄く燃えてくる。


「それでは、よろしくお願いいたします、王女様」


 ◇


 まずは王女役レーナを抱いた。


 俺は初夜エッチの練習をして、無事に終わる。


(ふぅ…やはり、初夜は色々と決まりがあるから、気を使うな)


 イリスト教では初夜の一回目は、正常位しか許されていない。


 また射精時間も早めにしないいけないのだ。


「…確認させていただきます、王女様」


 見届け人役のカテリーナは、蝋燭の灯をレーナの下半身に近づけて、種付けを確認する。


「処女の純血。膣中に子種を、確かに確認しました。お見事です、お二人とも」


 カテリーナさんは真顔で報告してくるが、この辺の流れはフランクス王家方式。


 ちゃんと初夜に種付けが行われたか、第三者が確認。


 すぐに初夜の結果を、国王や関係者に報告するのだ。


 現代人からしたら、すごくシュールな感じもする方式だけど、王女の出産は王家の存亡にかかわる大問題。


 だから王族の初夜は、徹底的に管理されている時代なのだ。


「……それじゃ、次は私が見届け人ですね、ジノ様」


 レーナはドレスを着て立会人役になる。


 ――スルスル…


 今度は王女役のカテリーナがドレスを脱いで、全裸でベッドに横になる。


「…よろしくお願いいたします…ジノ殿下…」


 本当の処女のように恥ずかしがりながら、カテリーナも胸と秘部を手で隠す。


「それではよろしくお願いいたします、王女」


 カテリーナさんは俺の初恋の女性。


 だから処女風な彼女の恥じらいに、俺はすで頭が真っ白になっていた。


 ◇


 気が付くと、カテリーナさんを抱き終わっていた。


「はぁ………あっ。……あれ?」


 賢者タイムになった俺は、ふと我に返る。


「……」


 目の前にはぐったりして、虚ろな目の全裸のカテリーナ。


 そして無言な呆れ顔で、俺を見てくるレーナが、ベッドの横に立っている。


 そう、俺は我を忘れて暴走して、初夜練習を忘れて、カテリーナさんを抱いてしまったのだ。


「ご、ごめんなさい。二人とも」


 ◇


 その後は旅の時と同じように、三人で川の字になってピロートークをしていく。


 https://kakuyomu.jp/users/haanadenka/news/16818093084796627122


 https://kakuyomu.jp/users/haanadenka/news/16818093084796643963


 ピロートークの内容は、俺の初夜について。


「初夜に、ジノ君がまた暴走しないか、ちょっと心配ね…」


「そうね。あの時のジノ様、野獣みたでしたよ」


「すみません、カテリーナさん。本番では気を付けます。興奮しないようにします」


 俺が我を忘れたのは、カテリーナさんが処女の演技をしていたからだ。


 二人からの指摘を、俺は素直に受け入れ反省。


 本番は絶対に失敗しないように、心に深く刻んでおく。


 そんな俺を見て、レーナは興味津々に口を開く。


「ジノ様って、そんなに処女と、エッチしたいんですか?」


「どうかな? 俺は経験がないから、『興味本位と背徳感で、さっきは興奮した』、だと思うけど」


 本当は『初恋のカテリーナさんが処女ぽい⁉』という妄想に、俺が大興奮しただけど、それは恥ずかしいから言わないでおく。


「そうだったんですね。ねぇ、カテリーナ、処女を失った時のこと、覚えている?」


 突然レーナは凄い爆弾話題を、ピロートークに突っ込んできた。


 俺が間にいるもに関わらず、自分たちの初夜のことを、女子トーク感覚で話題にしたのだ。


「私はけっこう前のことだし、もう覚えてないかな。それに今はジノ君との一年間しか……私の頭に無いから…」


 カテリーナはのろ気みたいな感じで、恥ずかしそうに答える。


 嘘を突かない女性なので、本当に俺とのエッチで思い出が埋まっているのだろう。


 あと、彼女は6年前に嫁入りしたが、不妊疑惑をかけられた影響で、元夫との性生活は良い思い出がないのだ。


「私も同じかなー。今はジノ様とのエッチで、頭が一杯だから」


 レーナの元夫は性欲が弱かったので、夜の記憶もほとんどないという。


 そんな二人の女子トークを盗み聞きしながら、俺は心のメモ帳に『ふむふむ…』と記録しておく。


 ――だが、そんな油断していた時だった。


「ジノ様、私たちの過去、気になりますか? 非処女だったから、本当は嫌でした?」


 オープンな性格のレーナは爆弾質問を、俺にまで向けてきた。


 男にとって答えにくい質問をしてきたのだ。


「二人の過去か…俺は特に気にしたことはないかな」


 俺はマイペースな性格なので、相手の過去は気にならない。


 この二人とは本当に楽しい記憶しかないから、今まで過去を気にしたことは一度もない。


「たとえ相手に、どんな過去があっても、その人にとっては大事な一部。俺が大事にしたいのは『今と未来』なんだ…」


 地球での前世がある分だけ、俺はどこから達観した価値観をしている。


 だから今の生活が、カテリーナとレーナとの毎日は、俺にとってかけがえのない大事な日々なのだ。


 そんな俺の答えを聞いて、二人が反応する。


「ジノくん、私も同じ想い…」


 ――ギュー


「ジノ様、やっぱり、カッコいい! 大好き!」


 ――ギュ!


 両側の全裸の美女から、俺は抱き着かれる。


 二人とも本当に幸せそうな顔だ。


 その顔を見ていると、俺もポカポカした気分になる。


「二人とも、これからもよろしくね。それじゃ、寝よっか」


 こうして初夜の練習を終えて、俺たちは眠りにつくのであった。


 ◇


 ◇


 翌日になる。


 この日は俺は朝から予定がギッシリ。


 午前中。

 結婚式と披露宴に向けて、色々と準備をしていく。


「ジノ様。次はこちらに…その次は、あちらに…」


 基本的にフランクス王国側がすべて段取りしてくれるので、俺は指示に従うだけ。


 なんのトラブルもなくスケジュールを消化していく。


 ◇


 そして午後、市内の大聖堂。


 この日、最大の大仕事が、俺を待っていた。


「ジノ様、お待ちしておりました。こちらがシャルロット王女でございます」


 こうして結婚相手の王女様と、俺は初対面するのであった。

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