第19話 宇宙海賊との攻防
エニグマ号が新たな星系に向かって航行を続けている最中、船内の緊張感が一瞬にして高まった。ヴァーゴ・キンタロスが異常なエネルギー反応を検知し、警報を鳴らした。
「船長、複数の高速接近物体を捕捉しました。これらは、おそらく宇宙海賊の船です。」ヴァーゴが急いで報告した。
ゼノ・オスカーはすぐに指揮を取った。「全員、戦闘態勢に入れ!シールドを最大出力にし、武器システムを起動せよ!」
ケイド・ローガンが即座に武器システムを起動し、エニグマ号の砲台が準備を整えた。「全砲門、敵を捕捉次第、攻撃を開始する。」
宇宙海賊の艦隊はエニグマ号を包囲し、巧みな機動で接近してきた。彼らの船は素早く、破壊力のある武器で武装しており、エニグマ号に猛攻を仕掛けてきた。エニグマ号のシールドが激しい攻撃を受け、船体が揺れた。
「彼らはかなりの数だ…だが、我々は負けるわけにはいかない。」ゼノは冷静な声で指示を続けた。「ケイド、攻撃を分散させて海賊の艦隊を引き離せ。」
「了解。これでも食らえ!」ケイドが攻撃指示を出し、エニグマ号の砲台が一斉に火を噴いた。高出力のレーザーとミサイルが宇宙海賊の艦隊に向けて放たれ、数隻の船が撃破された。
しかし、海賊たちも一筋縄ではいかなかった。彼らは反撃を強化し、エニグマ号のシールドに連続して衝撃を与えた。シールドが徐々に弱まる中、リラ・ナイトシェイドは必死に防御システムの調整を行いながら、船内の他のシステムにも注意を払っていた。
「シールドの出力が低下しています。長時間の戦闘は危険です!」リラが警告の声を上げた。
「何としてもこの状況を打破するんだ。彼らの指揮船を特定し、そこに全火力を集中させろ!」ゼノは焦りを抑え、冷静に命じた。
エリサ・トールがセンサーを操作し、海賊艦隊の中で指揮を執ると見られる船を特定した。「船長、あれが指揮船です!座標を送信します!」
「ケイド、全砲門を指揮船にロックオン。準備ができ次第、発射しろ!」ゼノは指示を出し、クルー全員がその命令に従った。
ケイドはエニグマ号の砲門を指揮船にロックオンし、全火力を解放した。巨大なエネルギーが一斉に放たれ、指揮船に直撃した。指揮船は大爆発を起こし、その破片が周囲に飛び散った。
「命中!指揮船を撃破しました!」ケイドが勝利の声を上げた。
指揮船を失った海賊艦隊は動揺し、その組織だった攻撃は瞬く間に崩れ去った。残存する海賊船は混乱に陥り、散り散りに逃げ始めた。
「追撃はするな。彼らが逃げるなら追わずに安全な距離を保とう。」ゼノは命じた。
エニグマ号は海賊の艦隊を撃退し、再び静寂が宇宙に戻った。クルーたちは疲労しながらも、無事にこの危機を乗り越えたことに安堵した。
「よくやった、全員。このような状況がまた訪れる可能性もある。今のうちに船の損傷を修復し、次の任務に備えよう。」ゼノはクルーたちに優しく語りかけた。
クルーはその言葉に頷き、それぞれの持ち場に戻り、エニグマ号を再び完璧な状態に戻すために動き始めた。新たな星系での冒険はまだ始まったばかりであり、彼らを待ち受ける次なる挑戦がどこにあるのか、誰も知ることはなかった。
しかし、エニグマ号のクルーたちは互いに信頼し合い、これからの旅路を共に歩んでいく覚悟を持っていた。彼らは、どんな困難が訪れようとも、決して立ち止まらずに進み続けることを誓っていた。
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