幸せの波
ピリ辛梅茶
自分の本当の気持ち
20X1.08.05
カタカタ……
「はぁ、毎日変わんないな〜」
そう呟き、ゲームのコントローラーを握りしめ画面を見入る。
私は 井上 皐月 (いのうえ さつき)23歳だ。
物心ついた時には女の人が好きだった。いわゆるレズビアンだ。自分自身が男になりたいわけではない。
私が住んでいるのは、北海道の中心地から遠く離れた海辺の農村で、人口は3000人もいない。昔ながらの保守的な環境なので、私の秘密は誰にも言えないでいた。村八分になるのが怖かったのだ。
元々は明るい性格だったが、自分が女の人を好きな事を隠しているうちに、徐々に家族や友達にも本音で話す事ができなくなってしまった。人との関わりを断ち、ひとりで楽しむ癖がついてしまい……。
その結果、コミュ力0のコミュ障へと成長を遂げてしまった。
好きなのは、ゲーム、漫画、アニメで、実家に引きこもり、仕事以外他人との関わりは一切ないド田舎で暮らしていた。
仕事終わりにゲームのスイッチを押す。コーラを片手にポテチを摘んで深夜までゲーム。それが私のルーティンだ。
そんな不健康な生活をいつまでしているのだろうか。そう思いながら好きな百合漫画を読む。
「いいなー。これが青春ってやつだよねー」
そこには可愛い女の子ふたりが付き合っていて仲睦まじい様子が描かれていた。
だが、現実は違う。
「あーあ、ぼっちコミュ障には難易度高すぎだよね」
せめて友人が欲しい。同じ境遇で話し合える、そんな相手と知り合いたい。
「調べてみようかな。レズビアンについて」
定期的にやってくる衝動に胸を突き動かされスマホを開く。適当にネットサーフィンをしていると、ある動画に目が釘付けになった。
「え!? 何これ!?」
それは、新宿2丁目で行われている、レズビアンが集まるパーティーの様子だった。
パーティーでは台の上に女性が乗って踊っていたり、酒が振る舞われたりと楽しそうな様子が流れている。女同士のカップルがキスしていたりと刺激的だったが、こんな世界があるのかとドキドキした。
「隠さないで生きていきたい」
「私と同じレズビアンの友達がほしい」
「彼女だって本当はほしかった」
いつの間にか、何度もその動画を検索してしまっている自分がいる。その動画を見るたびに、自分の本当の気持ちがどんどん膨れ上がっていくのを感じた。
そのサイトから調べると、私のような同性愛の人が参加するイベントや、街そのものが盛り上がってる地域もあるようだ。
「…………」
「……行っちゃう?」
「私このまま、だれとも付き合えず将来ひとりで過ごしていくの?」
悩みに悩み、そして決心した。
「よし! 都会へ行こう!!!」
20X2.03.05
あの決心から半年、両親を説得しお金をかき集めて3月から東京へ引っ越すことにした。
「本当に大丈夫なの?」
「仕事も決まったしなんとかなるよ!」
「身体に気を付けていくんだぞ」
「本当にありがとね!」
「いつでも帰ってきていいからね」
両親に温かく見送られ田舎を後にする。人生初の飛行機に乗り込んだ。
引越しの為に車も売り払い、金もなくなり文字通り全てをかけて東京へやって来た。
「東京すご!! 人多い!」
「夜景めっちゃ綺麗!」
田舎から出てきた私には、全てが新しく感じられた。日が暮れると夜景が綺麗で感動した。夕方の5時になると店が閉まるあの田舎とは大違いだった。
新しい家に新しい仕事、これから自分がどんどん変わって行く、そんな予感がした。
−2ヶ月後
(よし! 仕事にも慣れ始めたしさっそく友達探しに行こう。ここまで来たんだ、頑張らないと!)
新しい仕事にも慣れ始めた頃、さっそくパーティーへ出掛ける事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます