「ふざけんじゃねえよ！！！！！！！」

トランクの中で怒鳴り慌てて口を噤んだ。

鍵の表面を見ながらボタンを改めて押す。スイッチに反応して光る小さなLEDは少しも光を発さない。

（嘘だろ電池切れかよこんなタイミングかよふざけんなふざけんな）

地団駄を踏もうにも比較的自由が利くのは上半身だけ、それよりも気付かれてはまずい状態を思い出して拳をぐっと握るに留めた。

呆然とする。逃げるのには成功したってのに運がない。ふざけんなよ電池。

何分経ったか分からないが気持ちが落ち着けば次のアイデアは出る。大丈夫だまだ俺は落ち着いていられる。自分を幾分か騙しながらの深呼吸。

（そうだ、動画探せばいいんだ）

〈トランク　中から開ける〉と検索ウィンドに打ち込んで動画を探せば望んでいた通りのものが出た。

動画を視聴しながらライトでトランクの中を照らす。

（あったリリースレバーこれか？）

引っ張ろうと伸びた手を一度止めた。ドライブレコーダーで外を伺う。

駐車場の出口に馬鹿の姿を確認して盛大な溜息が漏れた。

（あー、畜生あんま使いたい相手じゃねえんだけど相談だけするか）

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